9月以降も暑さは続きそうですが、ランウエイからはデザイン性の高いTシャツが飛び出してきました。その背景には、やはり“地球沸騰”の現実があります。とはいえ、1枚でサマールックがキマるTシャツは、暑い季節の救世主。モードなTシャツが、ヘルシーで華やかな装いをかなえてくれます。今回はパリやミラノの2025年春夏コレクションから、新傾向のルックを集めました。
例えば「クロエ(CHLOE)」は、フロント全面に特大のフェイスモチーフをプリントしました。まるでアート作品のようありながら、ベージュの穏やかなトーンがレトロなムードを漂わせています。白のデニムパンツにウエストインしてクリーンにまとめ、さらにアクセサリーをあちこちに配すことで、Tシャツルックを一段と格上げしています。
モノトーンでも主役級の存在感
ビッグモチーフで“アート”をまとう
色や柄を配したTシャツは、無地に比べて上質さをまといやすいアイテム。アート感のある配色やモチーフは、Tシャツルックの格上げに効果的。メッセージ性を印象付けるような着こなしががおすすめです。
猫のビッグモチーフをあしらったのは「GCDS」。ユニークな猫の表情が、朗らかでミステリアスな雰囲気を醸し出しつつ、小ぶりのブランドロゴや肩に入ったラインが脇を固めました。シンプルなダークカラーのパンツと合わせて全身をモノトーンでカジュアルにまとめつつ、足元は黄緑のポインテッドシューズでアクセントを添えています。
レトロとロックとが融合
キャタクターTをグラムに味付け
Tシャツ姿にグラマラスなムードを加えるなら、レイヤードがおすすめです。長袖シャツの上にTシャツを重ねれば、袖の景色に変化が生まれます。異なるモチーフを交わらせる“柄×柄”のスタイリングで、装いに奥行きを添えるのも一案です。
「コペルニ(COPERNI)」は、濃色のTシャツと長袖シャツをミックスしました。レトロなミッキーマウスのイラストがオールディーズ感を演出。サイケデリックなシャツにグラムロックな気分が薫ります。襟は片方だけTシャツからのぞかせて、アシンメトリーに仕上げました。
ブラトップやコルセットで
控えめなインナーレイヤード
あっさり見えがちなTシャツも、ブラトップやバンドゥ(チューブトップ)、コルセットなどの艶美系アイテムをデザインに取り入れることで、カジュアルなTシャツがたおやかな着映えに。Tシャツに溶け込むように立体感を持たせれば、フェティッシュなシルエットも強調しすぎず、上品にまとまります。
「ヴァケラ(VAQUERA)」のTシャツルックは一見シンプルですが、実はかつてマドンナがステージで披露したコーンブラを想起させるデザインが施されています。控えめながら秘めやかなレイヤードが効いたスタイルです。フロントのダイナミックなプリントが適度に主張し、ミリタリー調のマルチポケットのスカートとも好相性。両手にバッグを1個ずつ持つ小技が、さらに意外性を引き立てています。
ロング丈でゆるリラックス
文字プリントで強めの主張強めに
Tシャツが持つ普段着のイメージを薄めるには、強めの主張を盛り込むのが有効です。メッセージ性を打ち出した大ぶりの文字プリントなら、アートライクな表情をまとえます。さらに超ロング丈なら、意外性のあるシルエットがTシャツらしさを遠ざけてくれます。
「モスキーノ(MOSCHINO)」はTシャツをワンピースに変形させて、リラックスとスパイシーを交わらせました。フロントに施された“THINK”の文字が知的なムード。ロング丈の自然な落ち感とTシャツからのぞくカットソーの袖が、のどかな雰囲気を引き出しています。
これまでのTシャツのイメージを刷新するモード系Tシャツは、1枚でも上々の着映えに整います。シャツやジレ、ブラトップなどとのレイヤードで、さらに着こなしの幅を広げてくれます。今年も暑さが長引きそうな気配だけに、Tシャツスタイルをバージョンアップしてみませんか。