ダイドーリミテッドは26日、「モモタロウジーンズ(MOMOTARO JEANS)」などを運営するジャパンブルー(岡山県倉敷市)の株式の80%を取得し、子会社にすると発表した。取得金額は約58億円。毛織物で発展したダイドーはスーツなどの重衣料アパレルを主力にするが、ジャパンブルーを傘下に入れることでジーンズカジュアルおよびデニム素材に事業領域を広げる。
ジャパンブルーはデニム産業が盛んな岡山の児島地区を拠点にしており、ジーンズブランド「モモタロウジーンズ」「ジャパンブルージーンズ(JAPAN BULE JEANS)」を展開するほか、デニム素材の製造・販売を行っている。特に「モモタロウジーンズ」は高品質な国産ジーンズとして有名で、国内だけでなく海外でも人気がある。24年8月期の業績は、売上高が前期比10.1%増の54億円、営業利益が同7.0%減の4億5200万円、純利益が同9.5%増の2億7600万円だった。
一方、ダイドーリミテッドは衣料事業と不動産賃貸事業の2つの柱を持つ。衣料事業は「ニューヨーカー」のほか、21年に連結子会社化したブルックスブラザーズジャパン、中国の自社縫製工場、16年に買収した伊素材メーカーのポルテトルトなどで構成する。不動産賃貸事業は毛織物工場跡地の再開発で1993年に開業した大型ショッピングセンター、ダイナシティ(神奈川県小田原市)などを手掛ける。2025年3月期の業績は、売上高が前期比0.3%減の286億円、営業損益が6400万円の赤字(前年同期が4億4200万円の赤字)、純損益が24億8300万円の赤字(同2億9100万円の黒字)だった。
ダイドーリミテッドをめぐっては、昨年6月、11年連続営業赤字の同社に対してアクティビスト(物言う株主)のストラテジックキャピタルが経営陣の刷新を求めて応酬を繰り返す異例の事態になった。株主総会を経て、ダイドー側が推す取締役とストラテジック側が株主提案する取締役で構成された新体制がスタートし、経営の立て直しを進めている。