ビジネス

出版業界の再編はどこへ向かうのか?

 ハースト婦人画報社(以下、ハースト)と講談社が3月9日に発表した業務提携は、衝撃的だった。4月6日発行の「エル・ア・ターブル(ELLE a table)」からハーストが刊行する雑誌14誌やムックなど、全ての出版物の販売業務を講談社が請け負うという内容だった。講談社は、出版取次業者大手2社、日本出版販売とトーハンの筆頭株主だ。同社の優位な販売条件と配本能力は、ハーストにとって魅力的だ。一方、講談社にとっては、ハーストの本国との太いパイプによる最先端のデジタル施策や海外情報は魅力的に映るはずだ。また、女性誌の数も講談社の「ウィズ(with)」「ヴィヴィ(ViVi)」「フラウ(FRaU)」「ヴォーチェ(VOCE)」の4誌に比べ、ハーストは9誌にのぼる。今後、書店で大掛かりな女性誌のプロモーションを共同で実施することも可能だ。野間省伸・講談社社長は会見で「今後、講談社のコミックのキャラクターがハーストの雑誌に登場するかもしれない」とコメントし、さらに、ハーストのコンテンツを書籍化することや、デジタル施策でのコンテンツ共有もありうると言及した。今回の会見は、単なる販売の業務提携ではなく、今後のさらなる連携を示唆している“。それぞれの強みを生かし、生き残る。”それを強く印象づけた会見であり、野間社長とイヴ・ブゴン=ハースト婦人画報社社長兼CEOのツーショット写真は、本格的な出版業界再編の“序章”であると感じさせた。

 2015年1月号の「出版月報」によると、14年の雑誌推定販売金額は、月刊誌・週刊誌合計で前年比5.0%減の8520億円と17年連続のマイナスだった。内訳は、月刊誌が同4.0%減の6836億円、週刊誌が同8.9%減の1684億円。月刊誌には、好調なコミックが含まれており、コミックとムックを除いた定期誌の販売実績は、約7%の落ち込みだった。女性誌の推定発行部数でみるとティーンズ誌、家庭実用誌を含め、前年比11.9%減と過去最大の落ち込みになる厳しい結果だ。昨年は「ジル(JILLE)」(双葉社)、「エッグ(egg)」(大洋図書)、「ブレンダ(BLENDA)」(角川春樹事務所)、ギャル誌や20代向けの雑誌が休刊し、ギャルマーケットは厳しい状況になった。またマガジンハウスの30代女子に向けたカジュアルファッション誌「リップス(Lips)」も休刊。一方、昨年休刊した「小悪魔アゲハ」は、発行元をダナリーデラックス、発売元をネコ・パブリッシングが担い、今年4月に復刊したのは明るい話題だ。付録人気で部数を伸ばしていた宝島社も大幅な部数減になり、同社の「スプリング(SPRiNG)」「キューティ(CUTiE)」は、付録を付けずにリニューアルしたが苦戦している。いわれて久しい若い世代の雑誌離れ、さらには雑誌の購入の後押しになっていた付録の効力も落ちてきている状況に、なかなか歯止めがかからなくなってきている。特に若い世代に向けたメディアでは、雑誌は印刷代、紙代などのコストがかかるため、紙からデジタルに切り替わる媒体も増えていきそうだ。

次ページ:進む大手出版社の協業・再編・統合▶

関連タグの最新記事

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

色で着崩すクラシック 2026-27年秋冬ウィメンズリアルトレンド特集【WWDBEAUTY付録:2026年上半期ベストコスメ発表】

「WWDJAPAN」6月22日発売号は、「リアルトレンド」ウィメンズ編です。国内アパレルやセレクト各社の2026-27年秋冬の打ち出しを一挙に紹介。シーズンのトレンド傾向から「今っぽい」をかなえるスタイリング術までを読み解きます。今季のキーワードは、「クラシック」と「エレガンス」。多くのブランドが、端正なジャケットを主役にしたトラッドスタイルをベースに、独自の解釈を加えた提案に挑戦しています。また…

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。 This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

メルマガ会員の登録が完了しました。