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「ルイ・ヴィトン」の親会社、24年1〜3月期は1.6%減収 為替差損やラグジュアリー消費の正常化が響く

LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)の2024年1〜3月期(第1四半期)決算は、売上高が前年同期比1.6%減(現地通貨ベースでは同3%増)の206億9400万ユーロ(約3兆3731億円)だった。為替差損のほか、コロナ禍後の爆発的な需要増に支えられていたラグジュアリー消費の“正常化”が響いた。

部門別の売上高では、スターブランドの「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」や「ディオール(DIOR)」などを擁する主要事業のファッション・レザーグッズ部門が同2.2%減(現地通貨ベースでは同2%増)の104億9000万ユーロ(約1兆7098億円)だった。「ティファニー(TIFFANY & CO.)」「ブルガリ(BVLGARI)」「タグ・ホイヤー(TAG HEUER)」などを擁するウオッチ&ジュエリー部門は同4.8%減の24億6600万ユーロ(約4019億円)、シャンパン事業が不調だったワイン&スピリッツ部門は同16.4%減の14億1700万ユーロ(約2309億円)だった。

一方、免税店のDFSや化粧品のセレクトショップ、セフォラ(SEPHORA)などを運営するセレクティブ・リテール部門は同5.4%増の41億7500万ユーロ(約6805億円)、香水&コスメティクス部門は同3.2%増の21億8200万ユーロ(約3556億円)と1ケタながら増収だった。

地域別の売上高では、米国および欧州がそれぞれ現地通貨ベース(以下同じ)で同2%増、日本を除くアジア太平洋地域が同6%減だった。これは主に中国の消費者が旅行先でラグジュアリーグッズを購入しているためだという。円安で観光客が増加している日本は、値上げがあったにもかかわらず同32%増と好調だった。

ジャン・ジャック・ギヨニー(Jean-Jacques Guiony)最高財務責任者は、アナリスト向けの説明会で、値下げや、レザーよりも手ごろな素材を使用した商品を増やす予定はないと発言。「インフレや為替の変動に対応するべく何度か値上げしているが、それは競合も同様であり、売り上げへの影響は特に心配していない」と説明した。

LVMHはブランド別での売上高は開示していないが、同氏によれば、「ルイ・ヴィトン」はファッション・レザーグッズ部門における平均成長率をやや上回り、「ディオール」はやや下回ったという。

ここ数年、ラグジュアリーブランドの多くは値上げを実施しており、「ルイ・ヴィトン」の定番バッグの1つである“スピーディ25”は、19年にはおよそ1000ドル(約15万円)だったが、現在は1550ドル(約23万円)となっている。

なお、「グッチ(GUCCI)」「サンローラン(SAINT LAURENT)」「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」などを擁する競合のケリング(KERING)は、4月23日に発表する24年1〜3月期(第1四半期)決算において、売上高が既存店ベースで前年同期比10%減となる見通しであることを明らかにしている。

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