化粧品の環境影響評価の開発を目的とする非営利団体エコビューティスコア協会(ECOBEAUTYSCORE ASSOCIATION)はこのほど、欧州の一部の市場において「ロレアル パリ(L’OREAL PARIS)」「ニュートロジーナ(NEUTROGENA)」「ニベア(NIVEA)」「ユーセリン(EUCERIN)」と、ケンビュー(KENVUE)およびバイヤスドルフ(BEIERSDORF)傘下のブランドで、環境影響評価スコアのオンライン上での表示を開始した。ブランドの公式ウェブサイトやインスタグラムのブランド公式アカウントで閲覧できる。今後、エコビューティスコアの表示をグローバルでも順次導入し、最終的に全てのビューティカテゴリーに対応する予定。製品パッケージへの表示も欧州で年内に開始する。
製品ライフサイクル全体を5段階で評価
エコビューティスコアは、ブランドや小売業者が化粧品の環境への影響を科学的かつ一貫性のある方法で測定・表示できる仕組みとして開発。欧州連合(EU)の製品環境フットプリント(PEF)手法に基づき、AからEの5段階で評価する。評価は、原材料の調達からパッケージ素材、製品の使用、廃棄に至る製品のライフサイクル全体において、土、水、大気への影響を総合的に考慮する。現在は、シャンプー、コンディショナー、ボディーウォッシュ、フェイスケアの4カテゴリーを対象としている。先行ブランドでは、「ロレアル パリ 」のクリーム“エイジ エキスパティーズ”がB、「ニュートロジーナ」の“アンチ・ピッケル+リキッド エクスフォリアント”はA、「ニュートロジーナ」の“ハイドロブースト”はCと評価している。
「長らく化粧品業界に欠けていたツール」
エコビューティスコア協会によると、2025年の欧州でのビューティ・パーソナルケア製品の消費額は1500億ドル(約22兆2000億円)を超える見込みで、環境配慮に関心を持つ消費者は年々増加している。一方で、「欧州の消費者の半数はブランドのサステナビリティに関する主張に懐疑的で、実際の環境影響を正確に反映していないと感じている」という。同協会のジャン・バティスト・マシニョン(Jean-Baptiste Massignon)=マネージングディレクターは、「エコビューティスコアは、長らくビューティ業界に欠けていた透明性のためのツールだ。科学的根拠に基づいて、一貫性があり消費者にとって分かりやすい方法で環境影響を伝える初の取り組み」だと強調した。さらに、「このプラットフォームは、サステナビリティに関する専門知識の有無にかかわらず活用でき、あらゆる規模のブランドが自社製品の環境負荷を可視化できる。先駆けてスコアを公開するブランドが現れたことは、業界全体の誠実さと説明責任に向けた重要な一歩だ」と指摘した。
業界大手のタッグで22年に発足
同協会は、グリーンウォッシング(実態が伴わない見せかけの環境配慮)に対する批判と、環境に対する透明性を求める消費者の要望の高まりを受けて、22年2月にその前身であるエコビューティスコア・コンソーシアム(ECOBEAUTYSCORE CONSORTIUM)が発足。業界大手のロレアルやユニリーバ(UNILEVER)、エスティ ローダー カンパニーズ(ESTEE LAUDER COMPANIES)、プロクター・アンド・ギャンブル(PROCTER & GAMBLE)、LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)、資生堂、花王、アモーレパシフィック(AMOREPACIFIC)など36の化粧品・パーソナルケア企業・団体が参画していた。現在は70社以上が加盟する。同コンソーシアムは、サステナビリティ・コンサルタント会社のクアンティス(QUANTIS)の協力の下、3年をかけて評価手法とスコアリングシステムを開発した。