資生堂の子会社である資生堂アメリカズは、人員削減を実施する。削減人数は公表していない。
同社は声明で、「資生堂アメリカズは、成長と収益性の回復に向けた事業変革を進めており、その一環として一部ポジションの削減という苦渋の決断を下した。多くの従業員が影響を受けており、彼らのこれまでの貢献に感謝するとともに、円滑な移行のための支援を行う」と述べた。
暫定CEOの下で改革を急ぐ
4月から暫定最高経営責任者(CEO)を務めるアルベルト・ノーエ(Alberto Noe)は社内メモで、「資生堂アメリカズは現在、複数の深刻な課題に直面している。全力を尽くしてきたが、業績は2024年に大幅に悪化し、25年の見通しも厳しい」と説明。4月には、ロン・ジー(Ron Gee)前CEOが退任した。ノーエ暫定CEOはまた、米国および世界のビューティ市場全体に影響を及ぼしている「高インフレ」や「経済的不確実性」といった要因も、今回の決断につながったと述べた。「現状を打開し、事業の持続可能性を確保するため、組織全体にわたる大規模な人員削減を行う。今回の措置は、複数のブランド、部門、拠点に影響を及ぼすことになる」としている。
このレイオフ(一時解雇)は、インスタグラムのアカウント「@esteelaundry」に投稿された社内メモにより初めて明るみに出たもので、米「WWD」はその信ぴょう性を確認した。メモには16日(現地時間)の日付が記されていた。
資生堂が5月に発表した25年度第1四半期決算によると、米州市場の売上高は前年同期比19%減だった。中でも「ドランク エレファント(DRUNK ELEPHANT)」は同60%超の大幅減収となり、全体の落ち込みに大きな影響を与えている。一方で、「シセイドウ(SHISEIDO)」と「クレ・ド・ポー ボーテ(CLE DE PEAU BEAUTE)」はそれぞれ1ケタ台前半〜10%台後半の成長を記録した。
エスティ ローダーやコティも人員削減
逆風に直面しているのは、資生堂だけではない。2月にはエスティ ローダー カンパニーズ(ESTEE LAUDER COMPANIES)のステファン・ドゥ・ラ・ファヴリー(Stephane de La Faverie)CEOが、最大7000人の削減を含む「ビューティ・リイマジンド(Beauty Reimagined)」戦略を発表。4月にはコティ(COTY)が700人を削減した。さらに先週には、ロレアル(L’OREAL)が香港と中国本土のオフィス統合を検討しており、200人に影響を及ぼす可能性があるとの報道も出たが、同社はこれを否定している。