エスティ ローダー カンパニーズ(ESTEE LAUDER COMPANIES以下、ELC)は、スイスに本社を置く世界最大の総合食品飲料企業ネスレ(NESTLE)のグローバル最高マーケティング責任者(CMO)を務めたオード・ガンドン(Aude Gandon)を、8月1日付で最高デジタル&マーケティング責任者に任命する。食品業界からの異業種採用となる。
ガンドン氏はネスレ以前、グーグル(GOOGLE)でプラットフォームおよび関連サービス全体の統括責任者を務めたほか、ピュブリシス・ワールドワイド(PUBLICIS WORLDWIDE)やマッキャン(MCCANN)、レオ・バーネット(LEO BURNETT)といったグローバル広告代理店で、ロレアル(L’OREAL)、P&G、LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)などのクライアントを担当。
新設の役職である同職は、前エンタープライズ・マーケティング・エグゼクティブ・バイスプレジデント兼最高データ責任者のジェーン・ローダー(Jane Lauder)が退任前に担っていた役割とも一部重なる。同氏は昨年末に退任し、ELCは後任を探していた。ガンドン氏はステファン・ドゥ・ラ・ファヴリー(Stephane de La Faverie)社長兼最高経営責任者(CEO)の直属となり、デジタル、マーケティング、メディアの戦略および体制全般を統括する。
ファヴリーCEOは、「オードは、デジタル時代において主要な消費者向けビジネスを変革してきた優れたグローバルマーケティングリーダーだ。ブランド戦略やクリエイティブ開発からデジタル変革、データ分析に至るまで、幅広い専門知識を有しており、消費者とのつながりをさらに強化していく上で不可欠な存在となる。グローバルな視点と大規模なマーケティング、デジタル、メディアの変革をけん引してきた実績は、プレステージビューティの未来を形作るうえで理想的なリーダーだ」とコメントした。
ガンドン氏は、「強力なブランド群とイノベーションの伝統を誇るELCに加わることをとても楽しみにしている。消費者行動が進化し続ける中で、同社のデジタルとマーケティングの変革を率いる機会を得られて光栄だ。才能あるチームと連携し、デジタル能力の強化、消費者とのつながりの深化、ブランドとチャネルの成長に貢献したい」と意気込みを語った。
ファヴリーCEOは現在、2月に発表した「ビューティ・リイマジンド(Beauty Reimagined)」戦略の一環として、経営体制の再構築と人員の削減を進めている。同社は24年10月に通期見通しを撤回して以降、アジアやトラベルリテールの低迷が続いており、25年の売上高は最大9%の減少を見込む。ただし、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領により最近導入された関税問題が「意味のある形で解決」すれば、翌年には成長回復を見込むという。