デザイナーといえば、いわゆる文化系の極みのような職業に思えるが、コレクション制作やショーの準備などかなりのスタミナを要する面もある。それを見越した体力作りやストレス発散、もしくは趣味の一環としてスポーツを楽しむデザイナーも多い一方で、全く興味がないというケースも。米「WWD」は2026-27年秋冬コレクションの取材中、バックステージで「好きなスポーツがあれば教えてください」というアンケートを敢行。ここでは、ピエールパオロ・ピッチョーリ(Pierpaolo Piccioli)、ドリス・ヴァン・ノッテン(Dries Van Noten)、ステラ・マッカートニー(Stella McCartney)、山本耀司、リック・オウエンス(Rick Owens)ら総勢20人の回答を紹介する。
ピエールパオロ・ピッチョーリ
「バレンシアガ(BALENCIAGA)」クリエイティブ・ディレクター
14歳の頃からサーフィンをしていたが、ちょっとした事故の影響で止め、4~5年前にまたそろそろやろうかと思い立って再開した。イタリア・ネットゥーノにある自宅にいる時は、できる限り波に乗るようにしている。サーフィンをしている間は何も考えず、ただ波に集中するだけでいい。その瞬間を楽しむことが大切だ。
ドリス・ヴァン・ノッテン
「ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)」創業デザイナー
よく歩くし、泳ぐのも好きだが、海で泳ぐのが一番好き。幸い、南イタリアに別荘があり、海までは階段を16段下りるだけ。まさに理想的な環境で、滞在中は1日に5~6回は泳いでいるし、とても楽しんでいる。
ポール・スミス
「ポール・スミス(PAUL SMITH)」創業デザイナー
毎朝5~6時の間に最大25分ほど泳いでいるが、自己流なのであまり上手くはない。髪を濡らしたくない時は“スワン泳ぎ”を、濡らしても構わない場合は背泳ぎをしている。ほかには、天気がよければメイフェアにある旗艦店まで自転車で通勤しているが、とてもクラシックなものに乗っているよ。(※同氏は若い頃、プロを目指すことを考えるほど熱心なサイクリストでありレーサーだった)
グレン・マーティンス
「ディーゼル(DIESEL)」および「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)」クリエイティブ・ディレクター
サッカー、特にワールドカップをよく見る。ベルギー代表(※同氏はベルギー出身)を熱狂的に応援しており、叫び過ぎて声が枯れるほどだ。大抵は友人らとバーで観戦しているよ。
ステラ・マッカートニー
「ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)」創業デザイナー
乗馬が好きだが、年齢のことや、1~2月は雨が多く地面がぬかるんでいて危険なこともあり、最近はあまり全速力で走らせていない。馬は昔から私の人生の一部で、以前は夫と一緒によく乗馬をしていた。しかし彼は止めてしまったので、最近は娘と、もしくは一人で楽しんでいる。とはいえ、馬に乗っているときは、(馬と一緒なので)決して一人になることはない。
リック・オウエンス
「リック・オウエンス(RICK OWENS)」創業デザイナー
競争すること自体が昔から苦手で、居心地悪く感じてしまう。
山本耀司
「ヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)」創業デザイナー
武道、特に柔道と空手に引き付けられた。ちなみに、どちらも黒帯を持っている。
トミー・ヒルフィガー
「トミー ヒルフィガー(TOMMY HILFIGER)」創業デザイナー
テニスは昔から見るのもプレーするのも好きで、情熱を注いできた。その高揚感、規律、歴史の全てに魅了されているし、緻密さとパワーの両方が必要なスポーツという点で、デザイナーである私に響くものがある。自宅にいるときには練習したり、友人らと試合をしたりとできる限り頻繁にプレーするようにしているが、心から楽しみにしている時間だ。テニスは、集中とリズムが重要なスポーツ。1ポイントごとにリセットされ、その瞬間に集中し、即座に対応しつつ、自分の直感を信じなければならない。そうしたマインドセットは、ブランドの構築やコレクションの制作に非常に近いものがある。伝統を踏まえつつ、常に進化しているという点も共通している。コートに立つと、ほかの全てのものから切り離され、その瞬間に集中せざるを得ないからか、頭がクリアになる。競争的でありながら瞑想的でもあり、コートを後にする頃にはいつもエネルギーとインスピレーションに満ちている。
トリー・バーチ
「トリー バーチ(TORY BURCH)」創業デザイナー
一番好きなスポーツは、テニス。子ども時代を過ごしたフィラデルフィア郊外にある農場にはテニスコートがあり、土曜日には家族で夜中の1時ぐらいまで試合をしていた。テニスには規律、動き、純粋な喜びの全てがある。ボールを打つ際のリズムや、ゲームに集中することで頭がクリアになり、リフレッシュする感覚が好き。
アレッサンドロ・サルトリ
「ゼニア(ZEGNA)」アーティスティック・ディレクター
ビンテージカーを運転することが好き。幼い頃からビンテージカーや、1950~60年代のデザインに関心を抱いていた。初めて手に入れたのは、「フォード(FORD)」が65年に製造したインクブルーのマスタングファストバック289。子どもの頃に精緻なプラモデルを持っていたので、同じものを探し求めて購入した。
サイモン・ポート・ジャックムス
「ジャックムス(JACQUEMUS)」創業デザイナー
サッカー、特にフランス代表チームが好きなので(※同氏はフランス出身)、ワールドカップが本当に楽しみ。チームのスカーフやユニホームなども購入済みだ。フランスチームが一丸となってプレーする様子はとても美しいし、オリンピックやワールドカップは、みんなが一つになる瞬間を生み出してくれるところがいいと思う。
ラザロ・ヘルナンデスとジャック・マッコロー
「ロエベ(LOEWE)」クリエイティブ・ディレクター
実は、2人ともスポーツに全く興味がないんだ(笑)
シェミナ・カマリ
「クロエ(CHLOE)」クリエイティブ・ディレクター
フィギュアスケートを見るのが大好き。衣装やヘアメイク、動きなどを含めて一つの世界のようであり、どこか儀式的でもある。野心的な女の子たちが大きな夢に向かって挑戦する文化というところも魅力的。ほかには、全仏オープンなどの大きなテニスの大会を見に行くのも好き。心理的な側面から見ても、興味深いスポーツだと思う。
ノーマ・カマリ
「ノーマ カマリ(NORMA KAMALI)」創業デザイナー
バスケットボールの試合を見に行ったことはなく、大きな大会をテレビで少し見たことがあるだけだが、シュートを打つのは楽しいと思う。何年も前、ガレージのドアにバスケットゴールを設置している友人宅を訪れた際、ボールを投げてみたら見事に入り、それがあまりにも楽しくて何度も繰り返し、気づいたら汗だくになっていた。それ以来、ゴールのある公園などにマイボールを持参してはシュートを打ち、その催眠的で瞑想的なリズムに没頭している。
デュラン・ランティンク
「デュラン ランティンク(DURAN LANTINK)」創業デザイナー兼「ジャンポール・ゴルチエ(JEAN PAUL GAULTIER)」クリエイティブ・ディレクター
テニスをプレーするし、スノーボードも好き。ソファに座って連続ドラマを見るのもスポーツにカウントされるかな?(笑)テニスは競争性が魅力。スノーボードはまず景色が美しいし、初めて行った山で新しいルートを滑る時のスリルや、スピード感が好き。
ショーン・マクギアー
「マックイーン(McQUEEN)」クリエイティブ・ディレクター
ヨガにはまっている。朝、仕事を始める前にヨガをやることが多いが、ヘッドスタンドはまだ完璧にはできない。ピラティスやウエイトリフティングも好きで、繁忙期のストレス解消にはウエイトリフティングが一番いい。ヨガは友人らと一緒にダイナミックなヴィンヤサヨガをするのが好きで、陰ヨガはあんまり向いていないと感じる。ポーズを取ることはできるけれど、15分もそれをキープしている間にそのまま寝てしまうから。
カミーユ・ミチェリ
「プッチ(PUCCI)」アーティスティック・ディレクター
毎朝、アイアンガーヨガをしている。エネルギーが湧いてきて、いい気分になれるから。1980年代の音楽で踊るダンスクラスも、たくさん汗をかいてデトックスできるから気に入っている。見るならフィギュアスケートが好きで、(デザイナーの)ジャイルズ・デュフォー(Gilles Dufour)に教えてもらってよく一緒に見に行っていた。優雅さと衣装が素敵だと思う。
ヴェラ・ウォン
「ヴェラ・ウォン(VERA WANG)」デザイナー
フィギュアスケートが好き。なぜなら卓越したアスリートであることに加えて、氷上でナイフのように細い刃の上に立ち、時速30~40kmで滑りながらジャンプやスピンを行い、衣装を身に着け、幅広い振り付けをこなし、音楽に合わせて感情を表現しなければならない唯一のスポーツだから。体操でさえ、スケートには及ばないのではないか。こうした思いが高じて、私は国際スケート連盟や全米フィギュアスケート協会にも携わっている。
アントナン・トロン
「バルマン(BALMAIN)」クリエイティブ・ディレクター
サーフィンが好きだが、私にとってはもはやスポーツというより習慣に近い。献身的に取り組む必要があるし、単なる身体活動を超えた“つながり”だと感じる。大西洋の天候パターンを毎日チェックし、時には(サーフィンに没頭するために)姿を消す。これ以上はないドラッグだと思う。