ストライプ石川社長が明かす、アリババとの提携による“ニューリテール”構想

EC海外事業企業タッグインタビュー

2018/5/24 (THU) 12:00
石川康晴ストライプインターナショナル社長

 ストライプインターナショナル(STRIPE INTERNATIONAL以下、ストライプ)がアリババ(ALIBABA)の日本法人と戦略的パートナー契約を締結し、両社が構想する新たな小売りのあり方“ニューリテール”の共同開発を念頭に、中国事業の拡大を図る。現状およそ1億元(約17億円)という中国市場での売上高を、3年後に7億元(約119億円)、10年後には100億元(約1700億円)にする巨大な構想だ。今後、中国事業にとどまらず、国内でも重要な位置付けとなるであろう“ニューリテール”という概念について、発表直後の石川康晴・社長を直撃した。

WWD:中国事業強化に向けて、アリババと提携に至った経緯とは?

石川康晴・社長(以下、石川):アリババとは中国最大のECモール「Tモール」への出店を含めて、2011年頃から関わりがあった。特に、ここ2年くらいニッチマーケティングに有効なマーケティングツールを作っているということを聞き、実験段階から使いたいと思っていた。今年ニューリテールを一緒に作っていく戦略的パートナーとして日本から4社を選出するということになり、3〜4カ月の協議を重ね、アパレル分野から当社を選んでいただいた。

WWD:そもそも、ニューリテールとは何なのか。

石川:まだ誰も正解を知らないわけだが、僕は“人のデータから行動データへ”移行することだと捉えている。これまでのオンラインとオフラインのデータ統合とは次元の違う統合。これまで「誰がどこでどのくらい買ったのか」という人を軸にした購買・在庫データが主流だったのに対して、アリババのシステムを活用すれば「店内で顧客はどのように動いたのか」「何を見て何を買わなかったのか」など、これまで販売員の肌感覚を頼りにしていた行動データを全て可視化できる。こうした行動データをもとに接客を効率化し、売り上げにつなげることができるだろう。

WWD:店舗とECの双方向でデータ化を進めるという点では、“オムニチャネル”と何が違うのか。

石川:日本では店舗で会員化した顧客をECに送客することがオムニチャネルの主流で、アメリカではウェブでターゲティングした顧客をECから店舗へ送客するような例が多い。ニューリテールではデータによる売り逃がしをなくすことで、店舗・ECにかかわらず全体の売り上げを底上げするようなイメージだ。

WWD:具体的に店舗ではどんなことが起こるのか。

石川:IoT接続のスマートハンガーによって誰がハンガーに触ったかがトラッキングできるし、来春導入予定のスマートミラーを使えば、試着時に店頭にないカラーバリエーションなどを提案できるようになる。また、「ホテル コエ トーキョー(HOTEL KOE TOKYO)」でもやっているようなタブレット状のスマートレジを導入することで、レジスペースも不要になる。

READ MORE 1 / 1 日本国内でニューリテールは実現できるか?

WWD:ニューリテール時代の販売員の役割とは。

石川:販売員それぞれが顧客データに紐づくタブレット使って、1to1マーケティングを行う。例えば「Tモール」でデニムを見てから来店した顧客にデニムの試着をすすめるなど、接客時間を短縮しながら、購入率を上げられるようになる。購入後も販売員個人のタブレットからDMを送るなど、スタッフが広告塔となって顧客へパーソナライズされた広告物を届けることができる。

WWD:ニューリテールといえば小売りに特化するように感じるが、生産側に変化はあるか。

石川:1年後には供給側の革命に挑戦したい。具体的にはTシャツやニットに特化した無人工場の設立が目標だ。工場における生産効率化はここ数十年変わっておらず、ようやく試験的に生産の自動化を行う企業も出てきたが、今後10年で自動化の流れは本格化するはず。その象徴になるのがわれわれの役割だ。僕の構想としては、アリババとスマートファクトリーを作る可能性だってある。ニューリテールによる小売りの効率化とともにスマートファクトリーによる在庫や原価の適正化、経費削減が実現し、川上から川下までをデータ化したサプライチェーンの革命が起こることになるだろう。

WWD:なぜこのタイミングだったのか。

石川:2011年の中国進出後、はじめは100平方メートルクラスの店舗を一級都市に出店し続けたが、黒字化できた店舗を除いて投資・出店を停止していた。今後は、行動データをとるための“スマートストア”という位置付けで再び実店舗の出店も加速する。リスクは大きいが、成長著しい中国市場で今挑戦しなければ後はない。小売り革命最後のチャンスだ。

WWD:中国で先行するニューリテール戦略だが、日本国内での方針は?

石川:中国でもまだ実験段階だが、日本ではディベッロッパーとの兼ね合いもあり、すぐには導入が難しいだろう。店頭接客からECで売れた場合にアフィリエイトのような形でディベッロッパーに家賃が入る仕組みを誰かが作ればいいかもしれない。いずれにせよ、リテールとディベッロッパーが一緒になって作っていくべきものだと思う。

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