日本時間の6月12日、アメリカ・カナダ・メキシコの北米3カ国共催で幕を開けた「FIFA ワールドカップ 2026」は、厳しい予選を勝ち上がった48カ国が世界一を目指した約1カ月に及ぶ戦いも、残すは3位決定戦と決勝の2試合のみとなった。
ファイナルに駒を進めたのは、史上3カ国目の連覇を狙うアルゼンチン代表と、4大会ぶりの頂点を目指すスペイン代表。世界王者を決める一戦であることはもちろん、その舞台には約100年のW杯史や、異なる時代を背負うスターたちの物語、そしてユニホームを手掛けるブランドの思惑まで、ピッチの外側にも数多くのストーリーが存在する。211の国と地域の頂点を決する大一番をより深く楽しむための、知っておきたい5つのトピックをひも解く。
1.史上初の現役南米王者vs現役欧州王者
今大会の決勝は、史上3カ国目の連覇を狙うディフェンディングチャンピオンのアルゼンチンが4度目、スペインが4大会ぶり2度目の優勝を狙う。2024年にアルゼンチンは南米大陸選手権大会のコパ アメリカ(COPA AMERICA)を、同年にスペインはUEFA欧州選手権(UEFA EURO)を制覇しており、現役欧州王者vs現役南米王者がW杯決勝で激突するのは、意外にも約100年に及ぶW杯史の中で初めて。また、FIFAランキング1位のアルゼンチンと2位のスペインという、実力通りの上位2カ国が直接対決でタイトルを争うこととなった。
2.過去の勝敗は五分、60年ぶりのW杯再戦
アルゼンチンとスペインは、過去に14度対戦しており、成績は6勝2分6敗とまったくの五分。W杯での唯一の対戦は、1966年イングランド大会のグループステージで、当時はアルゼンチンが2-1で勝利している。だが、直近の対戦となる2018年3月の国際親善試合では、メッシを負傷で欠いたアルゼンチンに対し、スペインが6-1で大勝していた。なお、今年3月に現役南米王者と現役欧州王者が相まみえる国際大会のフィナリッシマ(FINALISSIMA)が予定されていたものの、中東情勢の悪化によって中止となっていたため、フットボールファン垂涎の頂上決戦が舞台を変えて実現することとなる。
3.“W杯優勝監督は自国出身”のジンクス
過去23大会で9カ国がW杯を制してきたが、いずれの代表チームも指揮官は自国出身の監督だった。アルゼンチン代表はサンタフェ州出身の監督リオネル・スカローニ(Lionel Scaloni)が、スペイン代表はラ・リオハ州出身の監督ルイス・デ・ラ・フエンテ(Luis de la Fuente)が率いていることから、今大会も“W杯優勝監督は自国出身”のジンクスは継続。史上初の外国人監督によるW杯制覇は、100年目となる次回大会以降に持ち越しとなった。
4.バルセロナの“新旧「10」対決”
アルゼンチン代表リオネル・メッシ(Lionel Messi)は、2008年から21年までの13シーズンにわたりバルセロナの「10」を背負っていた。一方、スペイン代表ラミン・ヤマル(Lamine Yamal)は、7歳でバルセロナの下部組織に入団すると数々の最年少記録を更新し、昨シーズンより「10」を継承。そんな両者には、世界中のフットボールファンの間で話題となった逸話がある。それは、2007年に当時20歳のメッシが、「ユニセフ(UNICEF)」と地元紙によるチャリティーイベントに出席した際、生後5カ月のヤマルと写真を撮っていたのだ。約19年の時を経て、バルセロナの伝説を築いた男と、その未来を託された新たな「10」が、王座を懸けてピッチで対峙する。
5.「アディダス」が描く理想の決勝
両国ともユニホームは「アディダス」が手がけており、スペイン代表は1991年から、アルゼンチン代表は2001年から関係を続けている。W杯決勝で“「アディダス」対決”が実現するのは、2014年ブラジル大会のドイツ代表vsアルゼンチン代表以来3大会ぶりで、前回はドイツ代表が延長戦の末に1-0で栄冠を手にした。そして、メッシとヤマルという2人のエースが、ともに「アディダス」の契約選手であるだけにとどまらず、両国の最終登録メンバー52人のうちの半数以上が「アディダス」のスパイクを着用。まさに、「アディダス」が描く理想的な決勝と言えるだろう。
これに対して、W杯決勝で“「ナイキ」対決”が実現したのは、2018年ロシア大会のフランス代表vsクロアチア代表のみ。また、1998年フランス大会以降は決勝進出国のいずれかを「アディダス」または「ナイキ」がサポートしており、最後にスリーストライプスもスウッシュも乗っていないユニホームを着用した2カ国が決勝で顔を合わせたのは、1994年アメリカ大会。当時は「アンブロ(UMBRO)」のブラジル代表と、「ディアドラ(DIADORA)」のイタリア代表が世界一の座を争った。