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GENEROSITYが映像制作会社MMTを買収 ファッション&ビューティとカルチャー、オン・オフの更なる融合目指す

ファッションやビューティ、時計・宝飾ブランドのクライアントが多いGENEROSITY(東京都港区・⻄垣雄太最高経営責任者)は、7月30日付で映像制作企業のMMT(東京都渋谷区・伊東孝俊最高経営責任者)の全株式を取得し、同社をグループ化した。買収額は非公開。MMTのグループ化を機にGENEROSITYは、映像制作およびXR領域(VR(仮想現実)やAR(拡張現実)、MR(複合現実)など、現実世界と仮想世界を融合させる技術の総称)に本格的に参入して、ブランドのプロモーション活動の支援の進化を図る。

GENEROSITYは、リアルとバーチャルの境界を越えた体験設計で、人とブランドの間に未知なる体験を生み出すブランド・エクスペリエンス・スタジオを標榜。ハイエンドを中心とするさまざまなブランドのリアルイベ ント開催に際して、インフルエンサーのアサインから各種クリエイティブデザイン、デジタルコンテンツなどを手がけるほか、同じくブランドによるLINE機能を活用したゲームなどを開発してきた。

一方のMMTは、国内外の人気アーティスト、企業やブランドのイベントおよびCM映像などを担当するほか、ライブ配信やIP事業を展開。メタバース空間やバーチャルイベントにおけるXRコンテンツの制作にも挑んでいる。ともに創業10年の両社は、リアルからデジタルに至るまで映像コンテンツのニーズが増加する中、企画・設計からシステムの構築、映像コンテンツの制作までを一気通貫するサービスの提供を目指す。

映像を通じてオンとオフ、
ファッション&ビューティとカルチャーの融合を目指す

PROFILE: 西垣雄太/GENEROSITY最高経営責任者(CEO)

西垣雄太/GENEROSITY最高経営責任者(CEO)
PROFILE: (にしがき・ゆうた)1989年生まれ。2015年5月DAWGSを設立。同年7月にデジタルフォトプリントサービス「#SnSnap」をリリースし、SnSnapに社名変更。SNSを軸としたデジタルコミュニケーション企画を強みに事業展開し、16年12月に同社をPEファンドに株式譲渡。立体的なプロモーション体験の企画、制作、実施までを行うブランドエクスペリエンススタジオとして成長し、18年9月にGENEROSITYに社名変更。国内外3000件を超える案件実施を達成し、ファッションやビューティ、ジュエリー&ウオッチ、オートモービル、スポーツ、エンターテインメントといった幅広い業界に対して、最先端のテクノロジーや高いデザイン力を駆使した最適なブランドプロモーションを提案している PHOTO:SHUHEI SHINE

GENEROSITYの⻄垣雄太CEOは、「CGI(Computer-generated imagery、コンピューターグラフィックスで生成した画像や映像、またそれらを実写映像などと組み合わせて用いることや、その技術のことを指す)からXRまで、さまざまなコンテンツが必要になっている。質とスピードをアップしながら、コンテンツの幅も広げたい」と説明。と同時にファッションやビューティと、エンタメを含むカルチャーが融合する中、「エンタメ領域でテクノロジーに挑戦し、イベントのリキャプやアーティストの映像から現場の仕切りを含め、その世界の理解度が高い」MMTとは、長らくグループ化について話をしていたという。

PROFILE: 伊東孝俊/MMT最高経営責任者(CEO)

伊東孝俊/MMT最高経営責任者(CEO)
PROFILE: (いとう・たかとし)早稲田大学第二文学部に進学して、ビジネスと表現の接点を追求。在学中は学園祭実行委員会で5000人規模の会場運営を担当した。学生時代からアソビシステムに参加。卒業後は独立し、映像制作・ウェブ制作を軸にフリーランスとして事業を開始。その後、自身の制作会社を設立し、事業の拡大に伴いMMTに名称変更。体験価値の最大化を理念に掲げ、リアルイベントの映像制作からバーチャルイベント技術の開発・実装まで、領域を越えた表現活動を推進。コロナ禍ではリアルタイムレンダリング技術を活用したバーチャルイベントにも注力し、VTuberやバーチャルアーティストといった新たな表現領域にも深く関わる PHOTO:SHUHEI SHINE

一方、MMTの伊東CEOは、「次の10年を考えたとき、GENEROSITYと一緒なら、もっと大きくてワクワクする仕事に取り組めるのではないか?」と考えた。引き続きカルチャー領域のコンテンツ制作を目指し、「ファッションやビューティのトップブランドが挑戦しているように、人間の興味が多様化する中でますます多面的になっているカルチャーをミックスしたコンテンツ制作に携わりたい。例えばゲーミングカルチャーはまだ少し遠い存在かもしれないが、そこにはもう10数万人が集まるシーンがいくつも存在している。人が動いている市場同士を繋ぎ、境界線を溶かしてみたい」と話す。GENEROSITYの⻄垣CEOは、「MMTのグループ化で目指すのは、映像制作の内製化だけではなく、リアルとデジタルの融合。ブランドが提供したい体験も、エンタメを含むカルチャーの世界も、断片的にリアルとデジタルを別々に考えては効果が出ない。イベント運営でリアルを知っているGENEROSITYだからこそのデジタルを目指し、その双方で感動と愛着、そして熱量を提供したい」と続けた。

各種テクノロジーを先取りし、
今以上のリアルとデジタルの融合を

まずはGENEROSITYがプランナーとなって、MMTが得意とするライブ配信なども内製可能な選択肢として盛り込みながら、さまざまなコンテンツをワンストップで提供できる体制を構築して企業やブランドのプロモーションを支援。その後はAIを筆頭とした各種テクノロジーの発達をキャッチアップしながら、リアルとデジタルが今以上に融合した世界づくりを目指す。

PROFILE: 平沼真吾/GENEROSITY取締役・CTO

平沼真吾/GENEROSITY取締役・CTO
PROFILE: (ひらぬま・しんご)大学ではXR や近未来UIの研究に従事。大学卒業後は東芝、富士通に勤務するが、より広い世界での経験を求めて会社を辞めて中国へ渡る。2015年、GENEROSITYの創業時に参画。XRやDXを用いた体験をアップデートする研究開発や制作しつつ、「興味を起点に楽しく学ぶ」をコンセプトにした魔法学校を主宰して教材制作や子ども向けの授業も行っている PHOTO:SHUHEI SHINE

GENEROSITYの平沼真吾チーフ・テクノロジー・オフィサー(CTO)は、「例えばスマートグラスを日常的に着用する世界になれば、スマホのように再び、人々のライフスタイルは変化するだろう。そんな時のライフスタイルイベントをGENEROSITYができるようにしたい。エンタメの世界なら、スマートレンズ越しのXRの世界にキャラクターが現れ、リアルなデジタル映像と融合していくなど、可能性は無限大」とコメント。AIの活用で、それぞれのコンテンツのブラッシュアップも図る。MMTはすでにリアルタイム・レンダリング(ユーザーの操作や視点の変化に応じて、3Dシーンを即座に計算・描画する技術。インタラクティブ性の高いコンテンツで活用されている)技術を活用している。GENEROSITYの西垣CEOは、「LINEヤフーのテクノロジーパートナーでもあるので、先端技術を先取りし、新しいサービスを提供していきたい」という。

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