ファッション

ロンハーマンがイチ押し インドの人間国宝が織る銘品ストールが日本上陸 

 「他にはないモノが欲しい」――ロンハーマン(RON HERMAN)は顧客の声に応えて2018-19年秋冬、“世界の銘品”を伝えるプロジェクトを始動する。第1弾はインドの伝統技術が凝縮されたストールブランド「カシミール・ルーム(KASHIMIR LOOM)」を大きく打ち出し、8月11日に店頭に並べる。価格帯は9万9000~106万円で、100枚程度買い付けた。

 1枚のストールを完成させるのに1人の職人が3~5年を費やすというそのストールは、手紡ぎ、手織り、手刺しゅうで生産され、もはや芸術作品だ。刺しゅうは裏表の区別が付かないほど玉止めの技法が美しく、織りはパターンを使用せず、すべて職人の頭の中から紡がれるという。中でも技量を要す“カニ織り”と呼ばれる手織物は、数人しかいない職人が生産。中にはインドの人間国宝の織り師もいるという。ストールにはすべて職人の名前が記されており、まさに他にはない逸品だ。原料は、カシミール地方の標高4000mに生息するチャングラヤギの毛で、伝統技術を十分に生かしながらも、洗練とコンテンポラリーなムードも放つ点が魅力だ。

 ブランドの起源は、英国人のテキスタイル研究家でデザイナーのジェニー・ハウスゴー(Jenny Housego)が、30年前にインドに渡り、そこで出会った現地の職人たちの技術にほれ込んだことから。インド・カシミール地方の州都シュリーナガルで育ち、テキスタイルに造詣が深いアサフ・アリ(Asaf Ali)と出会い、2人で2000年に「カシミール・ルーム」を立ち上げた。織物職人や刺しゅう職人たちと深く関わりながらコミュニケーションすることで、彼らが持つ伝統的手工芸技術に現代的なデザインを組み合わせた独創的なストールが誕生したという。さらに、古い伝統技術を復活させ、カシミールやハリヤーナー、西ベンガル地方の家族の生活も守っているエシカル(倫理的な)な視点も持つブランドだ。

 とはいえ、そうそう量産できるものではない。「5年前の六本木店オープン時に買い付けたのがきっかけでした。そのときに、手仕事が生きたアイテムのすばらしさをお客さまにも広く知っていただきたいという気持ちがスタッフに芽生えました。一枚一枚がアートピースに近いため、数量を買い付けるのも一朝一夕にはいかない。5年間、デザイナーと交流を深めたことで今回の量を買い付けることができました」とバイヤーの栗元由美子さん。「普段のワードローブの一つとして提案したい。いつものシャツとジーンズにさらりとまとうだけで、何気ない1日を特別な1日に。ドレスを着る特別な日には、もっと輝けるように」という思いがある。

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