ロート製薬の子会社ロート・F・沖縄は4月17日、沖縄県久米島町に農園「藻類農園FARMO(ファーモ)」を開業した。藻類の研究から生産、製品開発、観光までを一体で担う日本初の複合型藻類拠点だ。化粧品や食品素材として注目が高まる藻類の可能性を引き出し、新たな産業創出と地域共生を目指す。(この記事は「WWDJAPAN」2025年4月28日&5月5日合併号付録「WWDBEAUTY」からの抜粋です)
「久米島モデル」との共鳴
久米島町は、国内最大規模の取水量を誇る「海洋深層水」の利活用を軸とした産業集積を進めている。栄養素が高く、細菌類や化学物質の混入リスクが極めて低いこの海洋深層水は、地熱発電や水産養殖、農業など多分野で活用されてきた。これを「久米島モデル」と呼び、研究機関による基礎研究に加え、民間企業の参入も進み、車エビ(生産量日本一)や、「あたらないカキ」として知られる食中毒リスクの低いカキの養殖が行われている。製造業分野でも、化粧品原料や食品の開発が進むなど、海洋深層水を軸とした産業集積が広がりつつある。
ロート製薬はこのモデルに共鳴し、2016年から海洋深層水を活用した農業実証プロジェクトに参画。地域住民との信頼関係を丁寧に築きながら、微細藻類の研究も着々と進めてきた。今回の開業は、ロート製薬が掲げる新戦略「フィトサイエンス構想」の第1弾にあたる。植物や藻類といった自然素材の科学的解析を通じ、健康や環境といった社会課題の解決につなげる方針で、同構想の試金石となる。
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