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連載 東京コレクション

「カナコ サカイ」きらめく堂々のデビューショー 東コレ2024年春夏が開幕

2024年春夏シーズンの「楽天 ファッション ウィーク東京(Rakuten Fashion Week TOKYO以下、RFWT)」が28日に開幕した。オープニングを飾ったのはサカイカナコによる「カナコ サカイ(KANAKO SAKAI)」だ。同ブランドは、国内外で経験を積んだデザイナーのサカイが、国内の産地と取り組み、日本的美意識を取り入れながら、洗練された都会的なスタイルを提案している。デビューは2年前の22年春夏シーズンという新鋭ブランドだ。今シーズンは日本ファッション・ウィーク推進機構(JFWO)の支援プログラムである第2回「JFW ネクスト ブランド アワード(JFW NEXT BRAND AWARD)」を受賞し、その特典として、「RFWT」メイン会場の渋谷ヒカリエで、ブランド初となるランウエイショーを開催。デビューショーながら、自由な精神性と日本の美意識を詰め込んだ、ブランドの自己紹介といえるクリエイションで実力の高さを見せた。

カナコサカイへ“ようこそ”
深海や宇宙のような未知への旅

会場は、ジェットコースターのレールのように斜めに傾いた、円形のライトが目を引いた。ショー前にはカラフルなディスコライトが場内を照らし、忌野清志郎が率いたバンド、RCサクセションが1980年に発表した楽曲「よォーこそ」が流れる。忌野が歌う「ようこそ 、どうだい 、のらないかい」のリリックが、観客を陽気なムードに誘う。その「ようこそ」が今季のショーテーマだ。サカイデザイナーは「ブランドと関わってきてくれたメンバーの紹介をしながら、ここから始まる『カナコ サカイ』の旅へ一緒にのらないかい?という思いを込めている。深海や宇宙のように、まだ見ぬ世界へブランドが向かっていくイメージ」と話す。

着る人が自由に服を選ぶ
ブランドのアティチュード

ショーが始まると会場が暗転し、真っ白な照明が射すとキリッとした雰囲気に切り替わる。ファーストルックは、メンズモデルの源大が着こなす真っ白なジャケットとパンツのセットアップ。ジャケットはフロントとバックに深いスリットが入っており、レイヤードしたレースがチラリと覗く。今季はブランドとして初のメンズモデルを起用しており、メンズ11人、ウィメンズ11人という半々の男女比である。しかしメンズウエアやユニセックスという概念からではなく、「着る人が自由に選んで、手に取ってほしい」とサカイデザイナー。スキンヘッドのメンズモデルがロングドレスをまとうなど、強い個性を放っていた。

ブランドらしい、日本の美意識に着目したディテールも豊富だ。これまでも起用してきた亀甲花菱紋をスパンコールで表現したトップスやブラをはじめ、北斎の絵がモチーフの鶴柄を入れたメタリックブーツなども披露。空港の観光客向け土産ショップに並ぶような“ザ・日本”なモチーフをエレガントに表現している。

貝殻を使った螺鈿織りが主役に
煌めくユニークなテキスタイル

今季のコレクションで特にユニークだったのが、貝殻を使った螺鈿(らでん)織りのテキスタイルだ。螺鈿織りは京都・丹後の伝統産業である織物の技法のひとつで、七色に輝く貝殻をハリのある生地に織り上げたもの。トップスのフリンジや、フィナーレの格子柄のコートなどに採用すると、ライトに照らされて上品にきらめいていた。

キーカラーは、未知なる深海のブルーや銀河系のシルバーだ。石のビーズを使ったロングピアスやチェーンのネックレスなども、コレクションに神秘的な印象をプラスしていた。またクリーンなホワイトやブラック、ビビッドなレッドやイエローのドレスやジャケットが調和していた。

デビューショーでステップアップ
まだ見ぬ景色を追い求めて

ショー後には会場で「JFW ネクスト ブランド アワード」の授賞式が開催され、サカイデザイナーはJFWOの古茂田博・事務局長から表彰盾と、賞金100万円を受け取った。受賞スピーチでサカイは、「みなさん、どうでしたか?一瞬で終わった気がして、大丈夫だったかな。楽しんでいただけたらうれしい」とにこやかにコメント。持ち前の明るいキャラクターで会場の笑顔を誘った。「カナコ サカイ」は、海外進出への意欲も強い。独自の個性もきらめかせた完成度の高いデビューショーで、さらにステップアップした姿を見せてくれた。今後もまだ見ぬ新たな景色を私たちに見せてくれるだろう。

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