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「消えてはならない心の火」のリレーを目指して 元ファストリ上席執行役員の心に火をつけた“トーチング”回顧録 Vol.6

 ファーストリテイリンググループで社内改革を推進する「有明プロジェクト」をけん引し、史上最年少で上席執行役員に昇格した神保拓也はこのほど、人の「心に火をつける。」ことを目指し、株式会社トーチリレーを設立した。まず取り組む同社の主たる事業は、「心に火をつけることを主題に置きつつも、ティーチングやコーチングとは一線を画す」という「トーチング」。山に登るためのトーチ、登る山を見つけるためのトーチを提供する。ただ、その料金はタダだ。神保はなぜ、タダで「トーチング」を始めたのか?人の心に火が付くことで起こった、ファーストリテイリング時代の「ユニクロ(UNIQLO)」の「奇跡」をたどり、「トーチング」の魅力を考える(「トーチング」のビジネスモデルは、コチラから)。

(前回からの続き)

 神保“隊長”は、「低評価」だった店舗が短期間で全国2位まで躍進したこと、なのに嬉し涙ではなく悔し涙を流すまでに成長したことに心底驚いた。その過程を目の当たりにして「心に火をつけること」とは、「相手のモチベーションが上がるようにアドバイスすること」だけではないこと、それは「心に火をつけること」の一部でしかないことに気づいたという。

 「心に火をつける」うえで一番大事なのは、相手の「“登る山”を一緒に見つけること」。

 「心に火をつける」とは、暗闇で“登る山”が見つけられない人には、たいまつを手渡し、周囲を明るく照らすことで一緒に見つけること。そして山に登り始めたけれど、途中で迷ったり、急な悪天候に襲われたりで目の前が真っ暗になった人にも、やっぱりたいまつを手渡し、勇気を持って前に進めるようサポートすること。山を見つけるため、山に登るため、そして心に火をつけるために必要なのは、たいまつ。そして「たいまつ」を意味する英単語の「torch」には、「たいまつの火で照らす」という動詞の意味もあるという。そこで神保“隊長は、「教えること」に主眼を置く「ティーチング」ではなく、「引き出すこと」に主眼を置く「コーチング」でもなく、「心に火をつけること」を主眼に置く「トーチング」への挑戦を決意した。

 社名のトーチリレーは、消えてはならないオリンピックの聖火に着想源を得た。聖火はギリシャのオリンピアで採火され、聖火ランナーが世界中を巡りながら、トーチをバトンのように手渡しながら開催地に届けていく。そんなランナーのリレー、つまり聖火リレーの別名は、トーチリレー。聖火同様、「消えてはならない火」である心の火も、ある人から別の人、さらにまた違う誰かへと、たいまつをバトンに広がっていけばーー。

 国を超え、時代を超える「心の聖火リレー」を目指し、社名とし、ファーストリテイリングに比べるとずっと小さな、でも、大きな可能性を秘めたビジネスがスタートした。

(終わり)


お知らせ:申し込み殺到中という神保“隊長”のトーチングを受けてみませんか?「WWD JAPAN.com」は取材させていただくことを条件(企業名や個人名は匿名でも構いません)に、トーチングを受けたいファッション&ビューティ業界の皆さまを募集します。トーチリレーの業務には、アナタの登る山を見つけたり山への登り方を一緒に考えたりするトーチングと、神保“隊長”の経験を語るグループ向けのセッションがあります。どちらでも構いません。ご興味がある方は、コチラまで簡単な自己紹介をお送りください。神保“隊長”と相談の上、ご返信差し上げます(お送りいただく情報は取材後、速やかに破棄します)。

さらにお知らせ:神保“隊長”の「ユニクロ」時代の回顧録は、今回で終了です。10月からはファッション&ビューティ業界の悩みを、神保“隊長”のトーチングで解決する連載として再開します。ご期待ください。


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