ロート製薬は、単に寿命を延ばすのではなく、人が長く健やかに、そして若々しく生きることを意味する「ロンジェビティ」を事業・研究開発の中核に据え、「ロンジェビティを推進し、実現する企業」を宣言した。
同社は1899年の創業以来、胃腸薬や内服薬、スキンケア、食、再生医療など、人の健康に関わる事業領域を拡大してきた。これらは「人が長く健康に生きるためのサイエンスによってつながっている」とし、今回はその考え方をさらに発展させる形で、ロンジェビティの推進を打ち出した。
同社によると、ロンジェビティ関連市場は2030年に7.7兆ドル(約1100兆円)規模に達し、年平均成長率は5.6%で拡大する見通しだ。瀬木英俊ロート製薬社長は「世界がこの潮流に注目する以前から、ロート製薬は、健康、美、予防、診断、治療に関わるソリューションを提供してきた」としたうえで、「ロンジェビティを人間そのものから解き明かしていく」と語った。
細胞研究を基盤にロンジェビティを追求
戦略の中核を担うのが、長年蓄積してきた細胞研究だ。同社は人の体を細胞、組織、臓器からなる多層構造として捉え、細胞が本来持つ恒常性(ホメオスタシス)に着目してきた。「この機能が維持されている限り、私たちの体は若々しさを保つ。しかし、そのバランスが崩れた瞬間から老化が始まる」との考えのもと、そのメカニズムの解明を進めている。
特に注目するのが、細胞間の情報伝達を担う「エクソソーム」だ。修復や再生に関する情報を運ぶ存在として再生医療分野で研究が進む中、ロート製薬はその知見をスキンケアへ応用してきた。
2027年春から主力ブランドへ展開
今回新たに打ち出すのは、植物由来の「フィトエクソソーム」の活用だ。植物や藻類が過酷な環境下で獲得した情報伝達機能に着目し、既存ブランドの価値向上につなげる。
ヒアルロン酸やビタミンCなど、各ブランドが培ってきた独自成分の働きをさらに高める基盤技術として位置付け、2027年春以降、主力ブランド「肌ラボ」「メラノCC」「オバジ(OBAGI)」に順次搭載する予定だ。今後は他ブランドやボディーケア、ヘアケアにも展開し、海外市場への拡大も視野に入れる。
原料には、沖縄・久米島周辺のマングローブ地帯に生息する微細藻類「パブロバ」由来成分を採用する。久米島の拠点で、培養から原料化、品質管理までを自社で一貫して行う体制を構築しており、「高品質な原料を安定的かつ日常的に使える価格で提供できることはロート製薬の強みだ」と胸を張る。
ロート製薬がロンジェビティをけん引するのは「使命」
海外展開にも力を入れる。山田邦雄ロート製薬会長は「海外事業が着実に成長し、現在は国内外の売上比率がほぼ半々になっている」と説明。一方で、「日本が伸び悩むから海外に注力するということではないが、特にスキンケア事業ではアジアで長年培ってきた信頼関係がある」と話す。
2030年までに海外売上高比率53%以上の目標を掲げているが、「アジアは世界で最も早く高齢化が進む地域。健康寿命が1年延びるだけでもGDPを押し上げると言われており、極めて重要なマーケットだ」と強調した。
「日本発のロンジェビティサイエンスを最も自然な形で広げていけるのがロート製薬の強み。日本からアジアへ、そして世界へ、自然とサイエンスの融合から生まれた価値を届けていきたい」と述べた。
さらに、「きれいで、健康で、楽しく長生きしたいという思いは世界中に共通するニーズ。健康であることで心が喜び、満たされる。そんな社会に役立つ企業でありたい」と語り、「ロート製薬がロンジェビティをけん引していくことは使命だ」と力を込めた。