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写真プリントショップの運営会社がアパレル参入、商機は「アパレルもオンデマンドプリントへの変革」

 写真プリントショップ「パレットプラザ(PALETTE PLAZA)」やスマホショップを運営するプラザクリエイトがアパレル事業に参入する。テキスタイルやTシャツプリント機の最大手企業のコーニットデジタル(KORNIT DIGITAL)と提携し、原宿に最新鋭のインクジェットプリント機を併設したカフェ型のスペース「クリエイティブプラザ・ハット(CREATIVE PLAZA HATTO)」」を9月にオープンする。東証スタンダード上場のプラザクリエイトは写真プリントの「パレットプラザ」を239店舗、「ソフトバンクショップ」「ワイモバイルショップ」を軸にしたスマホ販売店を109店舗、全国で運営している。なぜ写真プリントとスマホショップ販売の同社がアパレルに参入するのか。今年7月1日に社長に就任したばかりの新谷隼人・社長に聞いた。

WWDJAPAN(以下、WWD):なぜアパレルに参入を?

新谷隼人(以下、新谷):大量生産・大量廃棄などの問題を抱えるアパレル産業は大きな転換期にある。大量に作ってから売って、多くの在庫を残してしまうビジネスモデルは転換期にある。当社の祖業である写真現像やプリント事業はそれとは全く逆で、全国に展開する店舗でプリントしてお客に渡すというビジネスモデル。コーニット社の最新鋭のインクジェットプリント機を含めた生産プラットフォームを使えば、アパレル産業も受注してから作って販売するサステナブルなビジネスモデルに変革できる。そうなると我々がこれまで展開してきたビジネスモデルに近くなる。

WWD:全くの新規参入だ。勝算は?

新谷:機械さえあればうまくいくみたいなことは全く考えていない。アパレル事業は、toC(最終消費者向け)ではなく、toB(法人向け)のビジネスからスタートする。ただ基本的に本気でアパレルをサステナブルに変えて行きたいと考えている。コーニットの最新鋭プリント機「アトラスマックス(ATLAS MAX)」とカフェを併設した「クリエイティブプラザ・ハット」は約70坪。同機は、日本初導入となる最新鋭のインクジェットプリント機で、これまで必要だった前処理工程が不要で、文字通りワンステップで多種多彩でかつ非常に高精度なテキスタイルプリントが可能で、1時間で最速100枚のTシャツをプリントできる。

 「クリエイティブプラザ・ハット」のコンセプトは、「カフェ・コミュニティ・プリント」をかけ合わせ、新しくサステナブルなアパレル産業に変革する事業者たちが集う拠点。カフェも、グアテマラ発のサステナブルコーヒーとして知られる「グッド・カフェ・ファームズ(GOOD COFFEE FARMS)」と組む。サステナブルで美味しいコーヒー楽しみつつ、最新鋭の繊維機械を実際に見てもらうことで、変革の機運を高めたい。

新谷:当社は環境の変化に応じて、新たな小売り業態、しかもリアル店舗をベースにした新業態を作ってきた。コーニットの機械を初めて見たとき、大きな衝撃を受けた。私は当社で「ソウゾウ事業」を担当し、新規事業の立ち上げに携わってきたが、まさに何か新しいことが始まる」ということを直感した。スマホショップは30〜50坪で月1000万円の売り上げを持つものの、写真プリントの「パレットプラザ」は10〜15坪の店舗で月間200〜300万円。1枚20〜30円のプリントを積み上げて売り上げを作っている当社にとって、数億円の機械と神宮前に60坪という店舗は、かなり大掛かりな新規投資だ。

 ただ正直、現時点ではあえて今後の事業プランはほぼ白紙の状態だ。「クリエイティブプラザ・ハット」を運営しながら、今後については決めていく。「パレットプラザ」など既存の300店舗をこの新規事業に切り替えていく可能性もあるし、まったく別のやり方もするかもしれない。一つ決まっているのは3年で10億円の数字を作ること。当社の財産は既存の店舗で日々、お客さまと接点を持っていること。白紙とは言ったが、「パレットプラザ」で紙にプリントしているものを布に置き換えようと思っただけでも、かなり多くの潜在需要がある。紙と布では全然違うと思われるかもしれないが、イメージをなにかに残したいという本質的なニーズは実はそう変わらない。「アトラスマックス」は積層型のプリントで刺繍のように表現できるプリントもあり、アパレルに限定せず、グッズや日用雑貨、ノベルティグッズなどの用途にも広げられる。そうしたアイテムを「パレットプラザ」で販売することも考えられる。

WWD:パートナーはどういった企業やブランドを?

新谷:すでに有力なセレクトショップなどに声をかけている。パートナーとして重要なのは「既存のマインドを変えられるか」だと実感している。少し気になっていることがある。私がアパレル関係者を訪ね歩き、「既存のアパレル産業のやり方には大きな問題がある。なぜ変えられないのか?」と指摘すると、誰もが一様に悲しげな表情をすること。ロクにアパレルビジネスのことなど知らない新参者にこんなことを言われたら、憤慨する人がいてもおかしくない。にもかかわらず悲しい表情になってしまうのはなぜなのか。いずれにしろ当社は、アパレル産業は今こそサステナブルに変われると信じているし、そうした志を同じくする人を探し求めている。響くことがあれば、ぜひ我々と一緒に変革に取り組んでほしい。

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