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「メルヴィータ」本国グローバルPRが語る「地球や人に優しいモノづくりを加速」する狙い

ディディエ・テブナン/メルヴィータ グローバルPR&トレーニングディレクター プロフィール

1963 年生まれ。18 歳まで南米、アジアなど海外で過ごす。インテリアデザイナーの PR を経て、98 年ロクシタングループに入社し、ヨーロッパ地区のトレーニングディレクターを務める。2009 年に「メルヴィータ」に参加。 トレーニング部門を立ち上げ、新しい市場の開拓をサポートした後、現職 PHOTO:SHUHEI SHINE

仏発オーガニックコスメブランド「メルヴィータ(MELVITA)」は、今年創立40周年を迎えた。それを機にWWFフランスが行うウミガメの保全活動をサポートを開始するなど、地球や人に優しいモノづくりをさらに加速する。また技術革新も進み、それを具現化した商品の一つであるネイチャーとサイエンスを融合した化粧水“ソルスデローズ エッセンスローション”(150mL、4400円)を9月6日に発売する。このほど、来日したディディエ・テブナン(Didier Thevenin)=メルヴィータ グローバルPR&トレーニングディレクターがブランドや商品に対する思いを語った。

WWD:来日の目的は?

ディディエ・テブナン=メルヴィータ グローバルPR&トレーニングディレクター(以下、テブナン):日本の年間スケジュールの確認と、新商品のローンチ、日本スタッフとのミーティングを予定する。特にスタッフとは今後の事業戦略や来年に予定する新ロゴ・パッケージの計画などを伝えた。

WWD:日本は2011年から展開するが、日本市場をどうとらえているのか。

テブナン:一言でいうと現在の状況に満足している。スタッフの多くが「メルヴィータ」の根幹を理解して、化粧品だけでなく、本物のライフスタイルを提供するブランドであると広めてくれている。小売り店でも「メルヴィータ」の商品を見かけることが多い。12年前に想定した位置づけと比較すると、さらにライフスタイルを変容できるブランドとして貢献できるし、上を目指せるだろう。現在10カ国で本格展開するが、フランスと日本が常に売り上げ上位を占める。2年以内にアメリカへの進出を計画している。

WWD:本物のライフスタイルとは?

テブナン:健康と環境に配慮した商品を提供することだ。「メルヴィータ」を訴求する際のインスピレーションを与えてくれたハチドリの物語がある。アマゾンで森林火事が発生し、多くの野生動物が森から逃げていたが、ハチドリが川に向かい口に水を含み消化活動をしていた。それを見たある動物がハチドリに「一滴の水で山火事が消せるのか?」と聞くと、ハチドリは「たとえ消せなくても自分にできることをしている。一羽では不可能なことも、みんなが一緒にやれば流れを変えることができる」と応えたという。この話は「メルヴィータ」のことでもあると思っている。「メルヴィータ」を消費者に紹介し、使用してもらうことで環境や人に好循環が生まれることにつながる。

スタッフをブランドアンバサダーに任命

WWD:グローバルPR担当のほか兼務するトレーニングディレクターとして日本で多くのスタッフと対話した。

テブナン:本部のスタッフとはもちろん、3日間で150人の販売スタッフと対話した。その中で重視したのはパッションと教育だ。私は25年前にロクシタングループに入社したが、当時は小さな企業で日本にも進出していなかった。ただ、上記の物語のように巨大なポテンシャルがあるブランドだと思っていたので、「メルヴィータ」を買収した際、「メルヴィータ」で仕事をしたいと手を上げた。新たな市場開拓ができ、好奇心を持って取り組んでいる。こうしたパッションは人に伝わると信じている。

WWD:スタッフの中からブランドの思いを伝えるアンバサダーになるべく人を探している。

テブナン:アンバサダーは役職ではなく、それぞれの職務を果たしながらブランドを体言する人物だ。マーケテイング担当に指南できるほどの知識が深い人、その国にマッチした考えを発信できる人、オプティミスト(楽天的)な考えをしている人、誠実で目的を忘れない人、私が伝えることを自国の言葉で伝えられる人をブランドアンバサダーに任命する。現在、イタリアとスロベニア、マレーシアにアンバサダーがおり、日本でも候補者がいて見極めるタイミングだ。

ブランドが発展するための商品誕生

WWD:“ソルスデローズ エッセンスローション”は「メルヴィータ」が発展していくための期待値の高い商品と聞く。

テブナン:オーガニックスキンケアの概念を覆す、ネイチャーとサイエンスを融合した商品だ。ブランド初のマイクロオイルフラクションテクノロジーを採用し、ピンクの小さな粒が視覚的にも華やかさを演出する。肌を潤すだけでなくふっくらとした健康的な肌へ導く新感覚な化粧水でスペシャルな逸品が完成した。

地球環境・従業員にも優しい取り組みを推進

WWD:ブランド誕生40周年で大地から海への環境保全も強化する。

テブナン:自然を尊重する取り組みを推進する中で、生分解性の高い商品を展開する。ビューティ業界はプラスチック廃棄量が多い産業のため、「メルヴィータ」は海洋成分を採用してきた。その中で絶滅の危機から海洋生物を救う取り組むを行うべきと、WWFフランスとスポンサーシップを結んだ。海洋生物多様性の保全プロジェクトを財政面で支援し、23年から3年にわたって、ウミガメの生育と沿岸漁業の調和を図ったり、保護に活用したりする資金を寄付する。

WWD:生産工場も環境に配慮する。

テブナン:創業地であるフランス・アルデッシュ地方に構える生産工場は、使用電力の28%を太陽光発電で賄う。25年までに95%まで引き上げる計画だ。18年から原料の保管庫を半地下に設けた。それにより1年中、冷暖房を使用せずに一定温度を保てている。また、冬に降った水を保管し、雨が少ない夏に植物の散水用に活用する。

工場のスタッフには、乗り合い車で出社を推進する。入り口近くの駐車場は乗り合い車を優先するほか、毎月抽選でガソリンのプレゼントも行う。工場に勤務するスタッフも環境保全の意識が高まり、9月になると夏時期に観光客が多く訪れゴミが増えることから、岸辺のゴミ拾いを労働時間外に自発的に実施するようになった。

若い世代と未来を作る

WWD:若い世代へもアプローチする。

テブナン:未来を作るのは若い世代だ。「メルヴィータ」も若返りを図りたいと思っている。その一つが店舗だ。廃棄物の削減や生物多様性などを訴求すると共に、効果実感のあるスキンケアをそろえていることも伝えていく。現在、フランスに2店舗ほど新コンセプトの店舗を開設しているが、近い将来、日本でも新コンセプトの店舗を構える予定だ。これまでブランドを象徴するアイテムがアルガンオイルだったが、幅広いラインアップを改めて紹介できるだろう。日本においても「メルヴィータ」はさらなる高みを目指していく。

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