クラシエは医・食・美を融合した新規事業を推進する。このほど、漢方薬と食品を掛け合わせた製品開発に取り組む新規事業開発プロジェクトからドリンクブランド「カラダととのうエンユー(ENN YOU)」(以下、エンユー)が誕生した。漢方薬の研究および開発を担ってきたクラシエ漢方研究所が監修し、体が整う“おまもり的存在のドリンク”3種(各378円)を、「エンユー」公式サイトやコスメキッチン(COSME KITCHEN)、ビープル(BIOPLE)、ビオップ(BIOP)などで販売中だ。今後はポップアップや漢方薬の啓もう活動などを実施するほか、販路拡大を視野に入れる。
同社は「世界を夢中にする100年企業」を目指し、2023年にホームプロダクツ(トイレタリー・コスメティックス)と薬品、食品の3つの事業カンパニー制に再編した。その中で、医・食・美の融合と新領域「快適」の創造を担う新規ビジネス部門の新設や、海外ビジネスの推進部門の新設など、新たな価値創造に取り組み成長を加速させる組織体制を強化している。「エンユー」は、「漢方薬を気軽に生活に取り入れて欲しい」との思いからスタートした新規事業開発プロジェクトから生まれた。
おいしく、続けやすいフレーバー3種
プロジェクトを率いる七森有貴 クラシエ 経営企画室室長 兼 フロンティアBC新規事業(enn you)開発担当は、「香港旅行に行った際、現地の人たちが漢方原料を煮出したお茶を飲みながら談笑している姿が印象的だった。この光景から、日本でももっと手軽に、その時々の体調に合わせて日常的に手に取れられる和漢ドリンクがあったらいいなと考えるようになり、『エンユー』の開発に至った」と語る。プロジェクトチームを編成し、女性特有の悩みに悩まされている人に寄り添える「“おまもり”のようなものを作りたい」と製品開発に着手した。
ドリンクは、リフレッシュ気分に導くレモネード味の“巡(めぐり)”、体を温めたいときに最適なジンジャーラテ味の“温(おん)”、体をスッキリと整える黒ごま味の“快(かい)”のフレーバー3種を用意。胃腸への負担が少ないやさしい味わいのライスミルクをベースに、それぞれのシーンや体調に合わせ和漢エキスを配合した。
直近1年で漢方を服用していない人は約70%
同社の調査によると、直近1年以内に漢方薬を服用していない人は約70%にのぼり、漢方薬の浸透に課題があった。漢方薬は未病対策に有効だが「体調が悪いときに飲むもの」という認識や、「高価格」「苦くて続かない」といったネガティブな回答があった。一方で、漢方薬に対し「苦いけど効果が高そう」というポジティブな意見もあったことから、「エンユー」はこの双方のバランスを取ることに苦戦し、試作を重ねた。
「エンユー」は軽やかな心持ちで健康を維持したいと願う人“ライトコンディショニスタ”をターゲットに設定。約3年をかけて毎日おいしく飲める和漢ドリンクに仕上げた。これまで「“漢方=ハードルが高い”と感じていた層にもアプローチし、愛飲者層の拡大を見込む」。ポップアップストアの開催やサンプリングなどの実施も検討しており、「エンユー」ブランドと製品の認知度拡大を目指す。