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「CBDは危険薬物だと思っていた」 大阪府警捜査一課の元スゴ腕刑事がつくるCBDブランド

吉村文男/オズジャパン社長(写真左)

PROFILE:(よしむら・ふみお)1965年大阪府生まれ。84年に大阪府警に採用され、約30年奉職する。最終的に警部補に昇任し、凶悪犯捜査の指揮にあたった。2017年大阪府警部を最後に50歳の節目で退官し、同年10月に企業の危機管理コンサルティングを行うディフェンスカンパニーを設立。CBDの可能性に気づき、CBDビジネスをスタートすることを決意する。22年12月、ウェルネス事業に特化したオズジャパンを設立。ちょうど1年後の23年12月、CBDブランド「『凪』ナギ.ウェルネス」を発表した

城野靖也/オズジャパン副社長

PROFILE:(じょうの・やすなり)1965年大阪府生まれ。セフォラ AAP ジャパンのセフォラ心斎橋店ストアディレクターや、サマンサタバサジャパンリミテッドのブランド長兼海外事業担当などを経て、2011年にファッション業界や小売業界、消費財メーカーを中心に人材紹介を行うザ・フォースウエイブを設立。現在も代表取締役を務める。小学校時代の同級生である吉村社長から誘いを受け、22年12月にオズジャパンに参加した

日本のCBD市場は近年活況で、ビューティ企業が次々にCBD配合のスキンケアやウェルネスグッズを発売するほか、CBDブランドを始める企業も増えている。若い世代を中心にCBDに対する理解が進む一方で、世間では“CBD=違法薬物の大麻”という誤った認識が根強い。そんなCBDのネガティブイメージに真っ向から挑むのが、オズジャパン(OZJAPAN)を立ち上げ、2023年12月にオリジナルCBDブランド「『凪』ナギ.ウェルネス(NAGI.WELLNESS)」をスタートした吉村文男社長だ。

元敏腕刑事のセカンドキャリア

吉村社長がブランドを始動するまでの道のりは長い。大阪府出身の吉村社長は、大阪府警察本部刑事部で捜査第一課に所属し、殺人事件などの凶悪犯事件に取り組んだ異色の経歴を持つ人物。警察署時代の5年間には、大阪府下の62警察署の中で常に検挙率1位という実績を収め、個人で「警察本部長賞」や「警察本部長賞詞」などを受賞するほど、「悪いやつを捕まえるのが生きがいだった」と話す。ただ、「人のために役立つことがしたい」との思いで警察に就職したものの、組織の巨大さゆえに、市民から相談を受けたとしても実際に犯罪が発生するまでは動き出せないジレンマがあったという。50歳になったころ「もう一度自分のやりたいことにチャレンジしよう」と一念発起し、企業の危機管理専門のコンサルティング会社であるディフェンスカンパニーを2017年に設立した。

約30年の警察人生で培った知識をもとに、弁護士や会計士などの専門家を含めたチームを組み、“お助けマン”として企業トラブルに向き合う中、「タイ人の理学博士が、高品質なCBDを日本に輸出したがっている」とクライアントから偶然舞い込んできたのがCBDの話だった。当初は知識もなく、「大麻なんて危険だ!」と警戒したが、調べていくうちに精神疾患や皮膚疾患などに有効であり、副作用もないと知った。「刑事時代、重度のうつ病患者の自殺現場に立ち会うことが多かった。CBDなら人の命を救えるかもしれないと考えた」。吉村社長は22年、チェンマイ大学で有機化学の理学博士号を取得し、現在はカセサート大学に所属するウィーラチャイ・フッドターウォング(Weerachai Phutdhawong)理学博士をパートナーに、小学生時代からの親友で輸入販売のノウハウをもつ城野靖也を副社長に迎え、ウェルネスに特化したオズジャパンを始動した。

濃度より純度

23年12月に発売した“CBDオイル”(濃度10%が9500円、濃度30%が1万9000円)では、製造過程で違法成分が混入しないことを何よりも重視し、99.9%に近い純度を確保する。「安心・安全な商品をつくるには濃度より純度が大切」。吉村社長のこの姿勢は当然のことのように思われるかもしれないが、大麻取締法によって産業用大麻の栽培を制限してきた日本は、CBDの入手を外国からの輸入に頼るしかなく、海外工場は生産過程でCBDのみが抽出されているかどうかを確認するのは非常に困難だ。

そもそもCBDは「カンナビジオール(cannabidiol)」の略称で、植物の大麻草が含む成分「カンナビノイド」の一つだ。世界保健機構(WHO)や世界ドーピング防止機構(WADA)もその安全性と有効性を認めている。100種類以上あるとされる「カンナビノイド」の中ではCBDのみが規制の対象から外れており、規制対象の例としてマリファナの主原料成分「テトラヒドロカンナビノール(tetrahydrocannabinol=THC)」がある。

吉村社長いわく、「CBDが取れるのは大麻草の種と茎だけ。加えて『1キロのCBDを生産するには大麻草が2トン必要』と言われるほどわずかな量にしかならないため、違法成分を含む葉などを使用し、かさ増ししている業者も多い」。吉村社長のビジネスパートナーであるウィーラチャイ博士が管理する工場では、大麻草の枝打ちを行い、茎だけになった状態で抽出機に投入する。安全性を担保するため「近々、タイに行って全過程を学ぶために修行するつもり」と吉村社長は意欲を見せる。

CBDを一過性のブームで終わらせない

リリースしたばかりの“CBDオイル”を引っ提げ、現在は自社オンラインECサイト以外の販路拡大に奔走し、大手百貨店などと商談を進めている。「CBDは単なるブームでなく今後も社会に残っていくべき成分」と信じる城野副社長。

とはいえ、日本社会ではCBDに対する理解度がまだまだ高くない。吉村社長は、「日本のマスコミはこれまで、合法成分のCBDとマリファナの主原料になる違法成分THCを一口に“大麻”として報道してきた。“大麻グミ”などによってついたネガティブイメージをCBD業界全体で払拭する必要がある」と話す。そのためにも自身の元刑事という経歴を明かして、メディア取材を受けることにしたという。「最初はメディアに登場することに抵抗感があったが、違法薬物を摘発する立場だった元刑事の自分がCBDのメリットを伝えることで、世間のネガティブイメージを解消できるかもしれないと考え直した」。

今後はフェイスクリームやシャンプーなどの企画や開発にも併せて取り組む。吉村社長の“人助け”人生第2章は始まったばかりだ。

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