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シャネルが専門アトリエ3社の少数株式取得 「伝統技術の維持に不可欠」

 シャネル(CHANEL)は、レザーグッズメーカーの伊レナート・コルティ(RENATO CORTI)の株式を40%、ハンドバッグメーカーの伊マビ(MABI)を同40%、そしてテーラリングやランジェリーなどの工房を展開する仏グランディス(GRANDIS)を同34%取得した。いずれも以前から取引のある会社で、投資額は合計で1億6900万ドル(約179億円)。取得手続きは1月に完了していた。

 ブルーノ・パブロフスキー(Bruno Pavlovsky)=シャネル ファッション部門プレジデントは、「これからも長年にわたってラグジュアリー分野のリーダーであり続けるためには、伝統的な技術を持つアトリエの存在が不可欠だ。当社としては、ただ企業をたくさん買収しているわけではなく、優良なサプライヤーを存続させるべく守ることが狙い。例えば、ツイードを生産する会社がなくなってしまったら『シャネル』のシグネチャーであるツイードスーツが作れなくなってしまう。そうした事態を避けるため、買収や特定の調達契約を結ぶなどの必要な手段を取っていきたい。1月に投資した3社は、オーナーが引退を考えていたり、事業拡大のために新たな投資先を探したりしていた。今後は株主としてますます良好な関係を各社と築きつつ、いずれは完全に傘下に収めることも視野に入れている」と語った。

 シャネルは7月にも皮なめしやレザープリントを手掛ける伊サマンタ(SAMANTA)の株式を取得しているが、取引の詳細は明らかになっていない。同社は爬虫類などの革を指すエキゾチック・レザーの使用を廃止することを2018年12月に発表しており、サマンタでは通常のレザーに爬虫類の革のような模様を印刷することができるという。パブロフスキー=シャネル ファッション部門プレジデントは、「素晴らしい技術だと思う。エキゾチック・レザーを模するため以外にもさまざまな用途が考えられる。当社はレザーの代替品を開発している企業にも投資しているが、実用化には時間がかかる。将来的には、食肉産業の副産物として生まれる本物のレザーと、新たに開発された新素材を併用していくことになるのではないか」と述べた。

 18年に、同社はスペインの皮なめし会社コロマー・レザー・グループ(COLOMER LEATHER GROUP)を9000万ドル(約95億円)で買収し、米グリーンケミストリー(有害化学物質をできる限り使用・排出しない化学製品)会社のイボルブド バイ ネイチャー(EVOLVED BY NATURE)の少数株式を取得した。また、スキンケア製品の原材料として使用されるコーヒーのため、環境を重視したコスタリカのコーヒー会社にも出資している。19年プレ・フォール・コレクションでは、パイナップルの葉の繊維から作られるレザーに似た天然素材「ピニャテックス(PINATEX)」製の帽子を発表した。

 なお、同社はパリ北部のオーベルヴィリエに新施設を建設中で、20年下期に完成予定。工事現場には職人による手仕事をテーマとした壁画が描かれている。地上5階、地下2階の総面積2万5500平方メートルとなる同施設には、シャネルが管理する専門アトリエの多くが集められるという。