ルルレモン・アスレティカ(LULULEMON ATHLETICA以下、ルルレモン)は12月11日、カルバン・マクドナルド(Calvin McDonald)最高経営責任者(CEO)が2026年1月31日付で退任することを発表した。後任を選定する間、メーガン・フランク(Meghan Frank)最高財務責任者とアンドレ・マエストリーニ(Andre Maestrini)最高商務責任者が暫定共同CEOを務める。なお、円滑な業務引き継ぎのため、マクドナルドCEOは3月31日までシニア・アドバイザーとして同社に在籍する。
マクドナルドCEOはカナダ出身で、ウェスタン・オンタリオ大学(University of Western Ontario)を卒業後、トロント大学(University of Toronto)でMBAを取得。カナダのスーパーマーケット大手ロブロー・カンパニーズ(LOBLAW COMPANIES)でキャリアを積み、米百貨店シアーズ(SEARS)の子会社シアーズ・カナダ(SEARS CANADA)の社長兼CEOに就任した。その後、LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)傘下の化粧品セレクトショップ、セフォラ(SEPHORA)の社長兼CEOを5年間務め、18年7月から現職。同氏の在任中、ルルレモンはメンズに進出したほか海外出店を強化し、売り上げは3倍以上の伸びとなった。
同氏は、「ルルレモンのCEOを務めたことは私のキャリアのハイライトであり、この7年間でチームと成し遂げた全てのことを誇らしく思う。私たちはともにアスレチックアパレル業界を変革してきたし、『ルルレモン』の将来には非常に大きなビジネスチャンスがある。今後のプロダクトや行動計画も素晴らしいものであり、何年にもわたってポジティブな結果と価値を株主に提供できるだろう」と語った。
成長が鈍化し時価総額は2年前の3分の1に
同社は今回の人事と同日に、25年8〜10月期(第3四半期)決算を発表。売上高は前年同期比7.1%増の25億6592万ドル(約3977億円)、営業利益は同11.2%減の4億3588万ドル(約675億円)、純利益は同12.8%減の3億683万ドル(約475億円)の増収減益だった。これはアナリスト予想を上回る結果であり、海外市場における既存店ベースおよび現地通貨ベースの売上高は同18%増だったものの、本拠地である北米を含む米州は同5%減と引き続き苦戦している。
コロナ禍の中でも躍進を続けてきたルルレモンだが、競争の激化や市場の変化で次第に減速。株価も下がっており、23年12月には640億ドル(約9兆9200億円)前後だった時価総額が、25年12月は220億ドル(約3兆4100億円)前後で推移している。なお、今回の人事発表や決算内容を好感し、同社の株価は11日の時間外取引で一時前日比10.4%高の206.37ドル(約3万2142円)をつけた。
創業者が経営陣を公に批判
現在でもルルレモンの株式の8%以上を保有しているチップ・ウィルソン(Chip Wilson)創業者は、数年前から同社の事業戦略や方向性を公に批判し、経営陣の刷新やプロダクト開発の強化などを求めていた。なお、同氏は人種および性差別的な発言で物議を醸したことがあり、15年には同社の取締役会からも離れている。