ファッション

「ジル・サンダー」に見るエフォートレスな現代女性のための服

 幅広いランウェイには、透明のアクリスパネルがランダムに並び、モデルが歩くとシンプルでミニマムな服のシルエットが少し歪んで見える。そのわずかな歪みは服に見るパターンのテクニックにも反映されている。

 ジル・サンダー本人がメゾンに戻って3シーズン目。サンダー本人の口から出たキーワードは、「エフォートレス、3D、ファブリックの力」だ。「ひとりひとりの女性のパーソナリティが大切。すべての女性に向けて服を作っている」と言うサンダーが意識を集中させたのは、装飾がなくとも女性をきれいに見せる立体的なパターンやカッティングとそれを実現させるための素材選びだ。そのスタンスは、以前と全く変わらないが、明らかに新しい時代の空気感を孕んでいる。

 ポケットの延長でとったダーツがほっそりとしたウエストラインを作り、前から見ると身頃とつながった袖は後から見るとダーツを取り、丸みを持たせてある。ジャケットの多くはボタンがなく、ラペルの芯地も使用せず、カーディガン感覚でさらりと羽織ることができる。それでも身体のラインを"きちんと"見せることができるのは、パターンと素材の力ゆえだ。

 アイテムはドレスを中心に、クロップド風のトロンプルイユのニットや、メッシュとジャカードとジャージをはぎあわせたトップス、ボーイッシュなショートパンツなど。

 人間やフォークなどあらゆるモチーフが混在する不思議なプリント柄はアリギエロ・ポエッティによるもの。色は、ナチュラルカラ—を中心に、錆びた銅のような緑、北極の太陽のような白っぽい黄色など、独特なトーンを差し込む。

 引き続き日本製の素材も多く使用している。例えば、ファーストルックに見るラフィアのようにも見えるざっくりとした編み地のコットンがそうだ。

 フィナーレは鳥の羽根をびっしり貼りつけたシリーズ。いずれも非常に軽やかで"エフォートレス"というキーワードとマッチする。

ジル・サンダー 2014年春夏ミラノコレクション 全ルック

2014年春夏ミラノコレクション 関連記事一覧

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

韓国ブランドの強さに迫る 空間と体験、行き渡る美意識

日本の若者の間で韓国ブランドの存在感が増しています。K- POP ブームが追い風ですが、それだけでは説明できない勢い。本特集では、アジアや世界で存在感を示すKブランドや現地の人気ショップの取材から、近年の韓国ブランドの強さの理由に迫ります。

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

@icloud.com/@me.com/@mac.com 以外のアドレスでご登録ください。 ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。

メルマガ会員の登録が完了しました。