
衣服の設計段階から生地廃棄を減らす技術を手がけるシンフラックス(Synflux)が、総額5.2億円の資金調達を完了した。今回の資金調達では、欧州で最も厳格とされるサステナブルファイナンス開示規制「SFDR」のアーティクル・ナイン(Article 9)に該当する投資家であるコラテラル・グッド(Collateral Good)が参画。日本企業としては国内初となる事例だ。リード投資家はGoldwin Play Earth Fund。このほか、環境省所管の官民ファンドである脱炭素化支援機構、循環型経済や自然再生分野に特化した投資ファンドであるサーキュラーエコノミー・ネイチャーポジティブ1号投資事業有限責任組合、サザビーリーグが出資した。これにより、同社の累計調達額は7.4億円に達する。
SFDRはEUで2021年に適用が開始された金融規制で、投資家に対しサステナビリティに関する詳細な情報開示を求めるものだ。なかでもアーティクル・ナインは、「環境・社会への明確な貢献」を投資目的として掲げるファンドにのみ認められ、“ダークグリーンファンド”とも呼ばれる。コラテラル・グッドそのアーティクル・ナインに該当し、今回が日本初投資となる。同社のマイケル・クラインドル ファウンディングパートナーは、「シンフラックスは、繊維廃棄を削減しながら、導入ブランドに即時的な経済メリットをもたらす。これは当社の戦略と強く一致している」と評価する。
またこの資金調達と並行して、シンフラックスはサザビーリーグのIT子会社であるサザビーリーグIRISと資本業務提携を締結した。両社は、アパレルの企画から製造に至るまでの工程を横断してデータを一元管理するプラットフォームの共同開発を開始。設計・生産・管理をつなぐ情報基盤の構築を通じて、サプライチェーン全体の可視化や業務効率化、ESG関連データの管理高度化を目指す。
設計段階から廃棄を減らす「アルゴリズミック クチュール」
シンフラックスは「惑星のためのファッション(FASHION FOR THE PLANET)」を掲げ、機械学習や3Dシミュレーションを活用した独自の設計システム「アルゴリズミック・クチュール(Algorithmic Couture)」を開発。衣服の型紙やデザインをアルゴリズムによって最適化することで、生産過程で避けられない素材廃棄を最小化する。
同社の技術はすでに複数のブランドで商用導入されており、原材料ロスの削減に加え、リードタイム短縮やコスト削減といった事業上のメリットも評価されてきた。今回の資金調達により、OEM・ODMを含む上流サプライチェーンへの導入を本格化させ、欧州市場での展開を加速させる方針だ。