ハースト婦人画報社(以下、ハースト)と講談社が3月9日に発表した業務提携は、衝撃的だった。4月6日発行の「エル・ア・ターブル(ELLE a table)」からハーストが刊行する雑誌14誌やムックなど、全ての出版物の販売業務を講談社が請け負うという内容だった。講談社は、出版取次業者大手2社、日本出版販売とトーハンの筆頭株主だ。同社の優位な販売条件と配本能力は、ハーストにとって魅力的だ。一方、講談社にとっては、ハーストの本国との太いパイプによる最先端のデジタル施策や海外情報は魅力的に映るはずだ。また、女性誌の数も講談社の「ウィズ(with)」「ヴィヴィ(ViVi)」「フラウ(FRaU)」「ヴォーチェ(VOCE)」の4誌に比べ、ハーストは9誌にのぼる。今後、書店で大掛かりな女性誌のプロモーションを共同で実施することも可能だ。野間省伸・講談社社長は会見で「今後、講談社のコミックのキャラクターがハーストの雑誌に登場するかもしれない」とコメントし、さらに、ハーストのコンテンツを書籍化することや、デジタル施策でのコンテンツ共有もありうると言及した。今回の会見は、単なる販売の業務提携ではなく、今後のさらなる連携を示唆している“。それぞれの強みを生かし、生き残る。”それを強く印象づけた会見であり、野間社長とイヴ・ブゴン=ハースト婦人画報社社長兼CEOのツーショット写真は、本格的な出版業界再編の“序章”であると感じさせた。
一方、集英社でも朝日新聞社と協業し、3月25日、米モード・ライフスタイル誌「ザ・ニューヨーク・タイムズ・スタイル・マガジン(The New York Times Style Magazine)」の日本版「ティー・ジャパン・ザ・ニューヨーク・タイムズ・スタイル・マガジン(T JAPAN The New York Times Style Magazine)」を創刊する。デリバリー式のフリーマガジンで新聞の定期購読者の宅配データを生かした協業ビジネスだ。朝日新聞社の宅配データに基づき、首都圏の平均年収1500万円以上の所得を持つ最富裕層エリアに16万部、関東・中部・関西在住の開業医に2万部、集英社のファッション通販サイト「フラッグショップ(FLAG SHOP)」の最優良顧客に2万部の計20万部を配布する。