ファッション

「アルマーニ/カーザ展」が長野で開幕 "主張よりも余白を”ライフスタイル全てに宿るアルマーニの美学とは

「アルマーニ/カーザ(ARMANI/CASA)」は5月6日まで、長野・御代田町の写真複合施設MMoP(Miyota Museum of Photography)で「ARMANI/CASA展 ― 光と空間が描く、静かなエレガンス」を開催する。同ブランドは2000年、ジョルジオ・アルマーニ(Giorgio Armani)の美学を反映した家具や照明、テキスタイルなどライフスタイル全般を彩るブランドとして登場。今回のインスタレーションでは、「アルマーニ/カーザ」の起点となったアイコニックな“ロゴ ランプ”にフォーカスを当てて空間構成を行う他、アルマーニの世界各地の邸宅を捉えた写真を展示。プライベート空間のアーカイブ写真が公開されるのは世界で初めてのことだ。開幕に先駆け、内覧会に参加した。

“主張よりも余白”という哲学を体現する展示

会場に足を踏み入れると、中央に“ロゴ ランプ”が置かれた自然光が入る静かな空間が広がる。天井が高く左右対象に構成された会場は正に、アルマーニの"装飾よりも構造を、主張よりも余白を”という哲学を体現している。「アルマーニ/カーザ」のキーワードは、“シンメトリー””アールデコ”“オリエンタリズム”。1階は、それらキーワードを象徴するアイコニックなバーキャビネットやデイベッドなどが置かれた4つのシーンで構成されている。バーキャビネットに採用したラタン編みは畳をイメージしており、デイベッドはアルマーニが敬愛した女優マレーネ・ディートリッヒ(Marlene Dietrich)にオマージュを寄せたものだ。

会場の随所に置かれた“ロゴ ランプ”は、アルマーニが1982年、デザインする際に手元を照らすためにデザイン。機能性と美しさを兼備した端正なフォームのランプは、ブランドのキーワードの一つである“シンメトリー”を象徴し、空間の核を構成する存在だ。アルマーニにとって82年は特別な年だった。“ロゴ ランプ”のデザインをはじめ、初のフレグランス「アルマーニ」を発売し、米「タイム」誌の表紙を飾ったのだ。昨今、ラグジュアリー・ブランドによるライフスタイルやコスメ・フレグランス市場への参入が目立つが、アルマーニは、その先駆者であったことを再認識させられる。

写真と映像で綴るアルマーニの住まいにおける審美眼

2階は、ミラノやパリ、パンテレッリアなどの邸宅の写真が飾られたギャラリー空間になっており、邸宅の様子を撮影したムービーも流されている。「アルマーニ/カーザ」に共通する美意識が根底にありながらも、アルマーニ自身の住まいにおける審美眼を垣間見ることができるので非常に興味深い。展示された写真を見るとアルマーニは、サントロペやフォルテ・ディ・マルミ、サンモリッツなどリゾートを好んだようだ。それらリゾート地の邸宅は、どこか無骨さを残しつつその土地の自然と呼応する洗練された空間。住人の個性を感じさせる東洋のアンティークや小物をさりげなく配することで、訪れる人を歓迎するような温かさに満ちている。プライベートでは、親密さや快適さといった感覚に基づく美を大切にしたアルマーニの一面が伺える展示になっている。

食にも宿るアルマーニの美学

アルマーニの美学は、ファッションやインテリアだけでなく食にも反映されている。「アルマーニ/リストランテ(ARMANI/RISTRANTE)」では、日本各地の食文化と向き合うプロジェクト「47ルーツ」をスタート。6月17日に開催される一夜限りのイベント“4 ハンズ ディナー”では、「アルマーニ/リストランテ」のエグゼクティブシェフであるブルノ・昼間と軽井沢のレストラン「マノ(MANO)」を率いる西本竜一が共演。森と火をテーマに料理を追求してきた西本と素材そのものの味の調和を大切にする昼間の二人でメニューを構成する。

内覧会後には、長野にフォーカスした第二弾イベント開催のキックオフとなるランチが提供された。とれたての山菜を使用した前菜やそばを使用したリゾット、信州サーモンのメーンディッシュなど。中でも、シナノユキマスのマンテカートは、方々から「美味しい」という声が上がった。一見デザートのようなマンテカートはベネチアの郷土料理で、水で戻した干し鱈(バッカラ)を牛乳やオリーブオイルで練り上げ、パンに添えて食べるシンプルなものだ。おつまみとして食べられることが多いものだが、適度な塩気と上品な甘み、ムースのような食感が組み合わさり、とても美味しい。”クルミソバとゴルゴンゾーラチーズのリゾット”は、見るからに美しい一品。ソバの香ばしい風味にゴルゴンゾーラの旨みが調和し、イタリアと日本が融合した見事な味わいだった。山菜やそばといった素朴な食材が、それぞれのシェフの得意とする技法で見事な一皿へと昇華されている。

今回のイベントを通して感じたのは、アルマーニが静けさの中に美を見出し、今語られる“クワイエット・ラグジュアリー”をいち早く体現してきたことだ。さらに、ファッションにとどまらず、ライフスタイル全体を一貫した美学で表現し続け、ラグジュアリーの価値観を新たな方向へ向かわせた先駆者だった。MMoPでは、そんなアルマーニの親密な一面を垣間見ることができる。

▪️「ARMANI/CASA展 ― 光と空間が描く、静かなエレガンス」
会期:4月25日〜5月8日 (4月28日は閉館)
会場: MMoP(長野県北佐久郡御代田町大字馬瀬口1794-1)
時間:10:00-17:00 
入場料:無料

▪️「ARMANI/RISTORANTE」×「MANO」4 Hands Dinner
日程:6月17日
場所:アルマーニ / リストランテ 東京都中央区銀座5-5-4 アルマーニ / 銀座タワー 10階&11階
時間:18:00、18:30、19:00
料金:ペアリング付きディナー4万5000円(税・サービス料込み)
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