1. 現代美術家・杉本博司の建築家としての側面を振り返る展覧会

現代美術家・杉本博司の建築家としての側面を振り返る展覧会

イベント

2018/10/21 (SUN) 06:15

 寺田倉庫が運営する建築倉庫ミュージアムで企画展「新素材研究所・ -新素材×旧素材-」が21日から開催されている。会期は2019年1月14日まで。現代美術家の杉本博司が建築家の榊田倫之と共に08年に設立した建築設計事務所「新素材研究所」の10年にわたる活動を、建築模型や写真と、新素材研究所が用いる特徴的な古材や道具をあわせて展示するもので、20日に内覧会が行われた。

 杉本は建築設計事務所「新素材研究所」を設立したきっかけについて、「今でこそ利益が出るようになったが、はじめの5~6年は赤字だった。アートが高く売れるようになるまで40年かかったけれど、建築は労力のわりにあまり利益にならないなあと思うが――02年の直島護王神社再建を手掛けて以来、アートとしての建築を『うちもやってくれ』とオファーが来るようになり、アーティストで、建築士として無免許だと契約ができないと、半ば強制的に事務所を開かざるを得なかった。“建築家”としては若手」とユーモアたっぷりに説明した。さらに、「21世紀型のアートは建築と一体化するものだと考えている。特にユニークでアートになり得るものをお金に関係なく作りたい」とあいさつした。榊田倫之は、「杉本は無級建築士、私はたまたま一級建築士でたまたま拾われたが、要求が難しい現代美術家と建築家が合うわけもなく――続けられるのは、性格的に相性がいいのもあるが、親子ほど年が離れているので、厳しい局面でもお互い許せるので、10年やってこれた」とコメントした。

 展示室の入り口は、新素材研究所のシグネチャー的素材である箒垣(数寄屋建築で用いられる竹穂垣の竹穂を竹ほうきに置き換え制作したもの)と縦障子(横桟を一切使わない縦桟のみの障子)で構成。杉本が初めて手掛けた建築設計作品である直島護王神社再建の模型から展示は始まるが、実際の作品でも用いた木材や石材、ガラスで精緻に制作された“本物”が展示されている。加えて、構想から20年をかけて17年に竣工した江之浦測候所の模型や、天井高4メートルの素材の良さを追求した住宅で「アートと自然素材と共に暮らす」をコンセプトにしたマンハッタンの個人邸の模型などが展示されている。また、杉本が特に美しいと感じている素材のひとつは天平時代の古材ということで、東大寺の転害門垂木の創建材や、法隆寺の古銅の大舛(おおます)などが展示されている。その他、明治~大正時代に京都市電の敷石として用いられた素材や、昭和30年代の常滑タイルなど、杉本の審美眼にかなった素材が並ぶ。杉本は「建築が美しかったのは平等院鳳凰堂まで」と語りながら展示物を紹介した。

 新素材研究所は「旧素材こそ最も新しい」という理念のもと、古代や中世、近代に用いられた素材や技法を現代にどう再編して受け継いでいくかに取り組んでいる。骨董から産業資材まで独自の視点で見立てた素材を集め、それらを設計に活かして空間を作っている。素材の良さを最大限に引き出すための伝統的な職人の技術を最新技術と融合させ、現代的なディテールで仕上げている。

■新素材研究所・-新素材×旧素材-
日程:10月21日~19年1月14日
時間:11:00~19:00(最終入館18:00)
定休日:月曜日
場所:建築倉庫ミュージアム展示室A
住所:東京都品川区東品川2-6-10
入場料:一般3000円、大学生 / 専門学生2000円、高校生以下1000円(展示室B観覧料および新素材研究所作品集含む)

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