DHCは8月5日、本格稼働した「DHC 川崎ロジスティクスセンター」(神奈川県川崎市)を報道関係者に公開した。6月下旬から試験運用を重ねていた。約270台の自動搬送ロボットや立体型自動仕分けシステムなどを導入し、稼働に必要なアルバイトスタッフ数を従来の半分に抑えた。1日あたりの出荷件数は平均約1万6000件で、繁忙日には約2万件に上る。
人員の削減について、長谷川俊一ロジスティクスユニット長は「今まで現場を支えてくれてきた人たちに向けて、決して胸を張って『減らしたぜ』とは言えない」と話す。対象となったスタッフには支援プログラムを用意し、別の現場での就業などにつなげたという。
約9700品目を扱う通販物流の中核
2020年2月に設立した同センターは4フロア構成で、延べ床面積は合計約3万6000平方メートル。通販で受注した商品と、全国92店舗の直営店向け商品を出荷する。取り扱い品目は、健康食品約450、化粧品約580、医薬品約35、アパレル・生活雑貨約8600の計約9700品目。
国内外の通販事業は、同社の売上高の4割弱を占める。DHCの売り上げを支える柱の一つであり、川崎拠点はその通販顧客への出荷に加え、直営店への商品供給も担う。約1万品目を正確に届け、物量の波にも対応できる体制の整備は、単なる省人化にとどまらず、主要事業を支える物流基盤の強化といえる。
トラックの待機時間を削減
入荷にはトラックバースの予約システムを導入した。以前は到着順で、時間帯によって車両が集中していたが、現在は運送会社が空いている時間を事前に予約する。到着や荷下ろしの状況も画面で確認でき、ドライバーの待機時間が減ったという。
「人が歩く」から「商品が動く」へ
センター内では、出荷頻度に応じて商品の保管場所と仕分け方法を変えている。出荷頻度の低い商品は、23年に導入した自動倉庫「オートストア」などから、約200件の注文に必要な数をまとめて取り出す。バーコードを読み取り、立体型自動仕分けシステム「オムニソーター」に乗せると、購入者ごとの間口へ自動で振り分けられる。読み取りと同時に検品も済ませる。
出荷頻度の高い上位約500品目には、自動搬送ロボット「T-Carry」を使う。注文とひも付いたコンテナを載せ、必要な商品があるピッキングステーションまで運ぶ。
従来は作業者が倉庫内を歩いて商品を集めていたが、現在はコンテナが作業者の元へ移動する。ロボットは各ステーションの進捗を見て空いている場所を選び、作業者は画面と棚のランプに表示された商品と数量に従ってピッキングする。誤った商品を読み取るとエラーが表示され、投入部も閉じる。
商品がそろうと、コンテナは梱包ステーションへ運ばれる。箱選びと緩衝材の投入は人が行い、封函と送り状の貼付は機械が担う。その後、出荷日や配送方面、配送事業者別に自動で振り分ける。
処理能力は、オムニソーターが1時間当たり1000個で従来比約2.5倍。ピッキングは1人1時間当たり360品目で同約3倍、自動封函機は同1200箱で同約2倍、配送自動仕分け機は同4000箱で同約2.4倍となった。各設備は倉庫実行システムでつなぎ、保管から出荷までの流れを制御する。
「ようやく基盤ができた」
自動化の構想から稼働までは約3年を要した。長谷川ユニット長は「ようやく基盤ができた」と話す。
同センターでは障害のあるスタッフも働く。機械化前は、熟練スタッフが商品の場所を覚え、倉庫内を歩いて集めるなど、経験に頼る作業が多かった。自動化後は画面やランプの表示に沿って作業でき、教育のしやすさや身体的な負担の軽減にもつながっているという。
長谷川ユニット長は、物流に必要な要素として「品質」「生産性」「瞬発力」を挙げる。「正しいものを、欲しいタイミングで届けること。企業として必要な生産性を持ち、物量の変化にも耐えられる体制をつくる」と説明する。
今後も商品の出荷傾向や工程ごとの状況を見ながら、棚の配置や運用方法を変えていく。「機械化・自動化された物流環境と創意工夫のある運用を融合し、お客さまが欲しいタイミングで商品を届けたい」と話した。