ビューティ

米レブロンが破産法適用を申請 セレブコスメに敗れ、原料競争の激化とインフレ加速で経営悪化

 米レブロンは6月15日、日本の民事再生法に当たる連邦破産法11条の適用を破産裁判所に申請したと発表した。米メディアによると、負債の総額は最大で100億ドル(1兆3400億円)。今年春のサプライチェーンの混乱で原料調達の競争が激化したこととインフレの急加速により経営が悪化した。レブロン社は現在、「レブロン」のほか「エリザベス アーデン(ELIZABETH ARDEN)」やメイクブランド「アルメイ(ALMAY)」、ネイルブランド「CND」などを擁する。近年はコロナ禍の販売不振に加え、コティ(COTY)の「カイリー・コスメティックス(KYLIE COSMETICS)」をはじめセレブリティ発の新興ブランドとの競争に苦戦していた。海外でのビジネスはいずれも、今回の申請の中に含まれていない。

 同社は最近、原料が調達できずフロリダなどにある工場の操業を2週間ほど休止していた。同じくメキシコにあるフレグランスやボディミストなどの製造工場も現在、原料不足のため操業していない。

デブラ・ペレルマン(Debra Perelman)最高経営責任者(CEO)は、「リストラや債務の大幅削減を進める」とコメントを発表。「私たちの商品を求める消費者は多い。ただ負債を削減して再度、世界的に知名度の高いブランドの可能性を世に解き放つ必要がある」としている。経営陣は続投し、5億7500万ドル(約769億円)のつなぎ融資を受け再建を目指す。3月31日時点の長期債務は33億1000万ドル(約4431億円)。2021年12月期の売上高は17年比で22%減だった。

 同社は1932年創業。マニキュアや口紅を製造・販売し、国際的なブランドに成長した。85年に投資家のロナルド・ペレルマン(Ronald Perelman)が保有する持ち株会社マクアンドリューズ&フォーブス(MacAndrews & Forbes)を通じて敵対的買収を仕掛けて株式の大半を取得した。80年代から90年代にかけては、オードリー・ヘプバーン(Audrey Hepburn)やシンディ・クロフォード(Cindy Crawford)、クリスティー・ターリントン(Christy Turlington)らを起用して一斉を風靡。ただマクアンドリューズ&フォーブスにとって、ビューティはビジネスのごく一部に過ぎず、近年はCEOの交代などが相次いでいた。

 代表取締役会長を務めるペレルマンは近年、レブロン以外に保有していた会社から美術品を売却。最近ではニューヨーク州のイーストハンプトンにある豪邸を1億1500万ドル(155億2500万円)の値段で売り出していたが買い手がつかず、直近は8400万ドル(約113億4000万円)まで値下げしている。

 業界関係者は、「当面は再建を模索するだろう。万が一失敗しても、ある程度の値段で売却できるブランドを有している」「まずは製品を改良し、SNSを巧みに使うことだ。新たなセレブブランドも必要だろう」などとコメントしている。

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