ビジネス

マルキューに大型SC初の本格オムニストア 大型モールにも波及か

 SHIBUYA109エンタテイメントは28日、渋谷109の地下2階に日本の大型商業施設として初めて、ECサイトとリアル売り場が連動した本格的なオムニチャネル型売り場「イマダ・マーケット(IMADA MARKET)」をオープンした。商品の在庫情報やPOSなどの売り場の仕組みがリアル売り場とECで完全に一つのシステムで動く一方、出店テナントは家賃や内装費などの出店にかかる初期費用をほぼゼロに抑えられるため、小規模なブランドでも無理なく出店できる。日本のファッション市場が成熟期に入り、かつてのような急成長が難しくなる中で、オムニ型の売り場は今後、他のモールやファッションビルにも大きな影響を与えそうだ。

 「イマダ・マーケット」は、ベンチャー企業のイロヤ(IROYA)と組み、同社のリアル店舗とECサイトの運営を一括でできる「モノポス(MONOPOS)」を活用。POSは専用端末を必要とせず、iPadなどのタブレット端末(写真)のクラウド上のアプリを通じて、生産管理から決済までをカバーできる。SHIBUYA109エンタテイメントは、テナントの商品をイロヤの提携先の倉庫に入れ、「イマダ・マーケット」の売り場と複数のECサイトで販売する仕組み。テナント側からは出店料は取らず、売り上げから一定の割合の金額を徴収する。木村知郎SHIBUYA109エンタテイメント社長は「今後はマルキューの他の売り場だけでなく、他の商業施設にも『イマダ・マーケット』を一つのパッケージとして広げていきたい」と語り、この仕組みを積極的に拡大する考え。

  これまでファッションビルや大型モールは立地やテナント構成を武器に集客を担い、ベースになる家賃と売り上げから数%をテナント側から徴収してきた。テナント側にとっては路面店のように内装や商品MDを独自に構成できる一方で、一定の資本力も必要で、売り場の同質化を招いてきた。また、市場が成熟しかつてのようにファッション市場で爆発的な成長が見込みづらくなり、圧倒的な集客力を武器にインキュベーション型のビジネスモデルを標榜してきた渋谷109でさえも、「従来のやり方では、テナント側が内装費や販売員を立てるなどの負担に耐えきれず、ユニークなブランドが集まりづらくなっていた。テナント起点のやり方を突き詰める中で、シンプルで出店のしやすい『イマダ・マーケット』の仕組みに行き着いた」と、このプロジェクトを主導した中里研二マーケティング戦略事業部副事業部長は語る。

 「イマダ・マーケット」は4月28日〜5月28日を、雑誌「ナイロンジャパン(NYLON JAPAN)」と組んだセレクトショップ「エヌエルティーストア バイ ナイロンジャパン(NLT STORE BY NYLON JAPAN)」、6月2日〜7月9日までを未上陸の韓国ブランドを中心にした「ハイ ソウル!パワード バイ コトラ(Hi,SEOUL! POWERED BY KOTRA)」になる。

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