ファッション
特集 パリ・コレクション2025-26年秋冬

紙吹雪舞い上がる「クレージュ」 祝祭感あふれるショーで混沌とした時代に高揚感をもたらす

クレージュ(COURREGES)」の2025-26年秋冬コレクションの会場は、いつも通り天井から自然光が差し込む真っ白な四角い空間。毎シーズン、中央には舞台美術ディレクターのレミー・ブリエール(Remy Briere)がニコラス・デ・フェリーチェ(Nicolas Di Felice)と共に手がけたコレクションのテーマとリンクする仕掛けが用意されているが、今回は赤、ピンク、銀、水色のカラフルな紙吹雪が敷き詰められている。

コレクションの出発点となったのは、アーティストのダン・コーレン(Dan Colen)による宙に舞う紙吹雪を描いた作品集「Moments Like This」。「作品を見た時にアンドレ・クレージュ(Andre Courreges)の楽観主義を思い起こすとともに、幸せや高揚感を感じて楽観的な気分を取り戻せた」と話すニコラスは、その中に描かれたストリーマー(クラッカーやパーティー装飾などに使うリボン)からデザインの着想を得た。

ファーストルックは、そんな長いリボンのような1枚のスカーフを首や胴体に巻くようにして仕立てたミニドレス。その後も、身頃と一体化した生地で首を覆ったデザインや布を巻きつけて斜めにトレーンを垂らしたトラペーズスカートのシルエットがポイントになる。「クレージュ」らしいミニマルな世界観とスタイルの中で、毎シーズン新しい表現を生み出す視点には驚かされる。

そしてニコラスらしいアイデアを感じるのは、着方を変えられるデザイン。Tシャツ風のトップスやキャミドレスはサイドシームにファスナーやボタン開閉を設られていて、そこに腕を通し、本来腕を通す部分には首を入れ着ることで、ドレープが生まれるようになっている。また、ここ数シーズン提案しているフロントパネルのみで作られたように見えるシアートップスは、大きなオーストリッチフェザーでアップデート。ラストに登場した白い長方形の布を体に巻いたようなドレスは、1964年のアーカイブから着想を得たものだ。

ショー中、モデルたちは紙吹雪が舞う中を歩いていく。今回は、そんな祝祭感あふれる演出だけでなく、服にもカラフルな色が取り入れられていた。バックステージでニコラスは「アンドレはかつてインタビューで『外の世界がグレーだから色に取り入れた』と語っていた。そんなシンプルなメッセージはとても大切で、今の世界にも当てはまること。プレイフルかつベルギー人らしいミニマルな方法で取り組んだ」とコメント。そして「パーティーは昔から多くの人にとってセーフスペース(安心でき、ありのままの自分でいられる場所の意)であり、社会が大きく変化している時代にパーティーは人々を一つに結びつける。これまでにないほど今、セレブレーションは重要だと思う」と語った。

ショー終了後の会場は、紙吹雪が地面に散らばり、まるでパーティーが明けた後のよう。それは儚い光景でもあるが、ショーを通してニコラスのメッセージはしっかりと伝わった。

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