スイスの時計ブランド「スウォッチ(SWATCH)」は15日、中国版のツイッター、ウェイボー(微博、WEIBO)で不本意な形でトレンドニュースのランキング上位に浮上してしまった。
発端は、同ブランドが“スウォッチ エッセンシャル(SWATCH ESSENTIALS)”の新作キャンペーンの一環でウェブサイトに掲載した画像だ。その中の一枚で、アジア系のモデルがオレンジとブルーの“カモフラッシュ(Camo Flash)”を着用し、目尻を両手で引き上げる、いわゆる“つり目ポーズ(slanted eyes)”を取っていた。歴史的に、欧米でアジア人の顔の特徴を揶揄する際に使われてきたこの“つり目ポーズ”には、ウェイボー上で多くの批判が寄せられ、「スウォッチ」は問題の画像をウェブサイトから削除。同ブランドは現地メディアに対し「この問題を真摯に受け止め、関連当局に報告する」とコメントし、17日には、公式インスタグラムで「今回のことが招きうる苦痛や誤解に対し、心よりお詫びする」と謝罪の声明を発表するに至った。
この騒動は、ウェイボーで260万件を超えるインプレッションを記録。多くのユーザーが、このポーズを「アジア系コミュニティーに対する侮辱的で不敬な行為」だと批判し、不買を呼びかけたり、ブランドに公式の謝罪を求めたりする声が噴出していた。
中国での業績が低迷していた「スウォッチ」
「スウォッチ」を擁するスウォッチ グループ(SWATCH GROUP)の2025年1〜6月期(上半期)決算の純利益は、前年同期比88.4%減の1700万スイスフラン(約30億円)に落ち込んだ。同社はこの理由について、香港とマカオを含む大中華圏での消費の減退や、東南アジアにおける中国人観光客の減少が販売と業績に悪影響を及ぼしたと説明している。また、売上高が同11.2%減となった要因についても、「大中華圏市場にのみ起因する」と述べた。大中華圏の売上比率はこの18カ月で全体の約3分の1から24%へと縮小しているという。
しかし、同社は7月の決算発表で、中国市場でのEC販売の増加や小売店在庫の削減など、下半期に向けてポジティブな動きが出てきたと発表していた。業績が上向く兆しが見え始めていたタイミングなだけに、今回の“つり目ポーズ”騒動は、勢いに水を差す出来事になった。