
匿名性を貫いた神話的デザイナー、マルタン・マルジェラ(Martin Margiela)の個人アーカイブが競売にかけられる。オークションは7月、パリで開催。2025年には1つのルックが約1800万円で落札されている。今回は“本人所有”という最強カードまで加わり、狂乱の争奪戦の予感。出品アイテムの一部に添えられたマルジェラ本人が明かす創作背景や私的エピソードの数々など、ファン垂涎の内容をご紹介。入札ボタンは押せずとも、落札額を予想して参加した気分で楽しんじゃえ!(この記事は「WWDJAPAN」2026年6月1日号からの抜粋で、無料会員登録で最後まで読めます。会員でない方は下の「0円」のボタンを押してください)
マルタン・マルジェラが語る
個人アーカイブを競売へかける意図
「展覧会に貸し出すため、長年にわたってアーカイブを各地に移動させる中で、私は自身の記念品の一部を手放す時期が来たと感じるようになった。今回出品するのは1984〜2008年までの写真やドローイング、オブジェが中心だが、パンデミック期間中の作品もある。亡き母が所有していた『エルメス(HERMES)』のワードローブも併せて出品している。完璧な状態で保管し続けることが難しくなっていたからだ。私が在籍していた1997〜2003年にかけてのクリエイションは、極めて繊細なケアを必要としている」。
今回のオークションは、モーリス・オークション(MAURICE AUCTION)とケリー・テイラー・オークションズ(KERRY TAYLOR AUCTIONS)の共催。2025年1月に行った史上最大規模のオークションでは、全270点が落札され、売上総額はフランス史上最高の188万9000ユーロ(約3億4700万円)を記録した。オークションハウスの予想額が約100万円だったアイテムは、1000万円前後で落札される結果に。つまりオークションハウスの予想額はほぼ当てにならない(?)という教訓を踏まえ、金額に0を一個足す、もしくはそれ以上で大胆に予想していこう!7月9日14時(現地時間)にスタートするオークションの様子は、オークションプラットフォーム「Drouot(ドルオ)」のアプリおよびウェブサイトを通じてライブ視聴可能。入札を希望する場合は、オークション開始前までに事前登録を忘れずに。
Title:
最初のポートフォリオ
オークションハウス予想額
約150万円
マルジェラのお言葉:
「メゾン設立前の1987年、私は自分が作りたいファッションを頭の中で思い描かなければならなかった。そこで架空のメゾンのムードに合わせて、いくつかのシルエットやアクセサリーを描いた。このポートフォリオは、当時まだ名前のなかったメゾンを非常によく映し出していた。白いコットンで覆われたファイルは列車の中で盗まれてしまい、旅先で業者に見せるため、私はすぐさま新しいものを作り直さなければならなかった。1年後に警察が発見してくれたオリジナルのファイルと見比べたとき、その一致ぶりに自分自身も驚かされた」
勝手予想額
約2000万円
オークションハウス予想額はさすがに安すぎる。“マルジェラ神話”の起源であるメゾンの設計図。しかも盗難→再制作→奇跡の再発見というストーリーまで付いている。もはやポートフォリオというより聖遺物。ケタが一つ増えても誰も驚かない。
Title:
私物ユニホーム
オークションハウス予想額
約92万円
マルジェラのお言葉:
「メゾンを設立した1988年当時、スタッフは全員、この白いコットンのエプロン風ユニホームを着用していた。これは、オートクチュールのメゾンでモデルたちがフィッティングの合間に着るブラウスや、アトリエで働く人々の作業着から着想を得たデザイン。外部の人々はこれを『白衣』と呼んだ。しかし、それは私の意図では全くなかった。私の関心は、伝統と前衛とのコントラストだった。今回出品するのは、私自身が着用していた私物の一つ」
勝手予想額
約1000万円
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