ケリング(KERING)とロレアル(L’OREAL)はこのほど、競争当局の承認を経て、40億ユーロ(約7320億円)規模のビューティ取引を正式に完了したと発表した。最終合意により、ロレアルはケリング ボーテ(KERING BEAUTE)を買収し、フレグランスブランド「クリード(CREED)」を傘下に収める。また、ケリング傘下ブランドのビューティおよびフレグランスに関するライセンス契約も締結した。
さらに今回の取り引きにより、ロレアルは「グッチ(GUCCI)」のフレグランスおよびビューティ製品の企画・開発・流通に関する50年間の独占ライセンス契約を締結する権利を獲得する。この契約は、現在コティ(COTY)が保有するライセンスの終了後に開始する。なお、本契約に基づき、ロレアルはライセンスブランドの使用に対してケリングにロイヤリティを支払う。また両社は、ウェルネスおよび長寿(ロンジェビティ)分野における機会を模索するため、ジョイントベンチャーを通じた協業も継続していると明らかにした。
「YSL」をけん引したベジー氏が統括
今回ロレアルに統合された旧ケリング ボーテのブランド群は、ロレアル リュクス部門に組み込まれ、ステファン・ベジー(Stephan Bezy)が統括する。ソーシャルプラットフォーム「リンクトイン(LinkedIn)」によると、同氏の新たな肩書きは新ラグジュアリーブランド担当ブランドプレジデントとなる。
ベジー氏は投稿の中で、「これら卓越したブランドの歴史と、その背後にあるチームの唯一無二のサヴォアフェールに、深い敬意と称賛を抱いている」とコメント。「ロレアル リュクス部門のビューティおよびイノベーションにおけるDNAと組み合わせることで、さらなる成功を収め、消費者に比類なき体験を提供し、新たな高みに到達できる」と述べた。
同氏は過去14年間にわたり「イヴ・サンローラン(YVES SAINT LAURENT)」を率い、同ブランドは現在ロレアルの売上高10億ドル(約1830億円)超ブランドの一つとなっている。
ロレアルCEO「リーダーシップを一層強化する」
今回のロレアルとケリングの取り引きについて、ケリングのルカ・デメオ(Luca de Meo)最高経営責任者(CEO)は声明で、「ロレアルの比類なきビューティ分野の専門性を活用することで、世界でも最も象徴的なブランドを擁する当社のフレグランスおよびコスメ事業の発展に、新たな加速フェーズをもたらす」とコメント。「この長期的パートナーシップにより、当該カテゴリーにおける潜在力を最大限に引き出すことが可能になる」と述べた。
一方、ロレアルのニコラ・イエロニムス(Nicolas Hieronimus)CEOは、「過去20年にわたる『イヴ・サンローラン』の成功を基盤に、ケリングとの戦略的パートナーシップにおけるこの重要な新たなステップは、ビューティおよびラグジュアリービューティ分野における世界的リーダーとしての地位を一層強化するものだ」と強調。「今後50年にわたり、これら象徴的ブランドと共に新たな章を築き、その大きな成長ポテンシャルを解き放つ」と語った。
ビューティ業界で再編が加速
既報の通り、ロレアルとケリングがジョイントベンチャー設立を発表してから約6カ月、ビューティ業界の競争環境はかつてないほど変化している。世界最大のビューティ企業であるロレアルは、今回の取り引きによりグローバル市場での影響力をさらに強めることになる。
こうした動きの中で、エスティ ローダー カンパニーズ(ESTEE LAUDER COMPANIES以下、ELC)とプーチ(PUIG)が事業統合に向けた協議を進めている。ELCのポートフォリオには「エスティ ローダー」「クリニーク(CLINIQUE)」「ボビイ ブラウン(BOBBI BROWN)」「トム フォード ビューティ(TOM FORD BEAUTY)」やカナダ企業のデシエム(DECIEM)などを含む。一方、プーチは「ラバンヌ(RABANNE)」「キャロライナ ヘレラ(CAROLINA HERRERA)」「ジャンポール・ゴルチエ(JEAN PAUL GAULTIER)」「ニナ リッチ(NINA RICCI)」「ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)」といったフレグランスおよびファッションブランドを展開する。
さらに「シャーロット・ティルブリー(CHARLOTTE TILBURY)」や、「バイレード(BYREDO)」「ペンハリガン(PENHALIGON’S)」「ラルチザン パフューム(L’ARTISAN PARFUMEUR)」といったニッチフレグランスブランド、加えてダーマコスメ領域も手掛ける。