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イメージ刷新後に売上高2桁増の「メルヴィータ」 創業40年で急成長を遂げた理由

PROFILE: 左:ディディエ・テブナン/ブランド開発ディレクター&アドボカシー 右:ナタエル・ダヴスト/グローバルジェネラルマネージャー

左:ディディエ・テブナン/ブランド開発ディレクター&アドボカシー 右:ナタエル・ダヴスト/グローバルジェネラルマネージャー
PROFILE: ディディエ・テブナン/ブランド開発ディレクター&アドボカシー(左):1963 年生まれ。18 歳まで南米、アジアなど海外で過ごす。インテリアデザイナーの PR を経て、98 年ロクシタングループに入社し、ヨーロッパ地区のトレーニングディレクターを務める。2009 年に「メルヴィータ」に参加。 トレーニング部門を立ち上げ、新しい市場の開拓をサポートした後、現職  ナタエル・ダヴスト/グローバルジェネラルマネージャー(右):化粧品業界で約20年、マーケティング、デジタル変革、経営全般にわたる豊富な経験、専門知識を有する。2007年にロクシタン・グループに入社。「ル クヴォン メゾン ド パルファム」のインターナショナル・セールス・ディレクター、ロクシタン・ジャパンのマーケティング&デジタル・シニア・ディレクターなどを経て、19年に香港とマカオのゼネラルマネージャーに就任。21年から現職

仏発オーガニックコスメブランド「メルヴィータ(MELVITA)」は、今年ブランドイメージを一新した。1983年の創業時から使用するロゴを刷新。コンセプトに「バイオリジェネラティブビューティー(BIO-REGENERATIVEBEAUTY)/自然の再生力で、美しさが目覚める。」を掲げ、変革を起こしている。このほどディディエ・テブナン(Didier Thevenin)ブランド開発ディレクター&アドボカシーとナタエル・ダヴスト(Nathaëlle Davoust)=グローバルジェネラルマネージャーが来日し、新生「メルヴィータ」の未来像を語った。

WWD:コンセプトやロゴ、パッケージなどを一新したが、あらためてその狙いは。

ディディエ・テブナン=ブランド開発ディレクター&アドボカシー(以下、テブナン):「メルヴィータ」は昨年創業から40周年を迎え、そのタイミングで顧客層を見直しました。ブランドの成長と共に顧客の年齢も上がり、現在の中心顧客層は40〜50代。この状況を歌手に例えると分かりやすいと思うのですが、歌手はお客さまのために歌いますよね。その歌手が年齢を重ねるとお客さまの年齢も上がっていきます。そして、お客さまの子どもや孫なども引き込み、幅広いお客さま層を獲得しています。「メルヴィータ」も歌手と同じように2世代、3世代のお客さまを獲得したいのです。さらにオーガニックに興味・関心のある人を取り込むために、新たなロゴやパッケージ、コンセプトが必要だったわけです。ロゴは創業時から使用しており、柔らかくかわいらしい印象だったため近代的で洗練されたロゴやパッケージに変更しました。

ナタエル・ダヴスト=グローバルジェネラルマネージャー(以下、ダヴスト):これまではオーガニックブランドであるということを訴求し、マイナスなことやネガティブなことを取り除くことにコミットしてきました。今後は、それに加えて自然に対してポジティブなことを広く伝えたい。そしてお客さまの肌を自然の力を使い再生、美しくできたらと思っています。「メルヴィータ」はオーガニックブランドの先駆者としてオーガニックブランドがかなえられるさまざまな可能性を示していかなければなりません。

WWD:その具体例は?

ダヴスト:新コンセプトの「自然の再生力で、美しさが目覚める」を体現した葉脈とシャープな印象の文字を組み合わせたロゴを採用しましたが、この葉脈のように自然の素晴らしいバランスをコミュニケーションや商品開発に生かしたいですね。また、これらの思いをお客さまや取引先に伝えるためウエブサイトやSNSを活用して発信していきます。

テブナン:あとは販売スタッフの教育ですね。販売スタッフがお客さまと接点を持ちブランドの思いを伝えてくれています。彼らにわれわれがどのような方針や活動を推進しているのかを随時共有。商品や店舗などを通じて、その思いをお客さまに届けていきます。

オーガニック イズ ポップを訴求

WWD:ターゲットを広げるために取り組んでいることは。

ダヴスト:ターゲット層をユニバーサルにしていきます。母から子へ、友人から友人へなど口コミ的な広がりも重要視しています。そのためにまずはコミュニケーションの見直しですね。これまでは、自然由来成分を使用したオーガニックブランドであることを強めてきました。現在は、それに加えて効果・実感が得られ、視覚的にも楽しめる商品をそろえていることを訴求していきます。そうすることでスキンケアだけでなく、オーラルケアやボディーケアアイテムなど生活環境に必要なものがオーガニック商品で満たされていくと考えています。

テブナン:商品軸においては、一例を挙げると化粧水“ソルスデローズ エッセンスローション”があります。ブランド初のオイルフラクションテクノロジーを採用したもので、オーガニックのローズヒップオイルを配合したピンク色のマイクロオイルの粒が視覚的にも楽しめ肌効果も実感できると、お客さまからモダンなオーガニックスキンケアとして高評価を得ています。われわれは“オーガニック イズ ポップ”と呼称していますが、若い層にも響くような技術だったり中身の色味だったりを取り入れて日々進化をしていきます。

10年ぶりに新シリーズ投入

WWD:日本の森林浴からインスピレーションを得たボディーケアの新シリーズ“ロルベジタル”を10月9日に発売した。

ダヴスト:ボディーケアの新シリーズは2014年以来の10年ぶりです。単なる保湿ケアではなく、古い角質を除去するなど、さまざまな技術を搭載しています。“ロルベジタル”シリーズは、マッサージ効果も期待できるボディーソープ“エクスフォリエイティング ソープ”(125g 、3080円)、オイル30%、美容液70%で構成した2層式のボディー用保湿美容液“ハイドレーティング ボディセラム”(100mL、6600円)、ブランドの故郷であるアルデーシュ地方で手摘みにより採取された保湿力のある栗の葉のエキスとアロエベラを配合したボディークリーム“ ハイドレーティング ボディクリーム ”(200mL、5500円)の3品をそろえています。

テブナン:フランスでは6月末頃から販売しましたが、インフルエンサーやプレス関係者からの評価も高く、すでにベストセラーになるほど支持を集めています。3品の中でも“ハイドレーティング ボディセラム”の売れ行きがよいですね。

ダヴスト:お客さまから、ユーカリやミント、ローズマリーのフレッシュなトップノートから始まり、シダーやクラリセージ、ガルバナムのハートノート、パチョリとフランキンセンスのベースに移行する森が持つ癒しの香りと、セラムの軽いテクスチャーやクリームのベルベットのような上質な滑らかさなどの質感、森林浴をイメージできるグリーンのパッケージがよいとお褒めの言葉をいただきます。ユニセックスで若い層からも人気で、ギフトとして購入が多いのも特徴的ですね。

テブナン:男性は髭剃りの後にローションを塗布することが多かったですが、プラスαでクリームも手にする人もいるようです。日本は20〜30代の男性の美容感度が高まっているので、その層に向けても発信していきたいです。

シンプルでスマートな店舗づくり

WWD:新規客と出会うための新たなタッチポイントは。

テブナン:世界中でポップアップを実施しています。“ロルベジタル”シリーズを発売して以降、われわれからアプローチしなくてもお客さまが来店してくれるうれしい驚きがありました。“ロルベジタル”シリーズからブランドに興味を持っていただく人も多いようです。

ダヴスト:店舗の陳列もブラッシュアップしています。日本ではこれまでは商品にポップやシールなどを貼って訴求していましたが、それによってお客さまの目線がさまざまな方向に向いていました。何を選んだらよいか分からないという戸惑いの声もあったんです。そこで、シールなどは全て剥がし、シンプルに商品の良さだけを伝えるコミュニケーションに変更しました。SNSに関しても従来とは異なる言葉の使い方など全てを一新しています。商品は変わってなくても見せ方を工夫することで、お客さまの興味関心を集めることができると実感しています。グローバルのイメージに合わせてルミネ横浜店やルミネ大宮店、うめだ阪急店など日本の売り上げトップ5の店舗をリニューアルしました。これまでの木目調の店舗から、ブランドカラーのダークグリーン基調に変え、ブランドを代表するアルガンオイルはシリーズごとで展開していたものを一番目に入りやすい壁面に集積するなど、シンプルで分かりやすい仕様にしたところ、リニューアル後の各店舗の月商は前年同月比で40〜70%増と大幅に伸長しています。

テブナン:これまでの店舗の違いを理解していますが、以前はお客さまを呼び込まないと来店してもらえないことが多かったのです。リニューアル後は自然にお客さまが足を運んでくれるようになりました。ルミネ横浜店へ視察に行きましたが、他で見たことがないほど多くの来店客で賑わっていました。現時点で日本の店舗は17店舗ありますが、順次一新していきます。

リニューアル後は新規客4倍

WWD:日本同様にブランドコンセプトなどを一新したことで成功を収めている国は。

ダヴスト:マレーシアのクアラルンプールの店舗ですね。リニューアル前と比べて新規客は4倍となります。売り上げも1.5〜2倍に。リニューアル後の最初の週末は前年同日比で3倍だったんですよ。香港はリノベーションの真っ最中ですが、売上高はリニューアル前と比較して40%増になると予測しています。フランスでは2月にリノベーションを実施しましたが、それ以降毎月15〜45%増で推移しています。

テブナン:これまでイタリアで新店舗出店に苦戦をしていたのですが、リノベーション後は店舗も拡大できています。リノベーションは魔法の扉のようですね。

ダヴスト:今年は転換期ですが、来期はグローバルで売上高は2桁成長ができると確信しています。現在15カ国で展開し、売り上げトップ3はフランス、日本、中国、香港になります。この4つの国と地域で全体の75%の売り上げを占めています。今後は、イギリスやオーストラリアでの店舗開設やヨーロッパやアジアではセフォラのようなセレクトショップでの展開にも注力していきます。

テブナン:モロッコ、ジョージア、モーリシャスに近い将来進出する計画もあります。

WWD:今後も好調を維持するためには?

ダヴスト:イノベーションを続けていくことですね。ジェンダーレスな分野の開拓も進めます。お客さまの声を吸い上げ、お客さまのバスルーム、生活に何が必要かを理解し商品化することを重視していきます。

テブナン:勢いを保つためには、モチベーションのある人と一緒に仕事をすることも大切だと思っています。 オーガニックであること、グリーンバリューを持つことはパリのグローバルチームだけではなくて、世界のスタッフにも持っていてほしい。例えば、年に3回グリーンデーを設けてオーガニックや環境について考え、それを周囲の人に意識的に伝えるなど情熱を持てる人と働きたいですね。

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