アクセサリーメーカー兼ブランド管理会社のアメリカン・エクスチェンジ・グループ(AMERICAN EXCHANGE GROUP以下、AEG)は6月17日、サンフランシスコ発のフットウエアメーカー、オールバーズ(ALLBIRDS)の全ての知的財産(IP)および一部の資産などの買収を完了したことを明らかにした。
両社は3月30日に取引に合意。その際に発表した買収額は3900万ドル(約62億円)だった。今後、AEGは「オールバーズ」のプロダクトデザインや製造を担い、ブランド運営はパートナーシップ契約を締結した米ブランド管理およびライセンシングプラットフォームのWSGブランズ(WSG BRANDS)が手掛ける。
オールバーズはAIインフラ企業へと事業転換
一方、オールバーズは4月、機関投資家から転換社債型融資枠(事前に取り決めた条件で株式に転換できる権利が付いた社債を発行する、通常の融資と比べて柔軟な資金調達方法)によって5000万ドル(約80億円)を調達し、AIコンピューティングインフラ企業へと事業転換することを発表した。これに伴い社名をニューバードAI(NEWBIRD AI)に変更するとしていたが、今回の取引が完了したことを機に、社名をスマートバード(SMARTBIRD)へと再び変更。また、融資枠を1億ドル(約161億円)に増額した。24年3月からオールバーズを率いていたジョー・ヴァーナチオ(Joe Vernachio)最高経営責任者(CEO)は退任し、米スポーツ用品メーカーのコロンビアスポーツウエア(COLUMBIA SPORTWEAR)が擁するアウトドアブランド「ソレル(SOREL)」の社長に就任。スマートバードの新たな社長兼CEOとして、デンマークのAIインフラ企業デーニッシュ・センター・フォー・AIイノベーション(DANISH CENTRE FOR AI INNOVATION)のナディア・カールステン(Nadia Carlsten)前CEOが就任した。
調達した資金は、高性能なGPU(映像や画像処理に特化した高速演算プロセッサ)の取得などに充てるという。また長期的には、GPUクラウドサービス(GPUのリソースを必要な分だけ利用できるサービス、GPUaaS)とAIネイティブなクラウドソリューションを統合したインフラサービスの提供を目指すとしている。
オールバーズの共同創業者はスマートバードのディレクターに
オールバーズは、元プロサッカー選手のティム・ブラウン(Tim Brown)共同CEO(当時)と、再生可能エネルギーの専門家であるジョーイ・ズウィリンガー(Joey Zwillinger)共同CEO(同)が2015年に創業。自然由来の素材を使用したミニマルなデザインのスニーカーが世界中で人気を博し、17~18年ごろには“シリコンバレーの制服”と呼ばれるほどIT起業家や投資家たちにヒットした。21年11月には米ナスダック(NASDAQ)に新規上場(IPO)したものの、22年12月期をピークに業績が悪化。事業再建を目指し、23年5月にはズウィリンガー共同CEOが単独CEOとなり、ブラウン共同CEOはチーフ・イノベーション・オフィサー(CIO)に就任。24年3月には、ズウィリンガーCEOが同職を離れて特別顧問となり、ヴァーナチオ最高執行責任者(当時)がCEOに昇格した。しかし事態は好転せず、25年7~9月期(第3四半期)の売上高は前年同期比23.3%減の3298万ドル(約53億円)と厳しい状況が続いていた。なお、ブラウンCIOはスマートバードのディレクターに就任している。