ロレアル グループ(L’OREAL GROUP)は、バイオテクノロジーに関する中国のスタートアップ企業の未名拾光(VEMINSYN)への出資を発表した。今回の出資ラウンドはロレアル中国のCVCである上海美次方投資(SHANGHAI MEICIFANG INVESTMENT)が主導し、グループのベンチャーキャピタルファンドのボールド(BOLD)と中国の日用品大手ナイスグループ(NICE GROUP)が参画。規制当局の承認を待つが、出資総額は1億人民元(約19億円)規模でマイノリティ出資となる。本出資は、持続可能なバイオアクティブ原料開発とサプライチェーンのローカル化の推進が狙いとみられる。
未名拾光は、北京大学と清華大学の博士課程で合成生物学と分子設計を専門とする4人の学生が2021年に設立。AIを活用した分子設計プラットフォームと独自のバイオ製造技術を強みに、肌老化に対応するバイオアクティブ成分を開発しており、中国の有力企業プロヤ コスメティクス(PROYA COSMETICS)やシャンハイ ジャワ ユナイテッド(SHANGHAI JAHWA UNITED)、ブルーメイジバイオテクノロジー(BLOOMAGE BIOTECHNOLOGY)などを顧客に持つ。同社のウィーチャット(WeChat)の公式アカウントによれば、調達した資金は「革新的なバイオアクティブ原料の開発、商用生産への展開、低炭素のバイオ製造技術を用いた化粧品原料の開発」に充てられるという。
ヴァンサン・ボワネ(Vincent Boinay)=ロレアル北アジアゾーン プレジデント兼ロレアル中国最高経営責任者(CEO)は、「中国市場の圧倒的なイノベーションポテンシャルを信じている。未名拾光の高度なバイオ技術と中国スタートアップのスピード感は、持続可能な新原料開発に大きな力を与えてくれるだろう」とコメント。
バーバラ・ラヴェルノ(Barbara Lavernos)=ロレアル グループ副CEO兼リサーチ&イノベーション テクノロジー責任者は、「未名拾光のAI設計プラットフォームとバイオ技術、ロレアルの皮膚・毛髪・頭皮に関する科学的知見を組み合わせ、独自の高機能バイオアクティブ原料の迅速な開発とスケール化を実現していく」と述べた。
未名拾光の共同創業者であるヤラン・ジャオ(Yaran Zhao)CEOは、「われわれはサステナブルな資源由来のバイオアクティブ原料が当たり前になる世界を目指している。ロレアルとのパートナーシップは、その実現を加速させるはずだ」と語った。
未名拾光は22年にシティック・キャピタル(CITIC CAPITAL)などからシリーズAで約1億人民元(約19億円)を調達。23年にロレアルが主催するオープンイノベーションプログラム「ビッグバン ビューティーテック イノベーション」で受賞するなど、注目のビューティテック企業として急成長を続けている。