ファッション

第1回ロエベ クラフト プライズ授賞式がマドリードで開催

 「ロエべ(LOEWE)」は4月10日、スペイン・マドリードで第1回ロエベ クラフト プライズ(LOEWE CRAFT PRIZE、以下、クラフト プライズ)の授賞式を行った。デザイン・建築などの分野で活躍する第一人者で構成される審査員が、26人のファイナリストの中から選出。ドイツ生まれのエルンスト・ギャンパール(ERNST GAMPERL)が受賞した。彼は嵐で根元から折れた樹齢300年を超えるオーク材を使用したオブジェを制作。木そのものの形や亀裂、割れ目などを生かしたデザインに、金銀線細工を施した作品は、倒れた木のストーリーを永遠のものにしている。授賞式では、女優のシャーロット・ランプリング(CHARLOTTE RAMPLING)がギャン パールにトロフィーと賞金5万ユーロ(約590万円)を授与した。

 優秀な作品が多く、急きょ特別賞が設けられ、日本人の神代良明(YOSHIAKI KOJIRO)とメキシコからアステサニアス・パニクア(ARTESANIAS PANIKUA、以下、パニクア)が受賞。神代はガラス粉末と酸化銅粉末を混ぜ合わせ、溶けたガラスと加熱した鉱物から発生するガスの相互効果を利用した陶器を制作した。パニクアはメキシコ・ミチョアカン地区の先住民プレペチャ族の末裔である工房で、祖先伝来のクラフツマンシップを継続しつつ発展している。何百本もの小麦繊維の撚り糸を織った作品で、戦いと火を意味するプレペチャ族の太陽神を表現。

 クラフト プライズはロエベ財団(ロエベ一族が1988年設立)が現代の職人らの卓越性や芸術的価値を称える目的で2016年にスタート。クリエイティブ・ディレクターのジョナサン・アンダーソン(JONATHAN ANDERSON)がクラフトの協働工房であったロエベの創業形態にインスピレーションを得て発案したのがきっかけだ。アンダーソンは「クラフトはロエベの真髄だ。メゾンとして、『クラフト』という言葉が持つ最も純粋な意味でモノ作りをしている」とコメント。「工芸技術の斬新な適用と芸術性あふれるオリジナルコンセプトを組み合わせること」を応募資格とし、18歳以上のプロのアルチザンから作品を募った。専門委員会が2月、75カ国から集まった約4000点の応募作品から26人のファイナリストを選出。日本からは266人の応募があった。

 今回の審査員は、アンダーソンをはじめ、デザイナー兼日本民藝館館長の深澤直人(NAOTO FUKASAWA)や建築家兼デザイナーのパトリシア・ウルキオラ(PATRICIA URQUIOLA)、ジュエリー・アーティスト兼ドローグ デザイン共同設立者のハイス・バッカー(GIJS BAKKER)などが務めた。

 受賞作品および全ファイナリストの作品は、マドリードに続き、ニューヨークやロンドンなどで巡回展示される。日本では11月に展示予定だ。

 第2回クラフト プライズの応募は6月にスタート。受賞者の発表は来年、パリで予定している。

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