ファッション

独自のアイデアで道を切り開く4人のネクストリーダーたち

 2000号では、これからのファッション業界を担う重要な“ネクストリーダー”を14人選定した。すでに第一線で活躍しているが、10年度、20年後には今以上に、ファッション業界をリードしているであろう人たちだ。彼らのターニングポイントはいつだったのか、またファッション業界をどうけん引していきたいのか――。第2弾は、小泉智貴「トモ コイズミ(TOMO KOIZUMI)」デザイナー、フェイク トーキョー(FAKE TOKYO)の伊藤雄相・代表取締役と柳翔吾フェイク トーキョー チーフディレクター兼MATT.マネージャー、靴職人の五宝賢太郎の4人に話を聞いた。

就活中にリーマンショックを経験、
やりたいことをやろうと決めた

小泉智貴

WWDジャパン(以下、WWD):衣装デザイナーになったきっかけは?

小泉智貴(以下、小泉):幼少期から母親の影響でファッションに興味を持っていました。中学時代からしばらくはジョン・ガリアーノ(John Galliano)のデザインに夢中でした。彼の作るファンタジーの世界に感動して、自分も感動を与えられるモノ作りをしたいと決心しました。中学生の時にクリスマスプレゼントにミシンを買ってもらって独学で縫製を始め、高校時代も文化祭でファッションショーを企画したり、デザインコンテストに入賞したこともあります。当時はファッションデザインとファッションマガジンの両方に興味があったので、どちらも学べる美術系の学部に進学しました。

WWD:ブランドを立ち上げた経緯は?

小泉:大学在学中はファッション系のサークルに所属して、年に数回ショーや展示会で作品を発表しました。スタイリストの北村道子さんなど、さまざまな方の現場にお手伝いにも行きました。就職活動を始める頃にリーマンショックが起こって、「大手企業でも安定しないなら、やりたいことをやろう」とスタイリスト兼衣装デザイナーになることを決めました。大学4年の時に、自分がデザインした服を着てクラブに遊びに行った時にスナップサイトに掲載され、「ザナドゥトウキョウ(XANADU TOKYO)」の本橋達郎オーナーから連絡をいただき、取り扱い開始と同時にブランドを立ち上げました。もともとシニカルなデザインが好きだったので、ブランド立ち上げからまもなく女優や歌手の方に着用していただいたり、雑誌で取り上げていただけるようになって、カスタムメードの衣装のオーダーをいただくことが多くなり、主な仕事になっています。

WWD:衣装デザイナーになってからのターニングポイントは?

小泉:1つ目は、大学在学中にPerfumeの衣装を作れたことです。初めてのアーティストの衣装デザインがPerfumeさんでした。自分のデザインが憧れているアーティストの方々に使ってもらえる喜びは大きな自信につながりました。2つ目は、2016年にレディー・ガガ(Lady Gaga)が来日した際に衣装を着用してくれたことです。その後、アジア圏やヨーロッパからの注文が入るようになって、反響の大きさにとても驚きました。

WWD:今後の目標、夢、野望などを聞かせてください。

小泉:ドレスのデザインが大好きなので、ブライダル業界で力を発揮できたらいいなと考えています。特別な日に、特別なドレスを着る幸せを提供できたら最高ですね。あとは来年30歳という節目を迎えるので、自分へのバースデープレゼントのような、新しいコレクションを発表予定です。自分は、マルチにデザインし活躍できるデザイナーだとは思っていません。ですが、作った物で人の気持ちを明るく楽しくすることができると思っています。たとえそれが日常的に簡単に着られるものでなかったとしても、写真や展示、衣装を着用したパフォーマンスなど、見て楽しむことができます。そして、それによってエネルギーを得て、幸せな気分になってもらえたら、それが自分の幸せにもつながります。たくさんの人の幸せにつながる、ロマンチックでドラマチックなモノ作りをこれからもしていきたいです。

渋谷の一等地で
非現実的なビジネスを続けて、
若者のエネルギーを後押ししたい

伊藤雄相 / 柳翔吾

WWD:伊藤さん、フェイク トーキョーを立ち上げたきっかけは?

伊藤雄相(以下、伊藤):大学在学中に入社したキャンディーと、ウィメンズのシスターの事業を譲り受ける形でスタートしました。当時国内には、自分がおもしろいと感じるセレクトショップがありませんでした。大衆的に売れるブランドではなく、アンダーグラウンドの面白いブランドだけを集めて発信していくことは、一般的に考えれば非現実的なことですが、それを継続していくことで、ファッションにも夢があると若い世代に思ってもらえる存在でありたいと思い、立ち上げを決めました。

WWD:では、柳さんがフェイク トーキョーに関わるようになったきっかけは?

柳:友人でもあった現フェイク トーキョー代表の伊藤に、セレクトショップのキャンディー(CANDY)のリニューアルオープンの手伝いをしないかと誘われて、キャンディーで働き始めたのがきっかけです。その後伊藤が発起人となり、キャンディーと同じくセレクトショップのシスターを統合したフェイク トーキョーを立ち上げることになりました。

WWD:フェイク トーキョーを立ち上げてからこれまでのターニングポイントは?

伊藤:新宿2丁目から、渋谷に移転した時です。これまで自分たちがやってきたことをより多くの人に知ってもらういい機会になりました。渋谷の宇田川町で4年ほど営業をして、今年2月に神宮前6丁目の今の場所に移ったことも同じくターニングポイントです。場所を移すにはそれなりのリスクがあり、僕たちにとっての挑戦と言えます。

柳:関わったことすべてがターニングポイントです。誰に教わるわけでもなく、自分たちで試行錯誤しながら今まで進んできました。立ち上げ、バイイング、PR、ウェブサイトの立ち上げ、ショールームの立ち上げ、MATT.の立ち上げ、移転など、その時々で考え方も変わり、システムを変えてみたり、さまざまな方にサポートしていただいたり、ご迷惑をおかけしてしまったり、数えきれないほどのターニングポイントがありました。

WWD:今後の目標、夢、野望などを聞かせてください。

伊藤:ファッションのエネルギーはやはり若い世代から生まれてくるもので、そこを後押ししていく存在が必要ですし、そういう存在になれたらと思っています。ビジネス的にはまだまだ不十分ですが、社会貢献できなければ存在価値はないと思うので、今やっていることが少しでも世の中のためになればと考えています。

柳:フェイク トーキョーは店舗でもあり、会社でもあります。店舗としては、東京のセレクトショップの代表としてのイメージを作っていけるように頑張りたいです。国内外を問わず、「東京に来たら行くべきお店」としてお客さまが自信を持って人に紹介できるようなお店にしていきたいです。そして会社としては、従来のショップ業態だけでなく、時代の変化の流れをいち早くキャッチし、一歩先のファッション的なアプローチを、ファッション業界だけにとどまらず、さまざまな分野にアプローチできるような集団として、フェイク トーキョーに関わる人(スタッフ、取り扱いブランド、お客さま)と共に時代を作っていけたらと思っています。

スニーカーからブーツまで、
あらゆる靴を一日で形に

五宝賢太郎

WWD:靴職人になったきっかけは?

五宝:幼い頃からティッシュケースの箱に足を入れてはハサミでくり抜いたり、紐を通してみたりと靴らしいものを作って遊んでいました。茨城大学の生活用品デザイン学科に進学し、卒業制作で靴を制作発表しました。在学中に埼玉県蕨市の靴匠、稲村有好氏に弟子入りしました。

WWD:靴職人としてのターニングポイントは?

五宝:25歳のとき、師匠である稲村有好氏が他界して、彼の仕事と工房を引き継ぐことになったときです。稲村氏は多くのブランドのサンプル製作を手掛けていたため、引き継いだ当初から大きな責任と高いクオリティーが求められました。今日まで成長してこられたのは、そんな自分を支えてくれた多くのクライアントの方々のおかげです。

WWD:今後の目標、夢、野望などを聞かせてください。

五宝:靴を通じてさまざまな人たちと出会うことで人生を豊かにしていきたいです。私は、スニーカー、パンプス、サンダル、ブーツ、トラディショナルシューズなど、何でも1~2日あればイメージを形にすることができるので、多くのデザイナー、クリエイターの頭の中にある靴を具体化し、またデザインソースとして活用してもらえたら、いろんなカタチでいろんな人たちとコラボレーションできると思っています。この先の出会いも楽しみでいっぱいです。靴職人という仕事を介して、(陶芸家として高名な)北大路魯山人(ろさんじん)みたいな生き方ができればいいですね(笑)。


最新号紹介

WWD JAPAN

模索する東コレ21年春夏 デジタル×リアルの突破口

「WWDジャパン」11月2日号は、2021年春夏「楽天 ファッション ウィーク東京」特集です。世界が直面するリアル×デジタルという課題、そして東コレに漂う停滞ムードの打破が期待される中、冠スポンサーの楽天が新たな支援プログラム「バイアール」をスタート。支援対象となった「ダブレット」と「ファセッタズム」はどんなショーを行ったのか、デジタルをどう掛け合わせたのか、どのようにメディアを巻き込んだのか。こ…

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