ロレアル(L’OREAL)は6月30日、英国発のプロフェッショナルヘアケアブランド「カラー ワウ(COLOR WOW)」を買収することに合意したと発表した。これにより、同ブランドは「ロレアル プロフェッショナル(L'OREAL PROFESSIONNEL)」や「ケラスターゼ(KERASTASE)」を擁するロレアルのプロフェッショナルプロダクツ事業本部傘下に入ることになる。ロレアルと「カラー ワウ」のゲイル・フェデリッチ(Gail Federici)創業者兼最高経営責任者(CEO)は買収額についてコメントを拒否したが、同ブランドの売上高は3億ドル(約432億円)を上回ると推定されており、関係筋によると、評価額10億ドル(約1440億円)を目標にしていたという。統合後の去就に関してフェデリッチCEOは、「少なくとも当面」はブランドに深く関与すると述べ、具体的な期間については明言を避けた。
高い革新性と市場ポテンシャル
売上高は3年で4倍に
「カラー ワウ」は、シリアルアントレプレナー(連続起業家)として知られるフェデリッチCEOが2013年にロンドンで設立。ブランドによると、主力製品“ドリームコート スーパーナチュラル スプレー”(28ドル=約4000円)は4.4秒に1本売れているという。米「WWD」のインタビューでフェデリッチCEOは、過去3年間で「カラー ワウ」の売上高が4倍に成長したと説明し、「現在の規模から次のステップへ進むために、われわれにはより専門的な知識が必要だと分かっていた。同時に、われわれには成功の鍵となる独自の理念と文化がある。ロレアルと時間を過ごす中で、もしホームとなる場所があるなら、ここが最適な場所だと確信した」と述べ、「われわれはグローバル展開の大きな可能性を持っている」と付け加えた。同ブランドは現在、米国ではヘアサロンやセフォラ(SEPHORA)、アマゾン(AMAZON)、アルタビューティ(ULTA BEAUTY)で展開する。そのほか、英国、欧州、ドバイのセフォラでも販売している。
ベストセラーは
生え際用白髪隠しパウダー
フェデリッチCEOは、02年にプレミアムヘアケアブランド「ジョン フリーダ(JOHN FRIEDA)」を花王ブランズに4億5000万ドル(約648億円)で売却したチームの主要メンバーだった。その約10年後、同氏は自身の姉妹の白髪が増えたことに気付いたが、染め直しまで白髪を隠す効果的な方法がなかった。そこで、「ジョン フリーダ」の開発に携わった化学者のジョー・シンコッタ(Joe Cincotta)博士と協働で、白髪の根元をタッチアップする“カラー ワウ ルート カバー アップ パウダー”を開発した。この製品は現在もブランドのベストセラーとなっている。
ロレアルのオマール・ハジェリ(Omar Hajeri)=プロフェッショナルプロダクツ事業本部プレジデントは「われわれは、『カラー ワウ』を当社のポートフォリオに迎えることを大変うれしく誇りに思う。このブランドは独自の製品を提供し、ヘアスタイリストやメディア、消費者から絶大な支持を得ている。この革新的で高性能なブランドの加入は、ヘアケア市場およびスタイリングカテゴリーにおける当社のポジションをさらに強化する戦略的な節目となる。『カラー ワウ』は独自の専門知識と卓越した成長ポテンシャルを兼ね備えている。われわれは、そのグローバルな可能性を最大限に発揮することを楽しみにしている」とコメントした。
ロレアルは6月初旬、同じく英国のスキンケアブランド「メディケイト(MEDIK8)」の過半数株式を取得する契約を締結したと発表した。報道によると、取引額は10億ドル(約1440億円)規模といわれている。ロレアルのプロフェショナルプロダクツ事業本部の24年の売上高は、前年同期比5%増の48億9000万ユーロ(約7041億円)だった。