ビューティ
特集 2030年代のファッション&ビューティ 第9回 / 全14回

美学者・難波優輝に聞く、「美しさ」の未来 テクノロジーの渦で問われる倫理

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PROFILE: 難波優輝/美学者

難波優輝/美学者
PROFILE: (なんば・ゆうき)1994年生まれ。美学者、会社員。立命館大学衣笠総合研究機構客員研究員、慶應義塾大学 サイエンスフィクション研究開発・実装センター 訪問研究員。修士(文学、神戸大学)。専門は分析美学とポピュラーカルチャーの哲学。近著に「アンチ・スポーツの哲学」(朝日新聞出版)「存在のさみしさについて」(創元社)「本とは何か」(新潮社)「批判的日常美学について」(晶文社)「性的であるとはどのようなことか」(光文社)「なぜ人は締め切りを守れないのか」(堀之内出版)「物語化批判の哲学」(講談社)「SFプロトタイピング」(共編著、早川書房)PHOTO : YUKA MURATA

化粧品企業の発表会に参加すると、各社が生活者の価値観の変化を捉えようとしていることを感じる。何が支持され、何に共感が集まるかは時代とともに変わり、企業やブランドの立ち位置も左右する。では、美容業界が向き合い続ける「美しさ」の価値観は、2030年代にどう変わるのだろうか。ファッションや香水、人の見た目などを研究する美学者の難波優輝さんに話を聞いた。(この記事は「WWDJAPAN」2026年10月26日号からの抜粋です)

WWD:2030年代、「美しさ」はどう変わるのか。

難波優輝氏(以下、難波):2つの可能性があると思う。1つはより多くの人が支持するものが正しいとされ、平均的で数値や科学的根拠が重視されるビューティに向かう未来。もう1つはそうした平均を追い求めることから離れ、それぞれが自分なりの美しさを探す未来だ。美学者としては「ビューティ」ではなく、無数の「ビューティズ」があると捉えられるようになったらいいと思う。もしかしたら、一度は美しさの基準が狭まり、その後に「それだけが美しさではない」と広がるのかもしれない。

WWD:そもそも「美しさ」とは何か。

難波:根底には「こうありたい、なりたい」という憧れがあると思う。ただ、美学という学問で扱うのは一般的に「美しい」とされるものだけではない。かわいい、かっこいい、粋なども含めて、美的なものを幅広く考える。ミロのビーナスにも、ラッセンの絵にも、デコトラにも、それぞれ異なる美的なものがある。本来、整った顔立ちも数ある美しさの1種にすぎない。

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