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化粧品の売れ残りはどうしてる?透明性は進んでる? 大手化粧品メーカーOGによる覆面座談会

 食品ロスや衣料品の大量廃棄問題への関心が高まり、削減に向けた動きが活発になっている。化粧品業界でも環境問題への取り組みがさまざまな角度から行われているが、具体的な数字とともに廃棄ロスが語られることは少ない。大手化粧品メーカーやアパレルメーカーで化粧品の商品企画や営業として勤めてきた4人に集まってもらい、化粧品の廃棄ロスの裏側について聞いた。

WWD:アパレル業界では大量廃棄が大きな問題になっています。衣料品の国内の年間供給数量約29億点に対して、消費数量は約14億点。約15億点が売れ残り、100万トンを超える衣料品が廃棄されているという推計もあります。化粧品業界ではどうですか?

Aさん:私が勤めていたメーカーの主力スキンケアブランドは、定番品が売り上げの主体になっていたため欠品しないことが何より重視され、常に商品が回転し続けている状態。なので、アパレルのように消化率が指標になることはあまりなく、生産量に対してどのくらいが売れ残っているかを追うのが難しいですね。限定品はヒットしなかった商品が店頭に長く置いておけないため戻ってくることがありますが、使用期限が近いという理由で返品されることはほとんどないです。定番品、限定品を含めてどれくらいの商品が廃棄処分にまわっているかは正直なところ把握できていなかったです。

WWD:限定品は使用期限前に返品されることもあるということですが、商品全体の中で定番品と限定品の割合はどのくらいですか?

Aさん:売り上げでは全体の20%程度が限定品で、SKU数では30%程度でしょうか。

Bさん:ブランドによりますが、スキンケアブランドは定番品がほとんどを占めていて、たまに大容量サイズなど限定品を発売するイメージ。メイクアップブランドだったら毎月限定品を発売しているようなブランドもあります。

Aさん:メイクアップブランドを担当していたときは、限定品や色数も多かったので、人気がなく売れなかった色は社販にまわしていました。全ての商品が9~10割売り切ることを目指して生産数を設定していますが、売れないものは5割程度しかいかないものもあります。限定品に関しては、百貨店で発売から2カ月たっても「まだある」というのはよくないので、使用期限がまだ先でも店頭から下げるということもありました。

WWD:店頭から引いた商品を社販で販売する際、何割引きくらいで販売しますか?

Aさん:3~5割引きくらいが通常で、何回か社販を繰り返して使用期限が近づいてくると、最終的には何百円など、原価を割ったとしてもとにかく価格を下げて売り切ることを目指していました。

Bさん:社販では利益を出すことは考えず、廃棄にかかるコストよりは安く済むという考え方ではけさせます。現場の美容部員さんが優先的に購入できる決まりになっていたと思います。

Cさん:私がいた会社では、社販専用のカタログやウェブサイトがあって、ブランドリニューアルなどで発生する旧品や、得意先から返品された商品を、社員やOB・OGとその家族を対象に販売していました。申し込むと半永久的に、カタログ冊子が定期的に届きます。

Dさん:使用上の問題がない商品ですから、安く買えるのは福利厚生としてもいいですよね。

Aさん:社員はその会社の化粧品のコアな愛用者であることが多いので、社販は非常によく売れます。それでも全ての商品を売り切るのは難しいですが。

WWD:使用期限までどのくらい近くなった商品が店頭から引かれますか?

Aさん:百貨店や専門店など商業施設によってルールが異なりますが、化粧品は一般的に未開封の場合、製造から約3年間が使用期限となっています。2年たったらNGというところが多いと思います。

Cさん:卸売りは3分の2が残っていないとダメですよね。私は営業として専門店を担当していましたが、当時は返品が得意先との商談において重要なカードの一つになっていました。専門店も買取や委託、取引形態はさまざまですが、例えば決算月などに、仕入れてもらいたい商品を仕入れてもらう代わりに、売れていない商品の返品を受けるということです。こちらとしては現金を返すことになるので返品はとりたくないですけど、それを上回る商談を成功させたいときに交渉材料として承ることはありました。

Aさん:売れなくて返品されたり、リニューアで戻ってきたりすることはありますが、需給をコントロールする専門の部署があってなるべく商品が残らないように調整するので、使用期限が近いという理由で商品が戻ってくることはほとんどなかったように思います。

Bさん:使用期限が来るよりも前に「棚落ち」「売れない商品」の烙印が押されてしまうので、使用期限いっぱいまで店頭に残すというスタンスがないですよね。ロスを減らすにはMD担当の努力が大きいです。生産数のコントロールと消化案をひたすら考えていると思います。以前は“捨て色”だから返品がきてもしょうがないよねという暗黙の了解がありましたが、今は全色売ろうというふうに年々変わってきています。

化粧品の廃棄処分量は年間どのくらいあるのか

WWD:廃棄処分される製品量を、メーカー社員は把握している?

Aさん:どのぐらいの量が廃棄処分になっているか、具体的な数字や処分法について社内で共有されておらず、不透明だったと思います。社員の中にも廃棄量を減らそうという意識はなかったですね。

Cさん:私がいた会社ではPL(損益計算書)の問題の一つとして、廃棄にコストがこれだけかかるから店頭売り上げを上げようという伝え方でした。今は環境保護の観点から廃棄処分を減らそうという伝え方になっていますよね。

WWD:化粧品の廃棄問題があまり表に出てこない理由は?

Cさん:人をきれいにするという化粧品の特性上、返品や廃棄処分の情報はイメージが悪いので公表したくないのでは?具体的な改善事例と共に出せればいいのですが、そこまで行き着いていないんじゃないでしょうか。現時点では開示するメリットがないですよね。昨今のサステナビリティへの関心の高まりを考えると、今後は負の情報も開示している企業から商品を買おうという流れになっていくかもしれませんが。

Aさん:化粧品は洋服ほど技術面でも仕組み面でまだリサイクルと結びついていないからかもしれないですね。中身は捨てるしかないし、容器も洗浄が必要ですし、ガラスやアルミ、プラスチックなどさまざまな素材のパーツを組み合わせたものが多くリサイクルを難しくしています。ポジティブな話として消費者に伝えるところにまだ来ていないですよね。

Bさん:洋服のようにきれいな繊維にして安全に使えますとはならない難しさがあると思います。外箱にリサイクル再生紙を使うことはできますが、容器は衛生上の問題やコスト面からリサイクル資源を積極的に使うのはまだまだ難しいのが現状です。

Dさん:化粧品は広告に人気女優を起用したりしてきらきらとしたイメージで訴求しているのに、真逆ともいえる廃棄問題や環境負荷を表に出すというのは、あまりにギャップがあり過ぎて社内外を問わず耐えられないんじゃないですかね。せっかく掲げているブランドイメージを揺るがしてしまいかねないですから。

WWD:化粧品業界の環境配慮への取り組みで足りないところは?

Aさん:アウトレットやディスカウント販売はもう少し増えてもいいのかなと思います。外資系の大手メーカーが期間限定で、ときどき公式サイト上でアウトレットコーナーを設けて販売していますよね。国内メーカーではまだあまりないですが、公式サイトであれば信頼感もありますし、リピートしている商品などは使用期限が近いものであっても需要がありますよね。郊外のアウトレットモールなどでは化粧品のアウトレットショップがよく出店していますが、もっと街中でも気軽に買えるようになったらいいと思います。

Bさん:中身にはまったく問題がなくて外箱や容器にちょっとした傷がついている訳あり品などは商品として売るのにまったく問題がないので、アウトレットなどでもっと販売されてもいいのでは。箱がちょっとつぶれているだけで不良品とみなす消費者の感覚も変えていかなければいけないと思います。大手メーカーが一斉に呼び掛けたら一気に変わるような気がしますけどね。

Aさん:あと包装についてはかなり改善の余地があると思います。高級品ならではの過剰包装は、「消費者は夢を一緒に買っているのですてきな包装であるべき」という考え方もありますが、振り返ると必要なのかなという包装は結構あります。バージンの商品である証拠にフィルム状のシュリンク包装を施す慣習がありますが、メーカー側も本当に必要なのか考えてもいいのではないでしょうか。

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