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特集 我が道を行く、ロート製薬 第1回 / 全8回

ロート製薬の現在地 挑戦を貫く“変わり者”の成長戦略

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「われわれはスキンケアカンパニーになりたいわけではない」。ロート製薬の山田邦雄会長は、そう明言する。ロート製薬は、医薬品メーカーが化粧品分野で成果を上げることは難しいとされる業界の“定説”を覆し、スキンケア市場への本格参入から23年で、同分野の売上高を約7倍に拡大。今や全社売上高の6割以上を占める中核事業へと育て上げた。足元では、スキンケア領域の売り上げだけで国内化粧品メーカー4位に躍進し、確かな存在感を放っている。しかし、同社は単なるスキンケア事業の成功にとどまらず、より大きなビジョンを見据えている。(この記事は「WWDJAPAN」2025年4月28日&5月5日合併号付録「WWDBEAUTY」からの抜粋で、無料会員登録で最後まで読めます。会員でない方は下の「0円」のボタンを押してください)

この成長の背景には、一つの分野にとどまらない“挑戦”の姿勢がある。スキンケア分野でも、製薬会社としての科学的アプローチとユーザー視点を貫いた製品開発を続けてきた。その地道な積み重ねが実を結び、今では同領域で揺るぎない地位を築いている。だが山田会長は「追いかけられることには慣れていない。むしろ、目線の先には、もっと大きなプレイヤーがいる」と話す。意識しているのは国内の競合ではなく、世界の舞台だ。

海外市場に目を向ければ、欧米大手に加え、韓国などの新興企業の台頭が目立ち、競争環境は激変している。その中でロート製薬が注目するのは、成熟した巨大市場ではなく、市場規模の小さい国や地域だ。たとえば主力ブランドの「肌ラボ」は、化粧水を日常的に使う文化が根付いていない国や地域にも展開している。最初から大きな売り上げが見込めるわけではないが、時間をかけて丁寧に現地の消費者に浸透させ、市場そのものを創出していく。そこには「世界中に美と健康」を提供したいという企業としての姿勢がにじむ。

多角化の原動力は“面白いからやってみる”精神

ロート製薬の歴史は長く、1899年に創業。胃腸薬や目薬などOTC(一般用)医薬品の分野で着実に実績を積み重ねてきた。同社の多角化のきっかけは1999年。山田氏が社長に就任して以降、スキンケアを皮切りに、食品、アグリビジネス、再生医療といった新領域への展開を加速させた。その背景にあるのは「面白いと思ったことはまずやってみる」という精神。それが同社の成長エンジンとなっている。

しかし、当然ながら新規事業にはリスクが伴う。それでもロート製薬は「身の丈に合った背伸び」を信条に、新たな分野への挑戦をやめない。再生医療やアグリビジネスなど、収益化までに時間のかかる分野への投資も厭わない。健康を追求するうえで、「薬だけでは健康になれない」という考えが根底にあるからだ。目先の利益よりも、5年、10年後の社会に何が必要とされるかに軸足を置く。効率性や短期的な成果にとらわれない姿勢は、同業他社と一線を画す。

横断型組織と挑戦文化が支える柔軟な経営

組織運営もユニークだ。一般的な化粧品メーカーがブランドごとに部署を構成する中、同社はそれがない。製品単位で研究、営業、マーケティングが横断的に連携し、技術や知見も交わる。こうした横串の組織に加え、年功序列や肩書きにとらわれない風土も特徴だ。現場の声が意思決定に直結しやすく、挑戦を促す文化が根づいている。環境変化の激しい時代において、しなやかに動ける組織のあり方を体現している。

「我が道を行くしかない」。山田会長のこの言葉は、ロート製薬の哲学を端的に表している。医薬品でも、化粧品でも、食品でもない。そのいずれにもまたがりながら、「心と体の健康」、ひいては「社会の健康」へと視野を広げるのがロート製薬の目指す方向だ。スキンケアはその手段の一つに過ぎない。同社の戦略は、単一の成功にとどまらず、常に新たな領域を模索する“広がり”にこそ価値を見いだしている。失敗を恐れず、次の一手を打ち続けるロート製薬の歩みは、これからも“枠に収まらない成長”を志向していく。

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