1. 若手の登竜門「イエール賞」 グランプリはカリブ海諸島にルーツを持つ「ボッター」

若手の登竜門「イエール賞」 グランプリはカリブ海諸島にルーツを持つ「ボッター」

コラム アワード イベント

2018/5/14 (MON) 07:00

 4月26〜30日、南フランスの小さなリゾート地イエールで第33回「イエール国際モードフェスティバル(33e Festival International de Mode, d’Accessoires et de Photographie à Hyères)」が開催された。

 毎年4月末に開催される同フェスティバルは、クリエイティブな若き才能を後押しするために用意されたプラットフォームで、若手デザイナーの登竜門として知られている。会期中には展覧会、ポップアップストア、トークショーが開催され、目玉であるファッション部門のグランプリ発表は最終日に行われる。過去の受賞者にはアンソニー・ヴァカレロ(Anthony Vaccarello)、アレキサンダー・マックイーン(Alexander McQueen)、フェリペ・オリヴェイラ・バティスタ(Felipe Oliveira Baptista)らが名を連ねる。

 今年は約60カ国からおよそ300のエントリーがあった。ヨーロッパ勢を中心とした10組のファイナリストによるプレゼンテーションやランウエイが行われ、審査委員長を務めるハイダー・アッカーマン(Haider Ackermann)をはじめとする6人の審査員が満場一致でグランプリに選んだのは、アントワープを拠点にするデザイナーデュオのメンズウエアブランド「ボッター(BOTTER)」。32歳のルシェミー・ボッター(Rushemy Botter)はアントワープ王立芸術学院を昨年卒業。パートナーのリジー・ヘレブラー(Lisi Herrebrugh)は現在28歳で、アムステルダム・ファッション・インスティテュートでファッションを学び、「ヴィクター&ロルフ(VIKTOR&ROLF)」でインターンを経験。ボッターの卒業後間もなく2人で「ボッター」を立ち上げた。

 共にカリブ海諸島にルーツを持つ2人は、漁師や地元民の日常の暮らしから多くのインスピレーションを得て“Fish or Fight”と題したコレクションを披露した。地元のデザイン会社や仕立て屋のテクニックを取り入れたクラシックなテーラードを崩して再構築したジャケットやスーツはエネルギッシュで独創的だ。小物として取り入れた浮き輪やビニール袋は、海洋の環境問題へのメッセージが込められている。

 アッカーマンは「成熟した技術とクレイジーさのバランス感が素晴らしい」と評価した。ボッターは着想源となったカリビアン・スタイルについて「カリブ海諸島で暮らす人々、特に若者の、一見不釣り合いに見える色やアイテムのユニークな組み合わせ方に魅せられている。オシャレに見られたいと思って犯してしまう彼らの失敗が、僕らには斬新で美しく映る」と説明した。女性デザイナーであるヘレブラーは「見方によっては、メンズウエアは時に、ウィメンズウエアよりも創造力に富み、革新的であると思う。現代のファッションシーンは誠意と純粋さを失いつつあり、人々はシリアスになり過ぎていると感じるから、今こそルールを壊して変わる時」だと、力強く語った。

 通例通り、グランプリには副賞として、生地の国際見本市「プルミエール・ヴィジョン(PREMIERE VISION)」から賞金1万5000ユーロ(約195万円)と見本市での作品展示、「シャネル(CHANEL)」から同額相当のメティエダールの技術提供、「プチバトー(PETIT BATEAU)」から製品作りのコラボレーションとロイヤリティーおよび1万ユーロ(約130万
円)が贈られる。現在「ボッター」は「LVMHヤング ファッション デザイナー プライズ」でもファイナリストに選出されており、6月6日に開催されるグランプリ発表に注目が集まる。

ELIE INOUE:パリ在住ジャーナリスト。大学卒業後、ニューヨークに渡りファッションジャーナリスト、コーディネーターとして経験を積む。2016年からパリに拠点を移し、各都市のコレクション取材やデザイナーのインタビュー、ファッションやライフスタイルの取材、執筆を手掛ける

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