
環境省環境再生・資源循環局資源循環課はこのほど、「サステナブルファッションの推進に向けたアクションプラン」を策定した。サブタイトルは「2030年廃棄量25%削減に向けて」。24年6月に策定された「繊維製品における資源循環ロードマップ」と、同年8月閣議決定の第5次循環型社会形成推進基本計画で掲げられた「30年度時点で家庭から手放される衣料品のうち廃棄されるものを20年度比で25%削減する」という政府目標を実装するための具体策となる。
注目すべきは、この目標に見る内訳だ。基準年である20年度の家庭からの衣類廃棄量は51.5万トン。つまり25%削減は約13万トンに相当し、内訳はリサイクル約2万トン、リユース約7万トン、リデュース約4万トン。このうち行政回収による積み上げは約3.5万トンにとどまり、残り約9.5万トンは民間回収・リユース拡大・衣類寿命延長という、事業者と生活者の行動変容なしには達成できない領域に置かれている。アクションプランは政府が目標を立てた文書だが、事業者の動きを前提として組まれている点がポイントだ。
4つの方向性に紐づく「期待されるアクション」
アクションプランのポイントは4つ。
①全国どこでも分けて出せる(回収システム・受け皿の整備)
②使えるものは譲る(リユースの拡大)
③使えるものは長く使う(稼働率向上・寿命延長の取組の拡大)
そして、これらを支える
④長く使えて資源を循環しやすく作る(環境配慮型設計の推進)
資料では、「国のアクション」と並んで「期待されるアクション」が自治体・事業者・生活者ごとに明記されており、事業者欄には踏み込んだ記述が並んでいる。たとえば、回収の領域では、衣類の回収・選別・回収後のリユース・リサイクルの実施、回収ボックス等を活用した生活者からの衣類回収の拡大が求められる。再資源化では、各事業者の技術や強みを結集した繊維to繊維リサイクル等の推進。リユースでは、国が今後策定する優良事業者ガイドラインを活用した適正なリユースの推進などが挙げられる。
制度面で押さえるべき動き
事業者の実務に直接関わる制度についても複数触れている。第一に、再資源化事業等高度化法による衣類リサイクル事業の認定促進だ。同法は25年11月に完全施行となり、3年間で100件以上の認定事業の創出を目指している。繊維の再資源化に関する申請も受け付けており、環境省は適切な審査・認定を行ったうえで、再生材の質と量の確保に関する取組を加速化させるとしている。
第二に、「環境配慮設計ガイドライン」の普及啓発と、グリーン購入法による公共調達推進を契機とした需要喚起、脱炭素製品等の定義や表示の在り方の検討。これらは並走する形で進められ、環境配慮製品の需要創出を目指す。
第三に、情報開示の基盤整備。トレーサビリティ情報やカーボンフットプリント情報の収集・適切な開示のためのプラットフォームの在り方の検討、リサイクル繊維に関するJISの制定・普及が掲げられた。事業者の取り組みが適正に評価されるための基盤づくりであり、同時に「リサイクル繊維」を名乗る際の共通定義が整うことを意味する。
第四に、リユース領域における優良事業者ガイドラインの作成。別途策定される「リユース等の促進に関するロードマップ」と連携する形で、適正なリユース市場創出に向けて整備される。「不適正な海外リユースの是正をした上での適正な海外リユースの推進」も明記されている。
数字に見る市場規模
達成イメージとして示された数値は、各領域のおおよその規模感を読み取る材料になる。行政回収は人口カバー率を現在の65%から70%に拡大し、既に実施されている行政回収量を115%に増やすことで約4.1万トンの増加を見込む。民間回収は小売店等における回収ボックスの設置が約8000件の回収拠点に相当する規模で全国に広がることを前提に、約2.6万トンの増加を見込む。リユースはフリマアプリを介した世帯間リユースおよびリユースショップを介したリユースの取引量が20年度比で30%拡大した場合、約3万トンの増加を見込む。
アクションプラン概要版では、各方向性ごとに「解消すべきボトルネック」が明記された。行政回収については「行政回収によるコスト増加、廃棄物としての取扱い(専ら物)に関する自治体の理解促進」、民間回収については「『資源』であることが十分に生活者に認識されていない、故繊維事業者等の地域偏在」、再資源化については「使用済み衣類の資源価値の低下、手作業による選別作業の生産性の低さ」、リユースについては「『リユース』が手軽な選択肢として認知されていない、リユース品への抵抗感」、環境配慮設計については「複合素材繊維の使用等による難リサイクル性、繊維to繊維リサイクルのコストの高さ」と整理された。
そして「使えるものは長く使う」の方向性については、解消すべきボトルネックとして「ウルトラファストファッションの普及」が挙げられた。政府文書として踏み込んだ表現であり、対策として若年層を主なターゲットとしたサステナブルファッションキャンペーンを、繊維・アパレル関係企業や業界団体、各種イベント(27年国際園芸博覧会等)と連携して実施するとしている。