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斎藤工がシンガポール観光大使に レスリーが母国愛を込めた映像も披露

 日本初のシンガポール観光大使に、俳優の斎藤工が就任した。同国政府観光局が新ブランド「パッション・メード・ポッシブル」の設立と合わせて発表されたもので、8月25日に渋谷のトランクホテルで行った会見では、18年来の友人であるシンガポール出身のフォトグラファー、レスリー・キーが撮影したキャンペーンビジュアルやドキュメンタリータッチのスペシャルムービーを披露するとともに、トークセッションも実施。会見後の弊紙単独インタビューと合わせて、シンガポールやクリエイションに対する思い、2人の出会いや今後のプロジェクトなどをまとめてみた。

文化服装学園のスタジオで初対面で撮影、「装苑」に掲載

 レスリーとの初めての出会いは、忘れもしない、文化服装学園のスタジオだったと斎藤工は振り返る。「知り合いに紹介されて、レスリーが『装苑』の撮影をしているところを訪れたのがレスリーとの出会いでした」。レスリーもまだフォトグラファーとして1年目の駆け出しながらも、栗山千明らアップカミングな女の子にフォーカスした6ページの企画などを任されていた。「タクミくんがキラキラしていて美しすぎて。ノリでそのまま撮影して、急遽、タクミくんのページを作ることになりました。当時の編集長は西谷真理子さん。とてもオープンマインドの方だったからこそ実現できたことだと感謝しています」とレスリー。

 斎藤は「本当にすごくラッキーでした。父が映像制作の仕事をしていたので、映画やビジュアルを作るには、プロセスや確認などがすごく大変だという印象がありました。それが、レスリーの場合、『結果が良ければ全て良し』『仕上がりのクオリティーが全てだ』という感覚で。答えから入るやり方に最初は驚きましたが、僕の価値観を変えてくれました。今、自分で映画を作っていますが、プロセスを無視してでも結果を求める覚悟も必要だと思っています。それに、本当に視野が広くて、日本国内で仕事をしようとしていた僕に、『もっと広い視野を持って仕事をするように』と刺激をくれました」と大きな影響を受けたことを明かす。

映画監督として、オリジナリティーを徹底的に追求する

 あれから18年が経過。レスリーは世界で活躍する売れっ子フォトグラファーに、斎藤は人気俳優になるだけでなく、映画監督として活躍の場を広げている。昨年はショートムービーで上海映画祭の賞を獲得。来年2月3日には、自身初となる長編映画「blank13」(主演:高橋一生、共演:リリー・フランキーら)の公開が控えている。

 映画作りに際しては、キャスティングやチーム編成、ストーリーや撮影場所など、全てを自分でオーガナイズしたいという願望もあるという斎藤だが、「映画を作るとなったら、メンバーを集めたグループラインをすぐに作ってしまうんです。そこで、自分がやりたいこと、わがまま、こだわりといった意志を表明するんです。みんなが既読になると、『あ、届いたな』『共有できたな』と確認できる。それが徹底できていなければ、プロジェクトとして僕がやる意味がないと思うんです。パーソナルなオリジナリティーを発揮して、いい意見を出し合って一緒にモノを作っていく楽しみはそこにあると思います」。

 これを聞いたレスリーは、「タクミくんが言うと、みんな納得してくれるけど、私が同じことをしたらワガママだと言われます。感情を出してしまうから……。いろいろと学ばなくちゃいけないなと思いますね。タクミくんは役者なので、伝え方が上手なのかもしれませんね」と苦笑いする。ただし、クリエイションに対するシンパシーを強く感じているという。「タクミくんは先輩や後輩たちも含めて素晴らしいモノ作りを一緒に味わってもらいたいと思っていたり、作品そのものや制作に参加することで、得るものが大きくなることをすごく考えているのでしょうね。いつもポジティブで、育った言葉も年代も違うけれども、優しい心と強い心を持ち、大胆なことをやらせてくれる。だから彼のことをサポートしていきたいとみんなが思うんですよね」。

 それは、斎藤が考える、レスリーに対する思いと重複している。斎藤は「10年くらい前、『日本脱出』という自叙伝を出したときもそうでした。レスリーはすでに世界の最先端で活躍していてめちゃめちゃ忙しかったのに、全く無名だった僕を撮るために時間を作ってくれたのです。ビヨンセを撮影した後にスタジオに来てくれて、終わったらすぐにヨンさまを撮りに向かうという。日本の発展途上の僕みたいな人間に、愛のスポットを当て続けてきてくれたんです。これはみんなに対して同じなんです。レスリーは自分のクリエイティビティーとかクオリティーを追求するだけではなく、出会った人たちみんなでいいものを作ろうという強い想いとパッションを持っているんです。会うたびに、すごいスピードでパッションを持って進化し続けています。そして、優しい根っこは全然変わらないんです」。