ファッションやビューティ、時計・宝飾ブランドのクライアントが多いGENEROSITY(東京都港区・⻄垣雄太最高経営責任者)は、7月30日付で映像制作企業のMMT(東京都渋谷区・伊東孝俊最高経営責任者)の全株式を取得し、同社をグループ化した。買収額は非公開。MMTのグループ化を機にGENEROSITYは、映像制作およびXR領域(VR(仮想現実)やAR(拡張現実)、MR(複合現実)など、現実世界と仮想世界を融合させる技術の総称)に本格的に参入して、ブランドのプロモーション活動の支援の進化を図る。
GENEROSITYは、リアルとバーチャルの境界を越えた体験設計で、人とブランドの間に未知なる体験を生み出すブランド・エクスペリエンス・スタジオを標榜。ハイエンドを中心とするさまざまなブランドのリアルイベ ント開催に際して、インフルエンサーのアサインから各種クリエイティブデザイン、デジタルコンテンツなどを手がけるほか、同じくブランドによるLINE機能を活用したゲームなどを開発してきた。
一方のMMTは、国内外の人気アーティスト、企業やブランドのイベントおよびCM映像などを担当するほか、ライブ配信やIP事業を展開。メタバース空間やバーチャルイベントにおけるXRコンテンツの制作にも挑んでいる。ともに創業10年の両社は、リアルからデジタルに至るまで映像コンテンツのニーズが増加する中、企画・設計からシステムの構築、映像コンテンツの制作までを一気通貫するサービスの提供を目指す。
映像を通じてオンとオフ、
ファッション&ビューティとカルチャーの融合を目指す
PROFILE: 西垣雄太/GENEROSITY最高経営責任者(CEO)

GENEROSITYの⻄垣雄太CEOは、「CGI(Computer-generated imagery、コンピューターグラフィックスで生成した画像や映像、またそれらを実写映像などと組み合わせて用いることや、その技術のことを指す)からXRまで、さまざまなコンテンツが必要になっている。質とスピードをアップしながら、コンテンツの幅も広げたい」と説明。と同時にファッションやビューティと、エンタメを含むカルチャーが融合する中、「エンタメ領域でテクノロジーに挑戦し、イベントのリキャプやアーティストの映像から現場の仕切りを含め、その世界の理解度が高い」MMTとは、長らくグループ化について話をしていたという。
PROFILE: 伊東孝俊/MMT最高経営責任者(CEO)

一方、MMTの伊東CEOは、「次の10年を考えたとき、GENEROSITYと一緒なら、もっと大きくてワクワクする仕事に取り組めるのではないか?」と考えた。引き続きカルチャー領域のコンテンツ制作を目指し、「ファッションやビューティのトップブランドが挑戦しているように、人間の興味が多様化する中でますます多面的になっているカルチャーをミックスしたコンテンツ制作に携わりたい。例えばゲーミングカルチャーはまだ少し遠い存在かもしれないが、そこにはもう10数万人が集まるシーンがいくつも存在している。人が動いている市場同士を繋ぎ、境界線を溶かしてみたい」と話す。GENEROSITYの⻄垣CEOは、「MMTのグループ化で目指すのは、映像制作の内製化だけではなく、リアルとデジタルの融合。ブランドが提供したい体験も、エンタメを含むカルチャーの世界も、断片的にリアルとデジタルを別々に考えては効果が出ない。イベント運営でリアルを知っているGENEROSITYだからこそのデジタルを目指し、その双方で感動と愛着、そして熱量を提供したい」と続けた。
各種テクノロジーを先取りし、
今以上のリアルとデジタルの融合を
まずはGENEROSITYがプランナーとなって、MMTが得意とするライブ配信なども内製可能な選択肢として盛り込みながら、さまざまなコンテンツをワンストップで提供できる体制を構築して企業やブランドのプロモーションを支援。その後はAIを筆頭とした各種テクノロジーの発達をキャッチアップしながら、リアルとデジタルが今以上に融合した世界づくりを目指す。
PROFILE: 平沼真吾/GENEROSITY取締役・CTO

GENEROSITYの平沼真吾チーフ・テクノロジー・オフィサー(CTO)は、「例えばスマートグラスを日常的に着用する世界になれば、スマホのように再び、人々のライフスタイルは変化するだろう。そんな時のライフスタイルイベントをGENEROSITYができるようにしたい。エンタメの世界なら、スマートレンズ越しのXRの世界にキャラクターが現れ、リアルなデジタル映像と融合していくなど、可能性は無限大」とコメント。AIの活用で、それぞれのコンテンツのブラッシュアップも図る。MMTはすでにリアルタイム・レンダリング(ユーザーの操作や視点の変化に応じて、3Dシーンを即座に計算・描画する技術。インタラクティブ性の高いコンテンツで活用されている)技術を活用している。GENEROSITYの西垣CEOは、「LINEヤフーのテクノロジーパートナーでもあるので、先端技術を先取りし、新しいサービスを提供していきたい」という。