PROFILE:グアム島生まれで、韓国と米国で育つ。グッチ・グループでアジア、ロンドン、スイス、NYを担当。アバクロンビー&フィッチを経て、2000年代半ばからバーバリーで要職を務める。12年にオールセインツのCEOに就任
「オールセインツ(ALL SAINTS)」は日本に進出したばかりの英国発コンテンポラリーブランドだ。今年2月に原宿にポップアップストアを出店し、3月にはEC企業のロコンドと組んで日本でECサイトを開設したばかり。メルセデス ・ベンツ・ファッション・ウィーク 東京(MBFWT)でもインスタレーションを行った他、年内をめどに直営店をオープンする計画を立てており、早急に日本マーケットへの浸透を狙っているようだ。社内コミュニケーションに「グーグル フォー ワーク」を活用するなど、デジタル先進企業としても知られるウィリアム・キム=オールセインツ最高経営責任者(CEO)に日本での戦略やデジタルに対する考え方を聞いた。
PHOTO BY YOSHI OKAMOTO
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WWDジャパン(以下、WWD):改めてブランドの強みは何か?
ウィリアム・キムCEO(以下、キムCEO):我々は自らを“ヨーロピアン・コンテンポラリー・ブランド”と名付けている。「オールセインツ」ではアウターやニット、バイカージャケット、ドレスといったアイテムが幅広く売れており、1つのカテゴリだけには特化していない。メンズとウィメンズの売り上げ比率も50:50で、これほど均等に売れているブランドは少ないはずだ。一番人気の定番アイテムはバイカージャケットだが、「オールセインツ」のエッセンスを踏襲しつつ、毎シーズンひねりを加えるなど、アップデートを重ねている。
WWD:上陸のパートナーにロコンドを選んだ。海外ブランドの上陸のやり方としては珍しいが、その狙いは?
キムCEO:ファッション産業はとても伝統を重んじる傾向にあるが、本来ルールはないはずだ。我々はまずローカルカルチャーを見定め、ブランドと顧客をつなぐ場所が何かを考える。EC一つとっても、多くのブランドは本国のECを翻訳することが多い。しかし日本語は非常に難しく、翻訳しただけでは「オールセインツ」のエッセンスを伝えきれないと思った。そこで、日本のEC企業と組むことは簡単な決断だった。現在のEC化率も約19%と高いが、重要なことは割合ではなく、チャネルとして便利になること。そのためには直営店でもECでもポップアップストアでもいいはずで、その順序に決まりもないはずだ。
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5年後のスタンダードはデジタルがベース
WWD:そんなEC立ち上げをはじめ、デジタルに対して積極的だと感じるが?
キムCEO:ECについては今もロコンドと取り組んでいるところだが、先進的な企業と組みたいという思いは常にある。そのため、ハッカソンを支援したり、スタートアップ企業と組んだりしている。日本ではスタートトゥデイとも話したが、日本のデジタル企業は非常にユニークで面白いと感じた。これからグローバルに出ていくはずだし、十分に適応できるはずだ。その時には我々が力になりたいと思う。
WWD:これからもさまざまなデジタル施策を取り入れていくつもりか?
キムCEO:少し考え方が違う。我々はファッション企業がデジタルを活用しているのではなく、デジタルブランドが実店舗を出していると考えている。そのため、全部署がデジタル・ファーストのもとで動いている。5年後にはデジタルが全てのベースになっているだろう。それが2020年の企業としてのスタンダード・ビジネスモデルになるはずだ。そもそも一般ユーザーは企業よりもデジタル化が進んでいる。
WWD:では、企業として注力しているのは何か?
キムCEO:デジタルなどのテクノロジーは科学的だが、ブランドは非常にエモーショナルな部分が多い。それらが出合った時、いかに両者をスムーズにつなぎ合わせられるかに注力している。例えば店舗に自分のサイズがない時、大抵の販売員は他店舗やECをオススメするだろう。つまり何らかの行動を顧客に求めるのだ。我々はそうではなくて、テクノロジーを用いてどうやってそのフラストレーションを取り除けるかを常に考えている。