子供服「ミキハウス」を展開する三起商行は6日、次期社長に6月1日付で就任する竹田欣克氏と創業社長の木村皓一氏による記者会見を大阪で開いた。同社が創業した1971年は第2次ベビーブームで、日本の出生数は約200万人だった。それが2025年には約66万人まで減った。同社は海外市場の拡大に舵を切っており、その立役者が竹田氏だった。社長交代を機に、さらにアクセルを踏む。
木村社長は「創業以来55年間、創業者として社長を務めてきたが、ここ数年、そろそろ若い世代にバトンタッチしなければならないと考え、社内外で適任者を探していた。今はすっきりした気分」と率直に語った。その上で、「コロナ禍を乗り越え、海外でのブランド認知も確実に高まってきた今が、バトンを渡すのに一番いいタイミングだと思った」と、社長交代に踏み切った理由を明かした。
次期社長として白羽の矢が立ったのが、取締役グローバル事業部長で米国・英国の海外法人の社長を兼任する竹田欣克氏だ。竹田氏を指名した理由の一つとして、木村社長はミキハウスの事業構造の変化を挙げた。
「現状、ミキハウスの顧客は日本人が3割、外国籍の方が7割。国内も大事だが、これからはもっと海外展開を加速していく段階にきている。アメリカでの立ち上げを最初から担ってきたのが竹田で、今のスタイルでそのままいくのがいいと思った」
竹田氏は石川県小松市出身の51歳。「アメリカという大きな市場でミキハウスを広めたい」という思いを抱き、東京大学法学部から新卒社員として同社に1998年入社した。2001年にボストン大学に留学してMBA取得後、アメリカに拠点を移してアメリカ市場の開拓、ヨーロッパでのブランド展開に尽力してきた。現在は、グローバル事業部長として世界17カ国108店舗を統括し、グローバルでのオムニチャネル戦略の推進に取り組む。
竹田氏について木村社長は、どんなことにもポジティブに前向きに取り組む人柄を評価する。「入社してすぐに倉庫で商品の仕分けをやっているときも、とにかく前向きな会話をしていて先行きが面白いと思った。何にでも興味を持つ、まるで少年のようだった」と振り返る。
「海外売上高7割」を見据えた人事
竹田氏は昨年、取締役に就任した時点で「会社の一翼を担っていくことは覚悟はしていた。ただ、もう少し先だと思っていたので驚いた」と話す。会見では「創業者から指名を受け、身の引き締まる思いだ」と語り、自身の原点にも触れた。実際にアメリカで生活する中で、ミキハウスの製品が国境を越えて評価される場面を幾度も目にしてきたという。
「このブランドが世界ブランドとして着実に歩みを進める中、これからさらに50年、100年と世の中に必要とされ続ける企業としてありつづけられよう、社業の発展に邁進していきたい」と竹田氏。グローバル展開を加速させるにあたっては、20数年間海外で暮らし、ビジネスを通じて培ってきたコミュニケーション能力はもちろん、「木村社長から教わり大切にしてきた人間関係作りが生きてくる」と自信をのぞかせる。
具体的な海外戦略については「主要都市のニューヨーク、パリ、ロンドン、シンガポールにはすでに進出してきているが、これからは見せる市場に加えてどんどん売っていく市場も重要。eコマースで市場分析した結果を生かしながら、実際に現地の状況も見てシステマティックに展開していきたい。東南アジアと中東、アメリカ圏は成長戦略の中核エリアになる」と話す。
三起商行は1971年に創業。日本の職人技術に根差した子供服作りを一貫して続けてきた。道のりはけっして平坦ではなく、環境変化の中で厳しい判断を迫られた時期もあったが、創業当初の理念を守り続けたことが今日、グローバルで戦える企業へと成長した。
25年2月期の売上高は182億円。売上高構成比は国内6割、海外4割で、顧客の居住地域は88カ国にもおよぶ。木村社長は「将来的には海外7割を見据える段階に入っている」と明言。グローバル戦略の舵取りを担う竹田次期社長の手腕に期待が集まる。