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トランプ大統領、スマホなどの対中関税を延期 アパレル業界は警戒を緩めず

 ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は8月13日、9月1日から発動予定だった中国製品に対する10%の追加関税のうち、携帯電話やパソコン、また一部のアパレル製品への適用を12月15日まで延期すると発表した。同大統領は延期の理由について、「クリスマス商戦に響かないようにした」と語り、関税の引き上げに強く反発していた米小売業界に配慮したことを示唆した。

 こうした背景により、追加関税が延期される品目のリストには、玩具やゲーム類、カシミアのセーターやネクタイなどクリスマスプレゼントとして人気の高い製品が含まれている。米中貿易摩擦の懸念が和らいだことから、13日の米株式市場ではテクノロジー株や消費財関連株を中心に大幅高となり、一時ダウ工業株30種平均は前日比1.4%高の2万6279ドル(約278万5574円)まで上昇した。アパレル関連株では、アメリカンイーグル アウトフィッターズ(AMERICAN EAGLE OUTFITTERS)が同5.5%高の16.38ドル(約1736円)、ゲス インク(GUESS INC.)が同3.9%高の15.44ドル(約1636円)、「カルバン・クライン(CALVIN KLEIN)」や「トミー ヒルフィガー(TOMMY HILFIGER)」を擁するPVHコープ(PVH CORP)が同3.6%高の74.67ドル(約7915円)と好調だった。

 しかし、アパレル製品やフットウエアでは今回の延期リストに含まれていない品目も多い。米アパレル&フットウエア協会(American Apparel & Footwear Association)のリック・ヘルフェンバイン(Rick Helfenbein)=プレジデント兼最高経営責任者は、「特定の衣類とフットウエアに対する追加関税の適用が105日間先送りされたが、米国民が日常的に使う製品や米メーカーが必要とする材料に追加関税を課するという破壊的な計画自体がなくなったわけではない」と述べ、関連業界は気を緩めるべきではないと警告した。同協会は6月に、米国を代表するファッションデザイナーやアパレルブランド、業界団体などと連名で、衣類やフットウエアへの関税発動をやめるよう訴える書簡をトランプ大統領に送付している。

 全米小売業連盟(National Retail Federation)のデイビッド・フレンチ(David French)=シニア・バイス・プレジデントは、「9月1日に追加関税が課される製品も多いため、米国民は値上げされた製品を買わざるを得なくなり、ひいては米経済の減速につながるだろう。米政府は国民を痛めつける追加関税措置を交渉のカードとして使うのではなく、追加関税を先送りした期間中に同盟国などと連携し、中国の不公正な商慣行を正す効果的な戦略を打ち出してほしい」と話した。同連盟もトランプ大統領に対して対中関税の引き上げ中止を求める書簡を送付しているほか、ナイキ(NIKE)やアディダス(ADIDAS)のアメリカ現地法人など173社のスポーツ用品やシューズメーカーも同様の公開書簡を発表している。

 なお、今後の米中交渉に進展がなければ、今回延期された品目にも12月15日から追加関税が適用される。

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