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ワールドがオフプライスストア事業に進出 各社の余剰在庫を値引き販売

 ワールドは1日、オフプライスストア事業に乗り出すことを発表した。動産ビジネスのゴードン・ブラザーズ・ジャパン(東京、田中健二社長、以下GBJ)と折半出資で新会社を設立。9月中旬に1号店をさいたま市に開く。幅広い企業の衣料品や雑貨の余剰在庫を買い取って低価格で販売するオフプライスストアは、米国では百貨店をしのぐ巨大ビジネスに成長しているが、日本では開発が遅れていた。大手アパレルであるワールドの進出で一気に注目を集めることになりそうだ。

 ワールドとGBJが折半出資で8月1日に設立したアンドブリッジ(東京、松下剛社長)が事業を担う。店名も「アンドブリッジ(&BRIDGE)」で展開する。さいたま市の1号店は近郊型ショッピングセンター(SC)に990平方メートルの売り場を設け、百貨店系アパレルやセレクトショップ系企業の余剰在庫を正価の50〜70%オフで販売する。客単価は5000〜6000円を想定する。1号店で売上高3億円を目指す。

 アウトレットストアはブランドやメーカーが抱えた余剰在庫を自ら値引き販売しているのに対し、オフプライスストアは事業者が多数のブランドの余剰在庫を買い集めて値引きして販売する。日本ではなじみの薄いオフプライスストアだが、1990年代に始まった米国では「TJマックス(TJ MAXX)」を運営する最大手TJXの売上高が4兆円を超えるなど、市場で高い存在感を放っている。

 日本で業態開発が遅れていたのは、ブランドイメージや既存流通への配慮、商慣習の違いなどが主な理由だ。しかし、アパレル業界の大量生産や大量廃棄が社会問題化して厳しい目が注がれる中、「メーカーの枠を超えて服を再循環させる試みが急務」(上山健二ワールド社長)として進出を決めた。

 GBJの親会社である米ゴードン・ブラザーズ(GORDON BROTHERS)は動産事業において世界最大手。アパレルの余剰在庫のビジネスでは「TJマックス」とも取り引きしており、世界中のブランドの調達網を持っている。GBJの流通小売在庫の取扱高は219億円(2018年)で、この数年は平均20%の成長率が続いている。GBJの調達力とワールドの店舗運営のノウハウを掛け合わせ、先行者利益を確保する考えだ。ワールドはセレクト古着店「ラグタグ(RAGTAG)」を運営するグループ企業のティンパンアレイの2次流通の経験も活用し、多品種少量や感度の高さを求める日本の消費者に適した店を作る。

 1号店以降の具体的な出店計画は明らかにしていない。それでもGBJの田中健二社長は「400〜500店のポテンシャルはある」と語る。1号店は郊外の幹線道路沿いだが、数年後には都市近郊の駅周辺立地に495平方メートル規模のコンパクトな店を出す。またECの展開も視野に入れる。

 アパレル業界には余剰在庫を現金化できるオフプライスストアを歓迎する声がある一方で、百貨店をはじめとした既存流通への影響を懸念する声もある。この点についてワールドの上山社長は「オフプライスストアはバリューチェーンの最後の手段なので、プロパーへの影響は限定的だろう」と話す。GBJの田中社長も「今後は(流通の)役割が明確になる。お客さまにとっては選択肢が広がる」とメリットを強調した。