「デサント」は、11月23日に神戸の旧居留地エリア(兵庫県神戸市)に開業した直営店「デサント神戸(DESCENTE KOBE)」の内覧会を12 月5日に開催した。店舗面積は298平方メートルは西日本最大規模。プレミアムスポーツのブランド確立に向けた西の発信拠点と位置付ける。
立地は大丸神戸店を中心に「プラダ」や「ルイ・ヴィトン」などラグジュアリーブランドが軒を連ねるショッピングエリアだ。1階にはブランドの原点でもあるスキーウエアやトップレベルの選手も着用するゴルフ向け商品などを展開。18年に本格参入したランニングシューズをはじめフットウェアも関西最大級のアイテム数を取りそろえる。2階は高機能なテックウエアブランド「オルテライン」や同カテゴリーの主力商品である高級ダウンジャケット“水沢ダウン”などを並べる。ゆっくり寛げるソファスペースやイベントスペースがあり、今後スポーツやモノ作りの情報発信を行うイベントなどを実施していく予定だ。
「デサント」はスイス、カナダ、ドイツ、スペインの代表チームにウェアを提供する。26年2月のミラノ・コルティナ冬季五輪で選手が着用する予定だ。同日、それらのお披露目とともにスイス、カナダ、ドイツチームウェアをベースにしたレプリカモデルであるスキージャケットと、同素材のスキーパンツが発表された。
“エアロストリーム スキーマテック スキー 3in1ジャケット”はハードシェルジャケットとミドルレイヤージャケットに分かれている。ハードシェルジャケットは、選手らの寒暖差による蒸れの課題に応えるため、背中部分にクッション性のある突起物を配置し空気の循環を促進する換気機能を搭載したエアロストリーム技術を採用した。この技術は大阪・茨木市にある研究開発拠点「DESCENTE INNOVATION STUDIO COMPLEX(DISC)OSAKA」で開発したものだ。ミドルレイヤージャケットはスマートパディング機能を搭載し、最も温かさを必要とする部分に中綿を配置し、温かさと蒸れを同時に解消する設計が特徴だ。
デサントで30年以上、スキーウエアのデザインディレターを務める近藤敏雄氏は「アウターの背面の立体成型パーツとミドラーの中綿がパズルのようにジョイントさせることで動きやすさとともに保温性と透湿性を実現した。開発に3年をかけた」と説明する。5日から「デサント」ブランド直営店(一部店舗のみ)と公式アプリにて先行販売している。
デサントは24年8月に株式公開買い付け(TOB)を実施し、25年1月をもって上場廃止し伊藤忠商事の完全子会社になった。25年3月期に売上高でゴールドウインに抜かれ、国内スポーツ用品業界で4位になった。海外での事業拡大は目覚ましいが、課題は日本国内での「デサント」ブランドの成長スピードを高めることだ。スポーツ量販店などへの卸売事業を集約し、直販店や自社オンラインストアでの販売戦略を進め、28年度までに直営店の売上高を24年度の3倍にする目標を掲げている。
小関秀一社長は「関西は創業の地。プレミアムスポーツブランドとしての直営店を今後、関西にも拡大し、東京・渋谷の旗艦店に続けて関西にも旗艦店を出店したい」という意欲を示す。同社は価格的にも機能的にも上位のプレミアムスポーツブランドを標榜する。中国、韓国ではすでにその地位を確立しているデサントだが、直営店を強化することで日本での存在感を高める。